ショートショート:書き直しバージョンその2

 あるところに、生命技術を専門とする科学者がいた。
 その科学者が大発明をしたと言うので、新聞の記者が科学者の実験室にやってきた。
「博士、世紀の発明をしたそうですが、どんな発明を?」
 科学者というよりはアニメオタクに近い風貌の科学者は大きくうなずいた。
「うむ。ちょっと前、不妊症の魚のヤマメのオスメスそれぞれに、ニジマスの精子と卵子を移植し、ニジマスの子供を生ませるという実験が成功したのじゃ。
 その技術をさらに応用して、わしは人間を母体にして別の哺乳類の子供を生ませたり、逆に別の哺乳類を母体にして、人間の子供を生ませる技術に着手したのじゃ」
「な、なんですって……!?」と新聞記者は驚いた顔を見せた。
「うむ」と博士は大きくうなずき、
「というわけで、わしは不妊症の男女を選び、猫の精子と卵子を移植し、猫の子供を生ませるという実験に着手したのじゃ」
「その実験が成功したのですね!」記者は興奮した口調で言うと、
「うむ、今からそれをお見せしよう」博士はそう答え、部屋の奥へと消えていった。
 記者は待ちきれずにうずうずと待っていたが、やがて博士は毛布を両手に抱えてやってきた。
 ちょうど、人間の赤ん坊をくるんだような大きさだった。
 記者がはてな、という顔で立ち上がると、
「ほれ、見てみなされ」
 と毛布の中身を記者に見せた。
 すると、そこに眠っていたのは……。
 ネコミミの赤ん坊だった。
 記者が、
「これ、人間の赤ん坊じゃないですか!? しかも猫の耳が付いてますよ!?」
 と問いただすと、博士は大きくうなずいて、叫ぶように言った。
「うむ、これがオタクの、人類の夢じゃ! 二次元の中にしかいなかったネコミミ人間が、ついに実現した! すばらしいことではないか! さあ、ネコミミに存分に萌えるが良い!」
 だが記者は冷ややかな目で言った。
「しかしこれ……、男の子ですが。自分は……、男には萌えられません」
 二人は、そのまま黙り込んでしまった。

 おしまい。

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