シンギュラリティ(文明の特異点)の最新の扇動書――『ポスト・ヒューマン誕生』
知能の工学的再現と改良が可能になるに至れば、その後の発展の内容は現時点から予測不能になる。そんな時点はシンギュラリティと呼ばれています。
ポスト・ヒューマン誕生では、現在までの技術の発展や研究の現況から、将来的にも、計算能力や流通する情報、計測や観測により得られる情報の精度などは指数関数的に増大すると指摘。それにより人間の知能をコンピュータ上でシミュレート可能になる時代がいつごろとなり、それによりどのような変化が起きるのかを考察しています。
指数関数的なテクノロジーの発展、特に計算能力の発展がこのまま続くことで、自身を改良可能な計算機知性が今世紀の半ばには誕生する。そうすれば計算機知性が計算機知性を改良することにより、短期間に現在の人間では予測できないほど世界は大きく変わることになる。というわけですね。そのとき人類自身も、ナノテクノロジー、遺伝子工学、人工知能の技術により、自己改良や自己拡張を続けてコンピュータと一体化していくという想定です。
そういった内容から考えますと、邦題の『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』は、なかなか分かり易い要約タイトルとなっていると思います。内容は、ズバリそのまま。ただし「次世代の人類」が「現代の人類」を抹消するとかいう展開にはならないだろうと口を酸っぱくしているので、誤解を招くところはあるかも。
実のところ予測されるものというよりもビジョン、努力目標だと思いますが、なかなかに楽観的かつ魅力的な未来予想ですし、私も一枚噛んでやろうじゃあないか、という気分を起こさせてくれます。なんせ私の事業である電網工房・匠の目標は「コンピュータとネットワーク環境により支援された人間知性の改善・向上システムの構築」だったわけですからね。きちんと捕らえなおしてもう一度やりなおそうという、いい気にさせてくれる扇動力があります。
少なくとも現状の電網工房・匠は、線形的ではなく指数関数的な成長に耐えられるシステムではないわけで。これでは「コンピュータ支援による人間知性の拡大」は困難なのは事実でしょうから。もちっと何か考えていかないといけませんよな。
なんにしてもたいへん刺激になりました。一足飛びにそんな未来はやってこないわけで、一歩一歩、人間の能力を改善してしまえるようなものを用意し普及させていく。そんな人間の一人となれるように頑張っていきたいですね。

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