『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 開戦編(11~12)』安彦良和
■本日の読書:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 開戦編(11~12)』安彦良和
安彦良和さんのORIGINはいきなりガンダム初号機が大暴れした上コロニーの外壁に穴をあけてさっさと退場するなど愉快な独自展開が多い。ガルマ・ザビが地球方面軍司令官から北米司令官に格下げされた一方で、マ・クベが大佐から中将に昇進して地球方面軍司令官に成り上がっているなど、軍組織や階級面の微調整がけっこうある。ルナツーのワッケイン少佐も少将に3階級もランクアップしてるし。
ORIGINの11~12巻は一年戦争開戦数年前のエピソードである。
士官学校時代のシャアとガルマを中心に、モビルスーツ開発やララァのエピソードが描かれている。ララァに絡んで12巻ではチャクラムをくるくる回すアーガというオヤジが出てくるが、チョイ役のくせにやたら強く、なんかガンダムじゃないモノを読んでいるようで楽しい。
開戦編の圧巻は、ミノフスキー博士亡命事件でのジオンのザク(MS-05)と、連邦のガンキャノン(RX-77)による月面での戦いである。
ザク――それも旧ザク5機と、ガンキャノン12機の戦いだ。
結果はガンキャノン部隊の全滅。ザク部隊は1機も損失なし。12対0のパーフェクトゲームだ。
ガンキャノン側は名前なしの汎用キャラで、ザク部隊は隊長ランバ・ラル以下、ガイア、オルテガ、マッシュの黒い3連星とシャアである。パイロット補正はかなりでかい。
けれどパイロット補正以上に、旧ザクには何か香港映画っぽい演出が目白押しなのだ。
展開を簡単に紹介しよう。
MS運搬艦から12機のガンキャノンが月面に降下。
「博士の車を護れ! 追跡してきている敵モビルスーツを撃破する! 目標5! 距離400! 一斉射で叩くぞ!」
砲弾が12発(初期型なので左肩のみに搭載)発射され月面で炸裂。
その爆発の中から煙をたなびかせて跳躍する5機の旧ザク。
白土三平さんの忍者漫画みたいな動きで攻撃をかわしてガンキャノン隊長機に青いランバ・ラルのザクが迫りマシンガンの一連射。
着弾の衝撃で体勢を崩したガンキャノンのあごに跳び蹴り。頭が吹き飛びもんどり倒れるガンキャノン隊長機。周囲のガンキャノン部隊は 「わああ」 という叫びをあげて動揺する。
――このへん、まじでガンキャノンが「狼狽している」感じなのが安彦良和さんの絵だとよくわかる。
ラル隊長に続けとばかり、月面すれすれを飛びながら残りのザクがマシンガンで攻撃しつつ間合いを詰める。
くそ、やられてなるものかとガンキャノンの一機が至近距離に近づいたザクにキャノン砲を撃つ。これを紙一重で横にかわしたザクがそのままつっこんでくる。
必中を期した砲撃がはずれ、虚をつかれた(本当にそんな仕草なのだ)ガンキャノンへシャアのザクがショルダーアタック。
後ろの機体(なんでそんな密集してるんだ)を巻き込んで倒れる2機のガンキャノン。手にしたライフルで反撃しようとするもザク(シャア)のヒートホークが右手ごと切断。胸のガトリングで牽制しようとしても、ザクはそれをモノともせずに弾き、斧を振り下ろす。ガンキャノンの頭部が半ば胴体にめりこむ重い一撃だ。
後はなぶり殺しである。
こんなわけでガンキャノンごときではザク、それも旧ザクとすら勝負にならないという事実が判明し、連邦軍とテム・レイはガンダム開発へと動くわけである。


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