『機動戦士ガンダム00』のSFネタ解説その15:歴史改変
機動戦士ガンダム00を見て、出てくるギミックや台詞を元に妄想をたくましくしていくSFネタ解説シリーズの15回目。テレビの方も後半戦に入り、釘宮ガンダムも登場したらしい(未見)ので大ネタ中の大ネタ、歴史改変である。
いつものように、真面目七分にホラ三分、大嘘ついても小嘘はつくなの三割精神でやっていきたい。
ソレスタルビーイングという組織が200年前より、科学者を集めて組織を構築してきたという話は、テレビ本編でも語られている。
ちょっと、スカウトの場面を想像してみよう。
「**さんですね」
「そうですが、あなたは?」
「私、イオリア・シュヘンベルクの使いのものでして……実はあなたに折り入って頼みがあります」
「なんでしょうか」
「家族も名声もしがらみも、すべて捨てて、我々の仲間になりましょうっ!」
「帰れ馬鹿野郎っ!」
そう。
いわゆる“常識で考えて”とゆー流行語で言うならば、普通の説得では、人を集めるのは難しい。
もちろん、戦争のない平和な社会を実現しよう、という理想に共感する人だって世の中には多い。つまり、ソレスタルビーイングの理想がダメだというわけではない。私だって、戦争はイヤだし、平和な社会が来るならばそれに越したことはないと思う。
ようは、そのために払う犠牲やコストと、見返りのバランスの問題である。
その点でいくと、ソレスタルビーイングがこれまでに見せている「戦争根絶のための武装組織を作りましょう」では、説得力はきわめて乏しい。百年戦争が続いたアストラギウス銀河ならともかく、ガンダム00の作品中の200年前も今も、民間人の科学者や技術者が家族や周囲の迷惑を省みずに失踪してまで求めなければならない理想であるとは、ちょっと考えにくい。
とすると、ソレスタルビーイングのスカウトには、説得するに足る、聞いたからには協力せざるを得ない気持ちにさせる、何かが必要である。
「失礼しました。ですが、まずはこれをごらんください」
「論文のようだな。ふむ……こ、これはっ!」
「あなたの、論文です」
「だが、これは――私はまだこの論文を書いていない! 確かに草案はあるが、まだ実験データもこれから集めようという段階なんだぞ。だが、これは確かに私の――私の論文だ。どういうことなんだ、これは!」
「この論文は、未来から送られてきた情報です。およそ、200年の未来から」
「未来の世界で、タイムマシンが発明されたというのか。にわかには信じられないが、この論文は本物だ。だが、その……こういうコトを教えるのは、過去を変えてしまうなどの理由で、禁じられているのではないのかね?」
「はい。未来の情報を過去の人間に知らせてしまえば、未来は変わってしまいます。ですが、我々は未来を変えたいのです。ソレスタルビーイングは、そのための組織です」
「未来を変えたい、とは?」
「この論文が来た200年未来――人類は、滅亡します」
人類の滅亡。
数百万年とか、数千万年の未来であればともかく。
200年先の子孫たちの住む地球が滅びる未来が確実にあれば、自分にできることをしたくなるという人は多いだろう。
特に未来情報として、滅びる様子を写したデータがあれば――たとえば、コロニー側から見た、地球の映像など――説得力はいやます。
そして、まだ未登場のヴェーダが、未来情報を受信するタイムマシンの一種であるとするのならば、歴史改変は、現在進行形でなおも行われているという可能性もある。
もしかすると、ガンダムスローネら、チームトリニティは。
ソレスタルビーイングとガンダムマイスターたちの手によって改変された未来からの情報で、生み出されたのではないだろうか?
チームトリニティがこれまで影も形もなかったのも、そして、その存在をガンダムマイスターやプトレマイオスクルーが知らなかったのも。
この時間線では、彼らが本来は存在しなかったと考えるとツジツマが合う。
刹那たちの活躍によって変更された未来においても、やはり滅びは必然で。それを変えるためにさらなる歴史改変が必要であるとしたら。
未来のヴェーダが送った情報を、過去のヴェーダが受け取り、ガンダムスローネとチームトリニティを作ったのではないか。
ただ、歴史改変には注意が必要である。
あまり大きく歴史を改変してしまうと、どこまで歴史が変わったのかもよくわからなくなってしまう。人類の滅びを回避したはずが、別の滅びを呼び寄せ兼ねないのである。
だから、チームトリニティの存在が、そのままでは現在のガンダム4機とガンダムマイスターが失われかねない時にまで伏せられていたとしても、それは決して不思議ではないのだ。
さらにひょっとして、ひょっとすると。
歴史を改変したのはヴェーダですらないかもしれない。
電磁攻撃をくらって刹那が死にかけたその瞬間に――
彼のまだ死ねない、死にたくないという、その思いこそが時間をこえ、歴史に介入して――
新たなガンダムを“創造した”とは、考えられないだろうか。
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