牡丹とアラ
ことことこと。
「あふー、さぶい」
「ン、やっと起きてきやがったか」
「おはよー。うー、頭いたああい、くはー」
「うげ、酒臭ェなおい」
「うっさいなもー。そんな事言うとこたつむりになっちゃうぞお」
「もうなってんじゃねェか、くそ。ほれ、これでも食ってシャンとしろシャンと」
「ん、なに、て、わ、お雑煮!」
「正月だし、餅も余ってたしな」
「わー、食べていい?」
「おうってもう食ってるだろ!」
「すご、お出汁が濃厚、これアゴだし? あまーい」
「博多風は初挑戦だったんだが、どうだ」
「おいひいおいひい、おもちはふはふは」
「何言ってるかワカンネエ」
「はふは、とにかく、味が染みてて、あ、この魚は? んぐ……んん!」
「へへへ、どうだ、旨いだろ」
「うわ、ちょ、なにこれ、すご」
「市場の知り合いがアラ仕入れて来てな、どうだ、幻の魚、美味いだろ?」
「うん! すごいすごい、さっすがあ」
「おう、やっぱオレってすご」
「おかわり」
「ってもう食ったのかよ!」
「おーかーわーりー」
「へいへい。ああ、あと、そこの煮物も食えよな」
「はーい。はむはむ」
「く、人が二時間かけて作ったもんを、二十分で平らげられそうな……」
「煮物にものーっと。にんじんほくほく、じゃがいもはふはふ……?」
「どうした」
「このお肉、何?」
「おー、やっとそれに気づいたか、それはな」
「それは?」
「ぼたん肉」
「ボタン肉?」
「微妙に意味通じてないみたいだな。そりゃ猪の肉だ」
「おお、いのしし肉ー。いっただきま……」
「どうした」
「……お肉に、ぶつぶつ模様がある」
「ああ、それはな」
「それは?」
「毛穴だ」
「ぶ!」
「うげ、噴出すなバカ! ばっちいだろ!」
「ご、ごめ。でも、毛穴って、ちょっと」
「いいから、食ってみろって」
「う、うん……ん!」
「どうだ?」
「の、濃厚。脂肪が口の中でじゅわーって」
「だろ。朝買ってきたばっかだからな」
「狩ってきた?」
「無茶言うな」
「えへへ。やー、今年も早々、こんなおいしいもの食べられてよかったなー」
「感謝するなら、家賃払え」
「それはともかくあけおめー」
「ああおめって話をそらすな!」
「まあまあ、そげん話は後で良か良か。あーおいひー」
「チッ。今年こそは、オレの方が上位にたって、その暁には」
「あ、何か言った?」
「何でもねーよ、くそ!」
「へへ、じゃまあ、今年一年よろしく、キリー」
「おうよ、サキ」
ほかほかほか。
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