『七姫物語』高野和 1巻から5巻までの展開をまとめた地図

 高野和さんの『七姫物語』の『第五章 東和の模様』が出た。
 待ち望んでいただけあって素晴らしいできばえである。
 本の内容だけでなく、装丁にも気を遣われており、編集さんやイラストの尾谷おさむさんも含め、一冊の本を世に出すまでにこめられた優しい気配りの数々には、どこか空姫と、それを見守る周囲の人間と似た空気が感じられる。

 この第五章ではいよいよ一宮シンセンと二宮スズマが正面から戦う展開となった。
 内戦ということもあり、政治などもからんだ“ままならぬ”展開が私の好みにぴったりである。

 しかし残念ながら、本書には地図がない。
 地図を愛し、七姫物語を愛するファンとして、本文の内容から適当にあれこれ頭の中でひねくり回した地図を用意してみた。いろいろと間違っていたらごめんなさい。

東和全図 東和全図 

 これがまあ、東和全図である、西と北は、山脈に遮られているものの中原が広がる。感じとしては、中華と朝鮮半島の感覚であろう。南と東は海で、東には島国があるという。その先はめいびー大海で、海洋を利用した交易はこの時代、まだ盛んではない。
 その東和はゆるやかな中央集権体制にあったが、しだいに分裂の流れを強めている。そして主立った七つの都市が、先王の姫という七人の宮姫を擁してそれぞれの未来を模索しているというのが時代背景である。

七宮物語展開その1 七宮物語展開その1 

 そして最初に動いたのが、三宮ナツメ=四宮ツヅミの連合による七宮カセンの討伐である。
 西の内陸にある新興都市のカセンは、北の国境を経由して中原との交易も行われている。そこに流れてきたふたりの青年、テン・フォウとトエル・タウはおそらく、三宮ナツメと四宮ツヅミの“顔を潰す”ことを何度もしてきたのだろう。
 権力を維持するにあって、面子は何より大事である。特に中央政府の持つ法と統制がとれていない状態はヤクザの抗争とそう変わらぬゆえ、面子を傷つけられてはたまらない。
 三宮ナツメと四宮ツヅミは、面子=権威を守るためにも無理矢理に七宮カセンまで遠征させられたというのが実情だろう。
 だが、それはテンとトエルの掌で踊ることであった。遠征軍は敗北、軍と経済力、そして何より大事な威信が傷ついた四宮ツヅミはついに内部崩壊する。

七宮物語展開その2 七宮物語展開その2 

 もっとも経済基盤が脆弱な鉱山都市の三宮ナツメは、同盟相手であり商売相手であるツヅミが敵の手にあるままでは、経済が成り立たない。
 そのため無理でも自滅でも四宮ツヅミをめぐって七宮カセンと戦争を起こすしかなくなる。

七宮物語展開その3 七宮物語展開その3 

 だが、引くことのできぬ相手との戦いでは勝利しても傷が大きい。一宮シンセンや五宮クラセと六宮マキセの双子都市のちょっかいなども考えられ、結局、現実的な落としどころとして、七宮カセンと三宮ナツメが手打ちに入る。

七宮物語展開その4 七宮物語展開その4 

 ここにさらに、ずっと中の良い双子都市である五宮クラセと六宮マキセとも組んだ四都同盟が結成される。

七宮物語展開その5 七宮物語展開その5 

 しかしちょうどその頃、一宮シンセンと二宮スズマが間にある小都市の利権を巡って対立し、ついには武力衝突にまで広がる……のが、この五章(五巻)の前半までの流れである。

 以上、推測がらみでまとめてみた。
 本書を楽しむ手助けになれば、幸いである。

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