『暴風ガールズファイト』 女子が熱血してもいいじゃない!
ドキドキした。
ハラハラした。
泣いた。
ユリとかバラとか姉妹とか。そんなものは欠片も存在しない、普通のミッションスクール。
“級長”とあだ名される優等生、麻生広海の前に現れたチビッコ、五十嵐千香。
勢いと勢いと勢いだけで構成された彼女は、ラクロスなるマイナースポーツの達人だった。
「日本のラクロス界の将来のため」千香をラクロス同好会へ案内した広海は、なし崩し的に部員の一員とみなされ、足りない部員を集める羽目に。
次々とやってくるネジの緩んだ新入部員たち。これまたなし崩しに部のまとめ役になった広海。
まともな練習場すら持たない弱小同好会の世話を四苦八苦しながら進めていく中で、彼女はラクロスの面白さ、そして、仲間たちとのかけがえのない友情を深めていく。
だが。
広海たちを先導するための上級生、そして広海の胸に刻まれた傷が、次第に部の結束を乱していく……。
とかまあ、あらすじは置いといて。
最高です。
作者、佐々原史緒さんの履歴を調べた所、十年選手のもの書きらしい。この一冊には、そのキャリアとスタイルが、存分に発揮されているように思う。
どこかぶっ飛んでいて、それでいて真面目なラクロス部(現段階では同好会)のメンバー達。一人一人が生き生きと動き、喋り、ボケる。その姿をほほえましく思いつつ読み進めていく内に、ラクロスというスポーツの躍動感、衝撃がすとんと胸に落ちてくる。マイナースポーツなんてハンデを感じさせない競技への愛と知識は、あとがきに書かれた熱心な取材経緯が物語っている。
傷ついた過去をひきずったままの登場人物がそれを乗り越え結束していく姿は清々しく、憎らしくも愛らしいライバルの姿も面白い。凹んだり辛かったりケンカしたりしながらも、ラクロスというキーワードで集結する主人公たちの姿を見ていると、チームの力というものをひしひしと感じる。
最初から最後まで一気に読ませる勢い。ほっと明るいため息をつかせる読了感。良作であり、傑作でもある。
ただし。
この本の唯一にして最大の欠点。それは、一巻の終了時点で「やっと話が始まった」所にある。
実を言うと、話の終わりの時点で、ラクロス部のメンバーはフルメンバーの半分しか居ない。練習や試合に必要なものも、全く足りていない。この物語は、この本のラストと同時にスタートしている。
だから。
続きを読みたい。せめてフルメンバーが揃うところを。いや、目標とすべきは、千香が話の冒頭より掲げる、これだ。
「日本一」
この可笑しくも頼もしいチームが日本一になる所を見てみたい。少なくとも僕は見たい。それを達成する時、彼女たちがどのように成長し、そして『次』へ向かうのかが知りたい。
だから今。言いたい事は一つなのだ。
この素晴らしい物語を、ぜひ読んでください。
後悔はさせません。そんな暇もありませんから。ね!

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