一条ゆかり、著、『プライド』9,萌、凄みの捨て身技で、1本(笑)

 ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの最新作『プライド』。
 オペラ歌手の一流を目指す美女2人、史緒(麻見史緒)と萌(緑川萌)の、プライドを巡るラブ&バトル☆

 9巻です☆ ユニットS.R.M.が再結集します。

 史緒と萌は、ベティのワールド・ツアーに参加してるラン(池之端蘭丸)に上海で合流。帰日するS.R.M.は、世界デヴューしてたランと、CMの人気とで、凱旋帰国が華やかに演出されるんだけど。楽屋裏は、もー、タイヘンです。

Cover image

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 この記事では、『プライド』9巻の内容について、不必要なネタバレは避けながら、ご紹介してみます。
 ただ、8巻までの内容は、必要に応じて、随時言及します。9巻から、読みはじめる人って、そんなに多くないと思いますし。

 『プライド』をまったくこれから読む人むけには、「一条ゆかり、著、『プライド』1~9,ステージの上の2人」を、別に書いてみました。
 ほかにも、用語:プライドからも、色々レヴュー記事がたぐれます。よければどうぞ。

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 8巻でウィーンのコンクールの決着が付いて。物語が新しいフェーズに向かう9巻。ただ、第3部スタート、とかではなくて。それぞれのキャラにとっては、音楽生活が連続してて、読者には、着実に新しいフェーズに物語が入ってると感じられる描写が、ワクワクして楽しい。

「一晩経って少しは落ち着いたと思うから言うけど」と、眉間にしわを寄せて切り出すラン。
例によって(笑)史緒と萌とが一戦やらかした、翌日のこと。

「仲良くなってくれともケンカするなとも言わん!」
「とにかく仕事はちゃんとやろう!」
「人が見てる前では仲良しのふりもするべし」

 ベティのワールド・ツアー、上海公演に3人が合流した次の日の、ホテルでのランのセリフ。
 コンサートの後、ベティを囲んで、S.R.M.再結集を仕組んだプロデューサーも交えたディナーがあって。席上、例によって史緒と萌が、派手にやらかしたのです(笑)。

 で、翌日「一晩経って少しは落ち着いたと思うから」と、ランが切り出したわけ。
 ワールド・ツアーでは、ベティ女王様がブチ切れた時の懐柔役を、スタッフ一同の絶大な信頼の元、押し付けられてるラン。“猛獣使い”(笑)とまで呼ばれてるランがS.R.M.のリーダー風に、史緒と萌とに下すお裁きには、安定感が出てきてます。

 水と油のような美女2人が繰り返すぶつかり合いは、ある意味、ドラマチック・ラブ&バトル『プライド』の肝なんですけど。
 9巻のディナーのシーンは、ことに面白いです☆

 なんと、萌がディベートでベティに勝つんだけど。例によって、捨て身技(笑)。

 ランの師匠のベティは、巻が進むに連れ存在感増してるわー。アタシ、ディナーのシーン読んでわかっちゃいました。
 ベティって、ランよりピアノがうまくって、ステージの上では史緒よりも気高くて、そして、ステージの外では萌よりも性格悪い(笑)キャラではないですか。これは、存在感あるわけですよねー。

 食後酒の上の話で、実はベティは孤児で捨て子で、教会でピアノを覚えた、って逸話が本人の口から語られる。
「す… すみません よけいなことを聞いて」と焦るのは、話をふったプロデューサー。
「今まで黙っていたのは悲劇のヒロインで売られるのが嫌だったから」隠す気は無いから、気にすることない、とクスクス笑う女王様。

「いいですね親に捨てて/もらえるなんて/うらやましい」と、萌。
「妙な言葉が聞こえたんだけど/言い間違いでしょ?」と、ベテイ。
 ここ、英語の会話のハズなので(ヨコ組)。「いい間違いでしょ?」となるんだけど。

 萌は、「うらやましいって いいました」と応じる。

「私は とっくに母を捨てているのに 母が私を捨ててくれなくて/うちは母子家庭なんですけどね」
「イタリアまで逃げた私を探して金の無心をしてくるんです/最低でしょ」
「一度ホントに殺そうとしたんだけど/神野さんに止められて」
「今でも後悔してるんです」
「何で あの時 殺しておかな かったんだろうと」

 間を置いた萌は、出生の話「絶対 公表しない方がいいですよ」とベティに語る。

「捨てた親は/どう考えても/貧乏ですよ」
「自分の捨てた/子供がベティだと/知ったら 絶対/食いついて/離れませんから/
 マスコミを利用して/涙の美談になって/一生側にいますよ」

 ここで、いたたまれなくなった感じの史緒が、よせばいいのに乱入。
「何か事情があったのかもしれない」「人間が全員お金に目が眩むと思うのは考えが卑しすぎる!」

 こ・れ・で、萌えがブチ切れちゃってー。
「それをやったのは史緒さんじゃない!」
 と、この辺から日本語(タテ組)に。
「神野さんが貧乏だったら結婚なんてしないくせに/蘭ちゃんが金持ちだったら別れなかったはずよ!」

「あんたみたいに/いい人だって/そうなるのよ!/
 子供を捨てた/親なんか もっとよ!!」

 恋愛関係、自分でも悩んでないわけではない史緒は、返す言葉もなくて、顔を真っ赤にして黙っちゃうんだけど。
(日本語は解からないのに内容はわかる……)とか、ベティは、目をキラキラさせてるのでした(笑)。

「モエ」「ステキよ あんたの その黒い考え/同感よ」
「ご忠告通り出生のことは秘密にするわ」

 とまー、萌は、ディベートに勝ったは勝ったんだけど。
 女王様に「面白いもの見せてくれたから」って勝ちを譲っていただいた感じ(笑)。

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 読者にとっては、毎度毎度の萌と史緒のいがみ合いですけど。
 このシーン「あんたみたいにいい人だって」って萌のセリフが注目されます。
 アタシはこれは、皮肉とかではないと思うのね。
 いや、萌には皮肉のつもりもあったかもしれないけど。もう、深いところで負けを認めちゃってる気がする。
 とゆーわけで、ブチ切れた時の捨て身技に、ますます凄みを増してる萌(笑)。

 読者にとっては毎度でも、これだけのやりとりの場に同席して、自分のことも引き合いに出されたのに、翌日は、きちんとお裁きしてるラン。S.R.M.の3人は、みんな成長(?)してるのよー。

 え? 史緒ですか? 史緒も、ちゃんと成長してますよ。
 数ヵ月ぶりに会った「プリマドンナ」のママ(ランのお母さん)も「スケールが大きくなって急成長してる」って言ってるし。

 ただ、史緒の婚約者の神野氏は“人格的には大人でも/男に関しては小学生並み”とか思ってる(笑)。

 アタシも、職業歌手としては立派に成長したけど、内面はまだまだ未熟ってアンバランスさが、史緒にはある、と思うんだわ。それに、このアンバランスさは史緒の魅力でもあると思うのだ。

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 9巻から先の『プライド』、何がどうなるか、期待はしても、もう予想できない。9巻って、連続ストーリーでは、つまり中短編連作形式以外では、マンガ家一条ゆかりの最長記録のはずなのね。
 予想はできないけど、あーもあろー、こーもあろーと先の展開妄想するのは、すっごく楽しいです☆。

 読者としての近場の楽しみは、とりあえず、この先、史緒がどれだけ追い込まれるか(笑)、とか。
 だってー、1巻~2巻で、唇噛むようにしてた頃の史緒と比べると、9巻の史緒、まだまだ余裕感じるんだもん。
 歯軋りしてるような萌に負けないくらい、恋愛方面で、史緒も追い込まれてくと、面白くなるわよねー、と、楽しみ。

 ベティみたいな例もいるわけだし、内面小学生なみなまま、立派な歌姫になる、とかしないかしら??

 もー、アタシには予想はできない領域なんですけど。
 期待がますます膨らむ9巻☆ ダメ母親の自堕落な誘いに追い込まれる萌もいい。

 1巻で、プライドなんて「そんな役に立たないもの/捨てました」って、史緒に言ってのけた萌だけど。本当にプライドが無いキャラと言うと、作中では萌ママが1番(笑)。

 どーなるッ!? 「プライド」を巡るラブ&バトル! と、新フェーズに突入する9巻なのです☆

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『プライド』の9巻には、雑誌「コーラス」の、20076年11月号と、2008年1月号~5月号の掲載分が採録されてる、とのこと。

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書誌情報:
一条ゆかり,『プライド』9(クイーンズコミックス コーラス),集英社,Tokyo,2008.
ISBN 978-4-08-865487-4

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 ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの最新作『プライド』。
 オペラ歌手の一流を目指す美女2人、史緒(麻見史緒)と萌(緑川萌)の、プライドを巡るラブ&バトル☆
 10巻です☆

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 ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの最新作『プライド』。
 オペラ歌手の一流を目指す美女2人、史緒(麻見史緒)と萌(緑川萌)の、プライドを巡るラブ&バトル☆
 9巻が刊行


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