ショートショート:ベタネタにひねりオチ。その1
あるところに、生命技術を専門とする科学者がいた。
その科学者が大発明をしたというので、新聞の記者が科学者の実験室にやってきた。
「博士、世紀の大発明をしたそうですが、どんな発明を?」
科学者というよりは、アニメオタクに近い風貌の博士は大きくうなずいた。
「うむ。ちょっと前、不妊症の魚のヤマメのオスメスそれぞれに、ニジマスの精子と卵子を移植し、ニジマスの子供を生ませるという実験が成功したのじゃ。
その技術をさらに応用して、わしは人間を母体にして別の哺乳類の子供を生ませたり、逆に別の哺乳類を母体にして、人間の子供を生ませる技術に着手したのじゃ」
「な、なんですって……!?」新聞記者は驚いた顔を見せた。
「うむ」と博士は大きくうなずき、言葉を続ける。
「というわけで、わしは不妊症の男女を選び、猫の精子と卵子を移植し、猫の子供を生ませるという実験に着手したのじゃ」
「その実験が成功したのですね!」記者は興奮した口調で言うと、
「うむ、今からそれをお見せしよう」博士はそう答え、部屋の奥へと消えていった。
記者は待ちきれずにうずうずと待っていたが、やがて博士は毛布を両手に抱えてやってきた。
ちょうど、人間の赤ん坊をくるんだような大きさだった。
記者がはてな、という顔で立ち上がると、
「ほれ、見てみなされ」
と毛布の中身を記者に見せた。
すると、そこに眠っていたのは……。
頭に猫の耳がついた赤ん坊だった。
記者が、
「これ、人間の赤ん坊じゃないですか!? しかも猫の耳が付いてますよ!?」
と問いただすと、博士は大きくうなずいて、叫ぶように言った。
「うむ、これがオタクの、人類の夢じゃ! 二次元の中にしかいなかったネコミミ人間が、ついに実現した! 素晴らしい事ではないか! さあ、ネコミミに存分に萌えるが良い!」
記者は赤ん坊をまじまじと眺めると、冷ややかに質問した。
「ところでこの子は、男の子ですか、女の子ですか? 自分は男で萌える事はちょっと……」
その問いに、博士は胸を張って答えた。
「いいや、この子はふたなりじゃ!」
おしまい。
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