新作詳細プロットニューバージョンその21:「勇者の正体」

長く続いてきた詳細プロットもあと4つ。
それでは、どうぞー。

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・「勇者の正体」

「勇人様は召喚されていません」
「え?」
「勇人様は、この世界にはいないんです」
「どういう……、こと?」
「あの方は、地球と呼ばれる世界から自分そっくりの魔法人形を遠隔操作して、この世界で『生活』しておられるのです。『MMORPG』と呼ばれる、ゲームに見せかけて」
「つまり……、あいつには、この世界がその、MMOなんとかの世界だと思わせていると?」
「はい」
「なんで召喚せずに、そんなややこしいことを……」
「それは……、この国、いや、この世界と、地球をめぐる政治的な動きについて話さなければなりません」
「前の大戦のあと、勇者正人様は前ザウウェン帝の姫君シルフィース様を妻に迎え、勇人様を含む四人のお子様をもうけられたことはご存知ですよね?」
「うん」
「その子供たちや、マサト様自身をめぐる、各国や地球との争いが水面下で起きていたのです」
「どうして?」
「勇者という『力』は、世界の均衡を崩す力だからです」
「勇者っていうのは、そんな危険なものじゃないはずよ!」

「勇者っていうのは、周りを助けたり、助けられたり、まとめたりして、強大な魔法や能力を駆使して、魔王や異世界の侵略者や狂った神を倒したりして、世界の危機を救ったりする、そんな存在のはずよ!」
「だからこそ、危険なんです」
「え……」
「いまあなたがおっしゃったとおり、勇者というのは他のジョブの力を借りたり、まとめたりして、大きな力を発揮する英雄の力です」

「その集まった力は、時として魔王や神ですら凌駕します。そのことからもお分かりでしょう。勇者とは、強大な力を持った『兵器』でもあるのです」
「……」
「正人様とシルフィース様との間に四人のお子様がお生まれになった後、その国籍をめぐる駆け引きが水面下のあちこちで行なわれました」

「お二人は、四人を地球でお育てになりたかったようですが、こちら側が姫の国籍やまた世界の危機が起きるかもしれない、ということを理由にして、誰でもいいのでこちらに預からせようとしたのです」
「それで……」
「正人様は地球側の小学校入学までを条件として、子供たちをこちらがわとあちらがわを交互に往復させる形でその条件を了承し、それを実行しました。……ある二つの事件が起きるまでは」
「ある二つの事件って、もしかして……」
「レシュワーニュ候事件と、神群事変です」
「やっぱり……」
「レシュワーニュ公が勇人様を誘拐して、人工勇者を生み出すための実験台にしようとしたことは、正人様の大変な怒りを買いました」
「それで一度は、お子様方全員を地球に引き上げさせようとしたのですが、シルフィース様がお引き止められ、リハビリを兼ねて、勇人様をタイクーン王室に預からせたのです」

(わたしやエルザと、同じように、か……)

「それでおねえさまが勇者の幼馴染に……」
「はい」
「勇人様のリハビリは順調に進み、完全にご回復なされるそのときに、神群事変は起こりました」
「神々を支配しようとした、人々のたくらみ……」
「それがきっかけで神群は深く傷つき、失われた神もありました。その代わりとなるべく選ばれたのが……」
「シルフィース様をはじめとする、大戦の勇者たち……」
「そうです。シルフィース様たちは自らを犠牲に、世界をお救いになったのです。でも、そのために、勇人様は幼くして母を失うことになったのです」
「……」
「勇人様をはじめとするお子様方は深く傷つき、この世界にいることを拒否しました。特に、母上に甘えておられた勇人様は、一時期心を閉ざしてしまいました」
「それを見た正人様は、お子様方を地球に引き上げさせ、自分の手で育てると宣言し、アークシャードの方々とは、一部を除いて断絶しました」
「……」
「そうして、月日は流れました。しかし……」
「しかし?」
「革命派や獣人たちの動き、それに、異世界の侵略者たちの動きなどが、再び勇者を必要としたのです。当然のことながら、勇人様もその一人に選ばれ、召喚しようという動きもありました」

「でも、正人様はそれを許さなかったのです。
 レシュワーニュ事件や神群の件で、勇人はアークシャードを憎んでいるかもしれない。それに、彼は高校生になろうとしている。彼には勉学がある。
 そんな大事な時期に召喚しては、色々と不都合が生じる。そうおっしゃって正人様は拒否しました」
「でも、その拒否を拒否したわけよね、こちら側は」
「はい。それでもなお、勇人様を召喚しようという動きは収まりませんでした」
「そこで正人様が目をつけたのが、勇人様のゲーム好きと、向こう側で開発中だったMMORPG『グランファンタジアオンライン』、そして、こちら側とあちら側の科学と魔法を融合して開発された、異世界越しでも遠隔操作が出来る魔法人形だったのです」
「つまり……、勇者に、この世界をその『グランなんとか』の中の世界だと思わせて、こっちに置いた魔法人形を向こうから操らせると……」
「その通りです。勇人様には、グランファンタジアオンラインのテストサーバー用のクライアントだと偽らせて、勇人様のパソコンなどにインストールさせていたのです」
「なんかよくわかんないけど、それであんな変なこと言ったり、おかしな動きとかしていたんだ……」
「ええ、寝落ちとか離席とかしていたり……」
「そう言えば、ちょっと疑問があるんですけれど……」
「なんでございましょうか?」
「どうやって勇者は魔法人形を動かしているの? それがちょっとよく分からないんだけど……」
「それなら、あなたは既にその答えを体験していますわ」
「え?」
「学園の工房で見てきた、様々な魔導の品々です」
「あ……!」
「人間型の魔導人形、物品や魔法の遠隔操作・発動システム、言語の翻訳・変換システムなどなど、どれもこれも、既に我がタイクーンの王立アカデミーと正人様の『カイシャ』が極秘で共同開発して、実用化していたんです」
「それがユウトの魔導人形に使われていたと……。あの博士達、本当にお疲れ様でしたというところだわ」
「知らずに開発を続けている博士達は、ちょっとかわいそうですけどね」
 そう言ってプリシアは苦笑した。
「なるほど、納得したわ。……でも、最後に、気になることが一つあるわ」

「なんでしょうか?」
「あいつ、本当はこのことを知っているんじゃないかしら? どうもにおうのよね……」
「え」
「こっちがあいつの動きを変だと思っているように、あっちだってこっちの動きを変だと思って当然だわ」

「あれほどの人だもの。わたしたちがあいつをおかしいと言えば、なんでこっちがおかしいのかと、思うはずよ」
「そうですわね……」
「もしかしたら、あいつは本当に気がついておられないのかもしれないし、気がついていないふりをしているのかもしれない。今はどっちか分からないけど……」
「それが勇人様の、お心遣いかもしれませんわね」
「うん。あいつは変人だけど、根は優しい人だものね」

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後四つでもまだまだあるお。
それでは次行ってみよー。

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