ショートショート「発明」 改
※前回の修正版です。
「はあ、これですか。博士の発明したヴァーチャルマシンというのは」
記者と博士の目の前にはでっかい卵型の機械があった。人が入っても余裕のありそうなサイズ。
「左様! この中に入るだけで、ゲームもスポーツも何から何まで楽しめるのだよ」
「しかし所詮は架空のものでしょう? 夢の中にいるというか……」
「まあまあ、論より証拠じゃ。試してみたまえ」
ぐいぐいと背中を押す博士に記者は腰が引けてしまっている。
「え、僕がですか? いや僕はこういうのはちょっと……」
「何ならAIとのデートも楽しめるぞ?」
「え、本当ですか!? ……あいや、でもそのほら。人工知能とデートだなんてさもしいというかなんと言うか」
「何を言っておる。デートの予行練習だと思いなさい、ほれほれ」
「うーん、しょうがないですねえ。体験もしっかりとした記事のためですし」
「そうそう、さあ入った入った」
顔だけは小難しい表情を作りながらウキウキと機械に入ろうとする記者がふと、不安そうに博士に尋ねた。
「でも博士、これ出られなくなったりしませんよね?」
「ンなもんせん、何を不安がっておるのじゃ」
「たとえばショックでてんかんを起こしてしまうとか」
「心配性じゃのう」
「現実と架空の区別がつかなくなるとか!」
「大丈夫じゃって、今まで何人もモニタリングをしっかりしたんじゃ」
「本当ですか? 何人くらいしたんですか? その中に記者は?」
「ええい。やかまっしい、とっとと入らんか!!」
博士は強引に機械を閉じると、ボタンをあれこれいじって作動させた。
どれくらいの時間がたったのか。
「おおい、そろそろ出てきてくれんかのう」
博士が泣きそうな顔になって、機械に喋りかけている。
すると機械の中から、マイクを通して記者の声が返ってきた。
『いえいえ、しっかりした記事を書くためには隅々まで体験しないと』
「そんな事言わんと、頼むよ君」
「外から開けられるように設計しておらんのじゃあ」
『はっはっは』
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