キョン子が主人公になったらどうなるか

 キョン子とは何者であろうか?
 それを答える前に「涼宮ハルヒの憂鬱について軽く説明しておこう。
 「涼宮ハルヒの憂鬱」(以下現ハルヒと略す)
 といえばもう押しも押されもせぬ人気ライトノベルである。
 どのくらい凄いかというと、ハルヒシリーズの売り上げ部数は約500万部らしい。というので大体のすごさは判ってもらえるだろう。

 キョン子について語るには、まずその前に現ハルヒについて語らねばならぬ。
(割と最近の風潮に乗るような、記号で物事を語るような話になってしまうかもしれないが)
 現ハルヒにおける物語の魅力を見ていこう。
 SFが、ミステリがどうの、と小難しいことはあるが、大抵のライトノベルにおいて、重要視されるポイントがまずある。
「萌えるか、萌えないか」
 単純で判りやすいと思う。
 現ハルヒは主人公の男子高校生キョンの一人称視点で、危うくすると冗長になりそうな長い口上によって語られる。
 メインヒロインは当然、涼宮ハルヒ。
 このハルヒはかなりジャイアン的思想の持ち主で、しかも世界を軽く変えられちゃうくらいの能力を持っているなんとも危険な人物だ。
(しかも能力は意図的に使うことができない)
 事あるごとにキョンに無茶な事を言ったりやったりするのだが、それが実は動物における親愛表現および求愛行動だったりする。
 ところがこれが中々、読者を選んだりする。
「ただのワガママな女にしか見えない」とか「何でこれが可愛いんだ」とか。まあそういう意見も、あるだろう。
 しかしハルヒに萌えない顧客をがっちりサポートするのがサブヒロイン達である。
 年上で巨乳でドジっ子の朝比奈みくると、
 無口メガネの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス(長げえよ、要するにアンドロイド的な何か)長門有希である。
 他にも鶴屋さん、朝倉さん
(この二人はアニメ化によって顧客層を大きくつかんだ感がある)
 他にも多数おり、さらには最新刊で新たに4人も女性が登場することになり。もはやこれなんてエロゲ? 状態だ。
 この受け口の広さが安定感につながっているのだろう。
 要点をまとめると ・ハルヒがジャイアン ・女性キャラが多い 以上、二点である。
(なんかひどい言い様だ)

 長くなったがキョン子を説明する。
 キョン子とは、ハルヒの登場人物を性別逆転させた作品
(「涼宮ハルヒコの憂鬱」というのが一般的な呼ばれ方らしい。男性化ハルヒ=ハルヒコ)
 において出てくる、主人公キョンの女性化キャラクターのことである。
 この性別逆転物は二次創作においてよく見受けられるシチュエーションだ。
(性別逆転物=一般的にTS物と呼ぶ。
 そういえば、僕も一時期エヴァのTS物の二次創作小説にハマったことがある。
 主人公碇シンジが女性化するTS物であった。実に欲望に忠実でダメであるw)
 
 この「涼宮ハルヒコの憂鬱」の中でもひときわ人気なのが、キョン子である。
 長いポニーテール
(おそらくキョンの好みがポニーテールだったからだと思われる。ポニーテール好きにはたまらないだろう)
 で心もとない胸囲(希少価値かつステータス)、
 何だかんだと長口上の文句(原作に忠実である)
 を言いつつもハルヒコの無茶な要求に振り回される様は、割とスタンダードなツンデレを連想させつつも苦労人をイメージさせ、
 かつワガママな弟の面倒を見るような姉さん属性も兼ね持つ、素晴らしい出来栄えだ。

 そして本題である。
 この(主観的に著しく愛らしい)キョン子を一人称とした小説、「涼宮ハルヒコの憂鬱」は果たして、現ハルヒに対してどういった変貌を遂げるのだろうか?
 べっつに今のままでもいーじゃん、という訳にはいくまい。なぜか。
 まず第一に挙がるのが萌える対象の少なさである。
 先ほど、現ハルヒにおいてのポイントとして ・女性キャラが多い というのがあった。
 そりゃそうだ、基本として男性がターゲットとして書かれてるのだから。
 キョン子に加え女性化古泉だけで男性読者を抱えることになる。

 そして次に、女性から男性化したメインキャラだ。
 ハルヒコ、朝比奈、長門である。
 この三人のキャラというのはかなり欠点がある。
 一人はジャイアンだし、一人はどうしようもないドジっ子だし、一人は何考えてるのかわからん人外だ。
 それでも現ハルヒにおいては男性読者から見れば問題は無かった。何故か。
 可愛かったからである。
 そりゃもう多少問題はあろうと無かろうと、可愛ければもう大部分においてはオッケーなのだ。
 どっこい、これが同性側から見ればどうなるか。
 どこかしら欠点、というかかなりダメな人格の男性たちが、それはそれは可愛い(俺達の)キョン子に対して群がっているのである。
 これは正直、イラッとくる。
 何で(俺達の)キョン子がハルヒコみたいな好きな女の子にイジワルしてるような奴のご機嫌伺いせにゃならんのだ、という風になっても無理は無い。
(そんなキョン子が可愛い。という意見もあるのが現状のキョン子萌えでもあるのだが)
 これはかなりコアユーザー向けな作品になってしまうこと請け合いである。
 ヒモかおめーら!

 さて、ではどうするか。
 先ほども書いたが、「涼宮ハルヒコの憂鬱」はハルヒの登場人物の性別が入れ替わった状態である。
 つまり ・女の主人公の一人称 ・男性キャラが多い という状態だ。
 ならば、対象読者を変えればいい。
 男性メインで据えられていた対象読者を女性向けへとシフトするのである。
 さぁ、これで円満解決だ。という風に収まればいい。
 しかし、そもそも男性向けのストーリーとして書かれた現ハルヒをそのまま性別シフトしただけでさあ女性向け小説の出来上がり、というのはいくらなんでもひどい。
 とするならば女性向けの要素を増やすというのが筋であろう。

 少女小説の要素の一つとして、(時には身分・性別を偽って)男性社会で戦う・活躍する女性というのがある。
 知っている例としてあげるならば「ベルサイユのばら」「マスケティア・ルージュ」「彩雲国物語」あたりだろうか。
(「花ざかりの君たちへ」というのもあったが残念ながら詳しくは無い)
 ためしにこれを取り入れてみたらどうか。

 ――舞台はお坊ちゃま達が通う男子校。キョン子は何らかのアクシデントにより仕方なしに男子校に身分を偽って入学することになってしまう。
 そこで出会うのはハルヒコをはじめとする個性的過ぎる面々。
 ハルヒコを除くSOS団の面々によってハルヒコの重大性を伝えられながら、キョン子はとんでもない非日常的日常に巻き込まれてしまうのだった。
(古泉は男性でも問題は無いだろう。
 朝比奈、長門、古泉に関してはキョン子の性別を知っていても良いかもしれない。
 なんてったって未来人に宇宙人に超能力者だから)
 ハルヒコはキョン子のことを普通に男だと思いながら、良い親友関係をはぐくんでいく。
(ここでキョン子は3人から崩壊防止のためにハルヒコへ性別を明かすのを止められたりしても良い。
 そんな中で相手は男だと思いつつもちょっとドキドキするハルヒコとか、キョン子の戸惑い男子校生活とか)
 そんな感じの物語。

 いかがだろうか。
 何よりキョン子が心もとない胸囲にサラシまで巻いて男子学生服を着るというのは、個人的にかなりポイントである。
 基本として女性向けの物語として展開しつつ、キョン子目当ての男性はがっちり抑える。
 そんな方向でひとつ。

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キョン子のものがたり

いや、それ「桜蘭高校ホスト部」だから


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