『ベン・トー2 ザンギ弁当295円』アサウラ 半額弁当を巡る真剣バトルの2巻。ノリもよくなり新キャラもエロい。文庫本のお値段半額……ではなくて据え置き[本体590円+税]だがこれは“買い”だ!

 1巻の『ベン・トー サバの味噌煮290円』が面白かったので、続けて2巻目を。
 1巻の冒頭が、読者=主人公=半額弁当バトルってナニ? というところからスタートしたので、我が友、椎出さん曰くところの

「序盤のダメっぷりは、香港のカンフー映画を彷彿とさせます」

 であったのに対して、2巻はすでに半額弁当を巡るバトルは“当然のモノ”として受け入れられており、序盤から軽快にトばしまくる。ノンストップの面白さである。1巻が面白かった人は、ぜひ2巻も。

 読んでいて最初に私が爆笑したのが、p51の白粉ちゃんと佐藤君のやりとりである。
 ふたりとも、1巻の序盤に比べると、実に生き生き……というかノリノリというか、とにかく、楽しそうである。

 そこでふと、「じゃあなんで1巻の序盤は苦しかったのやら」と読み直してみると……

 なんと、1巻の序盤はふたりそろってボケ役である。そりゃ苦しいわい。

 白粉ちゃんが腐女子であり佐藤君をネタに『筋肉刑事』を書いているということが判明するp85まで、佐藤君は白粉ちゃんにどう対応すればいいか分からず、ふたりのノリはきわめて悪い。ボケがふたり並んでもどうにもならないのである。遠慮なくツッコミが始まるのは、その後のことだ。

 これが2巻では、佐藤君が白粉ちゃんのそうしたボケに対して序盤から容赦なくツッコミを入れている。ココアの部分は素晴らしいが、それ以外でも白粉ちゃんのホモ妄想が始まるたびに束ねた後ろ髪を引っ張っている。ボケとツッコミは、こうした定番のアクション=リアクションがあれば安定するのだ。

 さて、この巻では新キャラとして佐藤君の従姉、奢莪あやめが新たな狼として登場する。このあやめ嬢、半額弁当をめぐるハンターとしてだけでなくヒロインとしてもかなりのハイスペックを誇る。1巻の槍水先輩はヒロイン的には、完全に無自覚な天然キャラなのでどうしても地道な積み重ねがないとツライのだが、奢莪あやめはそのへん、実にアクティブである。

 ただ、残念なのは、アクティブに心情を吐露する場面が三人称になっているという点である。特に最初の三人称(普段は主人公の佐藤=僕の一人称)記述になるp79は、読み始めて1ページくらい、三人称に切り替わったことに気が付かず、驚いた。驚いただけではなく、実に残念であった。ここ(p79~89)は三人称の形をとっているが、明らかにあやめ嬢の心情メインである。ココは一人称「アタシ」であった方が、ヒロインとしての破壊力もいや増して良かったのではないかと思う。これは、クライマックス直前(p236~250)も同様だ。女装前にも三人称はあるが、これは単純にカメラワークの問題なので、そこまで一人称にすることはない。

 何より、どうして、最初のあやめ嬢のパートの最後に、

「トライ・アンド・エラーを要求される状況って嫌いじゃない」

 が入らないのかと。

 佐藤のバカに、バカな佐藤に。
 生まれた時から「トライ・アンド・エラー」を重ねてきたのではなかったのか、蘇我あやめよ!

 ただまあ。
 あそこでそれ入れてしまうと、完全に槍水先輩をヒロインとして凌駕しちゃうからなぁ……。すでにヒロインではなく漫才の相方としての確固たる地位を持つ白粉ちゃんとも違って、槍水先輩は『魔術師』金城さんとの因縁がらみなので、過去話を含む展開がはじまる物語終盤にならないとどうしても話が動かないのだ。

 なお、2巻でもう一箇所、私がけたたましく深夜に笑い声をあげたのは、p105の単一乾電池の場面である。ココは我が友人の液体窒素君も電車の中で読んでいて、してやられたと言っていた。分かる分かる。

 3巻が出るかどうか、いつ出るかは分からないが、楽しみに待ちたいシリーズである。

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