『絶対可憐チルドレンTHE NOVELS B.A.B.E.L.崩壊』三雲岳斗&原作:椎名高志 原作への愛あふれる劇場版(風)小説

 原作漫画はTVアニメにもなった――広島では半年ずれてるのでその時間枠は『ハヤテのごとく!』を放映中です――人気漫画のノベライズ。

 漫画のノベライズについては、私はやや点が辛くなる。
 さらにそれが、長年のファンである椎名高志さんの、しかもSFであるところの『絶対可憐チルドレン』であればなおのことだ。

 さて、そういうしょっぱい&厳しい視点でこの小説を読んでみての結果は――

 100点満点中、120点!

 文句なし、どころか。書いてくれてありがとう、である。
 内容は小説オリジナルエピソードだ。オリジナルであるし、テキストは三雲岳斗さんでもあるが――そのテイストは椎名高志さんの原作漫画そのままだ。
 皆本も、薫も葵も紫穂も。
 そして、登場する他のキャラクターたちも。
 さらには小説オリジナルな落葉も威河も。
 すべて原作漫画である『絶対可憐チルドレン』の雰囲気をまとっての登場となっている。

 キャラクターが原作そのままな上で、ストーリー部分はかなり踏み込んだ作りになっている。
 漫画の1エピソードがTVアニメで言うところの1話分、と考えるのならば、この小説で描かれたストーリーは、TVではなく劇場版アニメである。おおむね90分ものだ。

 正体不明の超能力者によるテロ。
 その調査する中で超能力者を狙った連続誘拐事件とのリンクが見つかる。
 さらに、事件の背後に見え隠れする黒幕の存在。

 そして、B.A.B.E.L本部が襲撃、占拠されるにいたり、事態は一気にクライマックスへとなだれ込む。

 詰め将棋にも似た、分かりやすく綺麗なストーリー展開である。こうした論理的にモノゴトが進んでいく流れは椎名高志さんの漫画にも、三雲岳斗さんの小説にも見られる。ふたりの物語作りに対する嗜好の共通性が、この小説における違和感のなさ――無理をしてストーリーを原作漫画に合わせたわけでもなければ、ストーリーに合わせて原作漫画のキャラが動いているわけでもない――につながっているのではないかと思う。

 なお、全体的によく練られたストーリーの中で、矛盾やらうまくない部分を一手に引き受けているのが、事件の黒幕である。この事件において黒幕の行動には明らかな無理があり、どう考えても後でバレて酷い目にあうはずである。小説では、あまり出番のない兵部(ファン大感謝)がばらしているが、必要ないはずだ。あまりに露骨に、あまりに多くの人間と金と資材を動かしているせいである。が、そういうのを全部分かった上で、『ランブルフィッシュ』の“電磁シールド”みたいな扱いをしているのも明らかなので、ここでツッコムのは野暮というものだろう。

 そういうわけで椎名高志さん、三雲岳斗さん、どちらのファンにとっても大満足な一冊である。

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