JGC2007参加レポ スペオペをもっと楽しむために
8/31~9/2に横浜で開催されたJGC2007に参加してきたので、その報告を。
今回も、FEARのゲストとしてお呼ばれし、スターレジェンド一式を抱えて新幹線で新横浜まで直行する。
参加したのは、TRPGセッションwithF.E.A.R.の、第1回、第3回、第4回の3回で、スターレジェンドのGMである。
一緒に遊んでくれた15名のプレイヤーの皆さん、どうもありがとう。とても楽しかったです。またどこかで遊びましょう。
後は、物販をうろうろしたり、知人とおしゃべりをしたり、セッション終了後にコンビニ弁当をかっくらいながら、深夜アニメを見たりして過ごしたのである。……富竹は今回も時報なんかのぉ。
さて、そんな中、友人のばんゆー君との会話をひとつ。
「いやあ、SFって二酸化炭素なんですかね」
「相変わらず意味不明だな、ばんゆー」
「実は前にトラベラーを遊んだ時にですね、レフリー(GM)とプレイヤーがいきなり、この惑星の大気うんぬんって話をしはじめたんですよ」
「ふむ、それはつまり――」
私の妄想による会話の再現:
「えーと、この星のUWPは、B-673525-8だな」
「金星ぐらいのサイズか。大気は汚染やね」
「うん。汚染といっても工業による大気汚染とは限らない。この場合は、火山活動による粉塵かもしれぬな」
「いやいや、二酸化炭素の割合が大きいのかも。もともと、地球の原始大気がそうであるように、地球型の惑星では窒素ガスと並んで二酸化炭素ガスが多くでる傾向があるからな」
「うむ。酸素ガスはその化学的活性の高さからいっても、自然状態では存在しにくい。地球が酸素を持つのは、光合成をする植物があるせいだ。だが、酸素ガスは酸素呼吸をしない生物にとっては危険きわまりない猛毒だ」
「植物による大気汚染で、古代の地球では環境破壊と、生物の大量絶滅があったという。人類による環境汚染など、及びもつかぬほどにな」
** 30分経過 **
「地球における二酸化炭素の吸収過程には、海の存在が大きいからな。この星の水界度3(表面積の3割が海)という点からしても、二酸化炭素の割合が今も大きいという説は妥当だろう」
「では、そういう惑星にキミ達は来ているということで」
「――で、さんざん余談やってたかと思っていたら、それがプレイにそのまま採用されているのですよ。どうしようかと思いましたね」
「あー、なんとなく想像できるな、その場面が」
SFファンというものは、たいへん因果な存在である。
どこが因果かというと、SFファン同士で「話が通じてしまう」点にある。
もちろん、もともと何かのコアなファンというのは仲間内でしか通用しない言語や感性を持つものである。
「べっかんこうさんの描く女の子は素晴らしい」
「上手いとかハンコとか、そういうのではなくて、魂に通じるナニかがあるよなぁ……ところで麻衣はオレの妹なのだがっ」
「ナニを言うっ、麻衣はオレの妹でしかも嫁だっ!」
ファンでない人間には、ナニがどうなのかさっぱりであっても、魂が結ばれた存在ならコレで分かり合えるのである。
それだけなら良いのだが、SFファン(特に理系)が厄介なのはこのわかりあえる距離が微妙に広いという点にある。
彼らは、コミュニケーションのツールとして、科学のさまざまな成果を取り込んでいく。感性ではなく、理屈でつながっていく。同じ理屈を共有できるのであれば、感性が違ってもわかりあえてしまうのである。
しかもその理屈がサイエンス系、いわば「この宇宙の法則」であるから厄介度は跳ね上がる。
それが宇宙の法則であるならば、理解できて当然だし、理解できなくても話せば分かる――こう考えてしまうのだ。
話せば分かると思っているファンほど、困る存在はない。
縞パンのすばらしさを日々熱く語る人間でも、他の人間が自分と同じくらい縞パンを愛せるとは思わない。いくら言葉を重ねても、根本的なところで世の中には縞パンに選ばれた人間と、縞パンに選ばれないかわいそうな人がいるのである。
なのに、惑星物理学について語る(しかもセッション中に)SFファンというのは、他の人間も惑星物理学を理解できると思っているのである。なぜなら、同じ太陽系の仲間だからっ!
だが、かえりみて自分もそういう部分がなかったわけではない。
これは十年以上前のことであるが、SF-RPGの『すぺおぺひーろーず』を遊んでいた時に私はGMとして次のようなやりとりをしている。
「それでは敵の宇宙船はここから離脱しようと加速を開始します」
「追いつけますか?」
「もちろん、敵のフネよりも皆さんのフネの方が高性能ですからね。大丈夫ですよ」
「よし、敵の動きを止めるために、敵を追い抜いたあと急旋回して進路前方をふさぎます」
「わかりました……って、ああ~~~んっ?」
「え? ですから、急旋回して……」
「きさま、ニュートンの運動第一法則を言ってみろっ!」
「は? ニュートン? え、いや、私、文系コースなので……」
「なにほうけたコトぬかしとるんじゃ。こんぐらい、中学校でも学ぶわ。ええか、慣性の法則ゆうんがあってじゃのぉ」
少々言葉はアレだが、この解説に悪意はない。むしろ善意の方が大きい。
宇宙船の動きを、飛行機の動きと勘違いしている若いプレイヤーに、私は正しい知識を啓蒙するために良いことをしていると考えていたのである。
今にして思えば――ダメなことをやったものである。
そんなことをしても、SFファンは怖くて凶暴だというそれほど間違ってもいない認識を強めてしまうだけなのだ。
あの場合、私がやるべきだったのは「宇宙船が急旋回はできない」とダメだしをすることではなかったのだ。
プレイヤーの目的は、急旋回することではなくて逃げる敵宇宙船の頭を押さえて行動を妨害することであり、それなら不可能ではないからだ。
反省……反省終了。
まあ、こうした反省などが私がデザインした『スターレジェンド』には入っていたりするのである。
プレイヤーはできるだけやりたいようにやってもらい、システムがそれを補完するという方向で。
もちろん、SF魂を捨てるのではなく、SFとしての楽しみはできるだけ盛り込んだまま――というのを目指してはいるのだが。
「お寺の鐘のように、小さく叩けば、小さく響き、大きく叩けば、大きく響く」
今後とも、そういう方向でSFを楽しみたいものである。
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