奥瀬サキ(原作)、目黒三吉(漫画)『低俗霊DAYDREAM』8、9、10、物語の終わりと始まり
原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんの、「サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーがハイ・ブリッド」したようなマンガ、『低俗霊DAYDREAM』の最終巻(10巻)が刊行された。
10巻奥付によれば、2008年1月26日が、初版、初刷の刊行日。
7巻巻末で急転回を観せた物語は、8、9、10巻とブッチギリの高速緊迫展開を続け落着。最終巻の過半を占めるファイナル・エピソード「御呪子(onoroko)」は、「物語の1つの終わりが、新しい物語の始まりであるような」そんな物語になった。
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『低俗霊DAYDREAM』は、現代日本を舞台に“心霊”の関わる事件の「対策」をしていく「口寄せ屋」の1人、崔樹深小姫の物語だ。
この物語では「もう一つの世界(死者の世界)を『目』で見て『口』で伝える」そんな能力を活かした稼業が「口寄せ屋」と呼ばれているようだ(1巻カバー袖参照)。
完結に到った、物語終盤では、7巻巻末に採録された26頁のパートをプロローグのようにして、「ウェルテル」と題された物語が、8巻、9巻と続き、10巻の巻頭から102頁で終結。その後に「御呪子(onoroko)」133頁と、「Epilogue」と題された見開きがおかれてる。
(「Epirogue」の見開きは、多分、1巻~10巻全編のエピローグなんだ、とアタシは思うな)
8巻には、4巻採録の「橋の上の幽霊」に登場した船越さんの「対策」を描く「犬神」も採録されている。
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「…明日/朝9時ね」
「行くわ」
「私は/自分の意思で/行く」
「誰の依頼/でもない/
だから私は/自分の/やり方でやる」
「タイムリミットは?」
「明後日の/未明、/
午前二時/四十五分!!」
「ウェルテル」の物語は、警視庁の峨田警視の口から、YUO〔ユオ〕が首謀した集団焼身自殺計画“大直の鑽火”についてが深小姫に告げられ、捜査への協力要請がなされるところから開幕。
この時点で“大直の鑽火”の決行まで、リミットは27時間。
基本的には、東京都庁生活対策課の外注コンサルタントとして「口寄せ屋」稼業をしてきた深小姫だが、「ウェルテル」では警視庁の要請に協力する形になったのだった。
「自分の/やり方でやる」の宣言は、熱くなると下品なセリフを口にしながら走り出す深小姫らしい。
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7~10巻を通して描かれた「ウェルテル」は、総計471頁の物語になった。
ザッと観て、450頁弱の分量で、27時間の物語が描かれた。まさに、高速緊迫のドラマ☆
「ウェルテル」は、10巻採録分で、物語内の27時間が経過し落着。さらに、その後「しばらく後」の物語も描かれてる。この「しばらく後」のパートは、「ウェルテル」のエピローグと思っていいだろう。
7巻でYUOの口寄せ、って形での捜査協力を請け負った深小姫は、8巻で警視庁に出向いたが、“大直の鑽火”阻止という方向で動き、峨田警視も深小姫の動きを積極的な感じで黙認する形になる。
他方、峨田警視は、“大直の鑽火”計画についての記者会見を開き、社会に警戒を呼びかけるよう上層部に上申するが受け入れられない。
このあたりのプロットでは、仮に“大直の鑽火”を阻止できなかったとしても「三十人からの残党が過激な集団自殺をしたとして」「それは彼ら自身によって選択された結果」と、峨田警視の上申を切り捨てる、警察官僚のセリフ(9巻)が印象的だ。
メディアも第3者もいない、内輪の場でのことと設定されてるやりとりだけど。そんな場でも警察官僚がこんなふうに明確に意思を語るものかは、アタシにはわからない。
ただ、人の生活や生き死にを数でカウントするような合理的思考のロジックとしては、説得力を感じた。えー、もー、充分に。
実際の官僚って、もっと腹芸みたいな責任所在を曖昧化した言動で事を進めるんじゃぁないかなー? ってのはアタシの偏見に満ちた邪推(笑)だけど。
峨田警視の上申が却下される場面は「自分のやり方」で“大直の鑽火”阻止に動いてる深小姫のモティヴェーションが、いかに計数的合理性と異なってるかを際立たせる場面。
それで印象的だ。
「ウェルテル」では、他に、口寄せを通して対峙する深小姫とYUOのプロットもある。てゆーか、こっちがメイン・プロットよね。
深小姫も人間なので、無限の共感能力や包容力を持っているわけでは無い。その辺は、例えば6巻から7巻にかけて描かれた「胎霊」の物語でよく描写されてたと思える。
深小姫は、少年の姿で現れるYUOの生霊(?)と対峙し、彼の来歴に立ち会うような幻視体験を重ねるが……。
深小姫とYUOが絡むサブ・プロットには、過去の深小姫の事情を暗示する断片的な描写も、複数編み込まれている。
「ウェルエテル」に編まれてるもう1つの主要なプロット(サブ・プロット)は、YUOの身柄が警視庁に拘束されていても、じりじりと“大直の鑽火”決行に向かう自殺志望者集団の動きだ。このサブ・プロットにはミツル(藤原充)と、アイ(椚アイ)が深く関わっていく。
「胎霊」の物語では、深小姫の前から姿を消したミツルが、YUOのグループと行動を共にしているらしい様子が断片的に描かれてた。
「ウェルテル」の8巻採録分冒頭では、そんなミツルがアイの前に姿を現す。このエピソードで描かれるミツルの痛々しさ、アイの気持ちの切なさは、全編を通じた読みどころの1つと思える。
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「ウェルテル」の物語を読み解く鍵は、いくつか必要だけど、例えば「霧」の5巻採録分に観ることができる深小姫に対するYUOの挑戦は主要な鍵の1つだろう。
「君のしていることと」
「僕らのしていること」
「どちらが/本当の意味で彼らを/すくうことになるのか」
「そろそろその答えを出すときだとは思わないかい?/
崔樹/深小姫。」
深小姫にとっての答えは出されたのか、出されなかったのか、それを読み解くのは、アタシやあなた、読者の1人1人だ。
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YUOは、『低俗霊DAYDREAM』の序盤では、深小姫から距離を置いて、遠くからおちょくってくるだけだったけど。全編を通じて、対立が深まり、「ウェルテル」になだれ込んだ。
『低俗霊DAYDREAM』のメイン・プロットを、「現在の口寄せ屋、崔樹深小姫とYUOとの対立の物語」と要約しても、あながち見当はずれとも思えない。
ただ、深小姫とYUOとの対立のプロットに編み込まれていながら、うまく収まらない感じの断片もあった。この「うまく収まらない」は、もちろん悪口では無い。
そうした「うまく収まらない」でいた断片を縫って、かなりくっきりした図柄を浮き上がらせる形になったのが、10巻巻末に収められた「御呪子(onoroko)」の物語だ。
「御呪子」では、幼い頃の深小姫がなぜ、祖父母に預けられていたのか、深小姫の父が、深小姫の母、深己〔みき〕に深小姫を合わせないで来たのがなぜか、が描かれる。
一言で言えば「深小姫の事情」の形を整える、決定的な1編が「御呪子(onoroko)」だ。
深小姫は、使い魔のように使役していた鬼縫(作中では「式神」と呼ばれてた)を「ウェルテル」のクライマックスで焼失してるんだけど。実は、鬼縫は、母の深己が自分の髪の毛を編み込んだ縄だった、と、「御呪子(onoroko)」では語られる。
「御呪子(onoroko)」では、深小姫は祖母にカットしてもらった自分の髪を、祖母の手を借りて、新しい式神になう。
アルビノと設定されている深小姫の新しい式神は、「白鬼縫」。
こんなふうに『低俗霊DAYDREAM』は、「物語の1つの終わりが、新しい物語の始まりであるような」そんな物語として完結した。
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書誌情報:
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』8(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2006.
ISBN 4-04-713779-0
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』9(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2006.
ISBN 4-04-713858-4
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』10(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2008.
ISBN 978-4-04-713953-4
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原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんの「低俗霊DAYDREAM」は、「口寄せ屋」崔樹深小姫が、心霊の関わる事件へ「対策」をしていく物語。舞台は、現代の日本だ。
10巻では、いよい
原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんの「低俗霊DAYDREAM」は、「口寄せ屋」崔樹深小姫が、心霊の関わる事件へ「対策」をしていく物語。舞台は、現代の日本だ。
9巻で、深小姫は
原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんの「低俗霊DAYDREAM」は、「口寄せ屋」崔樹深小姫が、心霊が関わる事件へ「対策」をしていく物語。舞台は、現代の日本だ。
8巻で、小姫は、



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