『ミミズクと夜の王』紅玉いづき
電撃文庫の新人作家さんの本。
『ドラゴンになった青年』や『青き月と闇の森』といった、ハヤカワな海外ファンタジー小説を思わせる良質の物語だ。
ライトノベルとしては珍しく、表紙をのぞくとイラストがない。表紙もどちらかといえば童話風で幻想的である。このまま中学生の課題図書として扱われてもおかしくない。
こういう本を読む場合、私は脳内でイラストや漫画をでっちあげる。
最初に脳内イラストとして起用したのは永井豪さんだ。ヒロインのミミズクが小汚い浮浪児風であるので、『オモライくん』な感じで。
これはこれで悪くないが本編の内容からするともうちょっと少女漫画っぽい方がいい。そこで次に脳内イラスト描きに登用したのが紫堂恭子さんだ。これだとミミズクが小汚くなくなってしまうが、夜の王とかアン・デュークら、他のメンバーにはぴったりである。夜の王はカイルを、クロちゃんはデシとダシで、そしてオリエッタは――ああほら、紫堂さんのヒロインってどれもあんな感じじゃない。はかなげそうな顔してながら、ここぞという時にどんな男よりもタフになるあたりが。
他にもメルヘンメーカーさんや竹宮恵子さんも候補にあがったが、今のところ紫堂さんが私の脳内では一番しっくりときている。
『ミミズクと夜の王』には特別に新しい内容も、目新しいネタもない。そんなものは必要ない。
この作品はこれで十分に面白いし、登場人物はいずれも魅力的だ。ライトノベルらしく文章が平易で読みやすい点も好感がもてる。最初は重苦しく破滅的な結末が待っているのかと身構えたが、まっとうにハッピーエンドでラブラブであった。
次の本も読んでみたいと素直に思える新人さんの本である。

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