『機動戦士ガンダム00』のSFネタ解説その13:スペースコロニー

 機動戦士ガンダム00を見て、出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの13回目。

 今回は、第11話の『アレルヤ』で登場したスペースコロニーについて考察していこう。

 いつものように、真面目七分にホラ三分、大嘘ついても小嘘はつくなの三割精神でやっていきたい。

 ガンダムといえば、スペースコロニーである。
 今は遠き昭和の御代、お茶の間のテレビに映った巨大な円筒型コロニーに宇宙への夢を見た少年少女も多いのではないだろうか。

 円筒形の巨大なスペースコロニーは、オニール型と呼ばれている。
 今は亡きオニール博士が考案したコロニーである。
 オニール型のポイントは、円筒内部を区切って窓部分から太陽光を取り入れるアイディアにある。
 太陽光はシリンダーの外に取り付けられた可動型の巨大な鏡によって取り入れられる構造で、全体的にギミック満載、遊び心満載である。

 もちろん昔のアイディアであるから、今の視点で見るとあれこれ難癖をつける余地はある。が、それでも私はオニール博士の壮大な思考実験に敬意を表するしだいである。そうした先人の知恵があればこそ、こうやって適当な駄法螺をふけるのであるから。

 さて、ガンダム00の11話に登場した人革連のスペースコロニーは、オニール型と比べると、少々小振りで、構造も違ってきている。(下図参照)

 それでも、今なお多くのスペースコロニーに共通するギミックもある。回転する円筒形部分が居住区というものだ。
 宇宙空間は――というか、宇宙空間に浮かんでいるものは、重力のバランスが取れているため、無重力状態にある。人工衛星や宇宙ステーションには、地上にいる我々と同様に地球や太陽の重力がかかっているが、軌道速度によって相殺されることで、いつまでも浮かびっぱなしで無重力状態になっている。

 無重力というのは、人間の健康や生活には必ずしもよろしくない。我々は海から地上に上がってこのかた、重力加速度9.8m/secの環境に適応して暮らしている。今さら海の中で浮力とバランスがとれたような生活をしろといってもお魚さんにはなれない道理である。

 ……ということは。クトゥルフ神話に出てくるインスマウス深きものども、いわゆる半魚人な奉仕種族どもは、意外と宇宙空間に適応しやすい生き物かもしれない。宇宙時代のクトゥルフ神話では、インスマウス・コロニーという無重力なままのコロニーがあって、そこに暮らす連中は邪神をあがめ奉りその復活のために星辰の位置を整えようと悪巧みしているかもしれない。こう、小惑星の配置を動かすことで、ルルイエのタコを蘇らせるとか。

 思いっきり閑話休題(それはさておき)。

 初代ガンダムのオニール型コロニーと、ガンダム00のスペースコロニーの最大の違いは、規模でも構造でもなく、目的だろう。
 初代ガンダムにおけるスペースコロニーは、人類が宇宙で暮らすための第二の故郷という位置づけであった。人々はそこで生まれ、育ち、子供を産み、そして死ぬのである。
 おそらくは、コロニーそのものの寿命も相当に長く設定されていたと思われる。あんなものを10年単位で建て替えていてはお金がどれだけあっても足りないからだ。

 ガンダム00に登場したスペースコロニー『全球』は、そのような人類の第二の故郷ではなく、むしろ巨大な宇宙ホテルのようなモノではないかと考えられる。
 ホテルといっても観光用ではなく、仕事のために宇宙に来た人々が暮らす、飯場(はんば)のような施設である。
 さらに将来はもっと巨大で安定し、そして長期的にはコストが安くあがるコロニーを建設するための実験用施設でもあるだろう。
 どんなものでもそうだが、いきなり完成度の高いものを作るのは難しい。最初はそれこそ使い潰すくらいのつもりで、短期的で安くあがるが、その分、テストデータを元に改造して新築できるスペースコロニーが幾つも建設されているのではないだろうか。

 ガンダム00ではこの後もユニオンやソレスタルビーイングのスペースコロニーが登場する可能性がある。それらは今回の『全球』とは違うトーラス構造や、あるいはオニール型のようなものが出るのではないかと期待している。
 なんとなれば、またネタ話に使えるからだ。

参考文献:
 スペースコロニーについて技術面ではなく、そこでの暮らしを想像させるネタ本が欲しいという方にオススメなのが『ナレッジサイエンス読本2 近未来入門!』(あさのあつこ福江純)である。
 スペースコロニーについて触れた第二章では、コロニーでの暮らしぶりや宗教感、貧乏なコロニーの人が宇宙海賊になったりと、あさのあつこさんが自由に広げる空想の翼に、福江純先生が科学的な裏付けを与えて後押しをしている。
 互いを否定したりアラを探すのではなく、互いを高め合うこうした関係こそ、本稿でも目指すべきものだと私は考えている。

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