「佐藤さん」GA文庫テーマ大賞用プロット 中盤その1
登場人物
三ツ木 誠人(みつきまさと) これといって取り柄のなさそうな男。175cm
佐藤 こまき(さとうこまき) 謎の少女。155cmくらい
八木田 明輔(やぎためいすけ)その名前とふてぶてしい面から、人はヤギと呼ぶ。呼ばれると嫌がる。170cm
中盤の佐藤さんの魅力を伝える&行動が佐藤さんなりの好意だと伝えるための文章。
ここからネタの修正と増量をして原稿用紙10枚ほどにする予定。
ではどぞ。
******************************
「で」
誠人は頭痛を抑えるように、頭に手をやった。
アパート。誠人が自分の部屋を開けるとそこには佐藤さんがいた。
「何でお前がここにいるんだ?」
佐藤さんは無言で例の『おともだちノート』を開く。まだ誠人の他に書かれた名前はない。
そこには誠人の名前の下に、何故か住所が書いてあった。
当然、誠人が書いたものではない。
「どうやって調べた!?」
誠人の問いには答えない佐藤さんは、ごそごそと鞄を探っている。
そこからピンクのエプロンが出てきた。
一見、ただのエプロンに見える、だがもしかすると……!
「このエプロンに秘密が?」
緊張した面持ちで、かわいらしいフリルつきのエプロンを手にとって眺める誠人。
何か機械が入ってるんだろうか。それとも何かの機関の徽章が……。
陽にすかしたり、素材を調べたりひっぱったりしている。
「それはただのエプロン」
あっさりと佐藤さんが否定する。
「俺がまるでエプロンマニアみたいじゃねえかよ!」
結果的にはぐらかされた誠人が佐藤さんに聞いた。
「まぁいいや……今日はなんで来たんだよ」
そう、今日は土曜日だった。
授業は休み。
佐藤さんは誠人の手からエプロンを取ると、ちゃちゃちゃっと身に着けた。
小柄な背丈に、かわいらしいエプロンが良く似合っている。
ファンファーレが後ろから聞こえてきそうなくらいだ。
「ああ、うん。良く似合うのはわかったから」
とそこまで言って、ようやく誠人はエプロンを身につけている事に納得がいった。
「あ、そういうことか」
……。
「いや待て待て」
なんというかその、その状況と言うのは、男なら誰しも嬉しいながらも、やっぱり恥ずかしいものがあるんだが。
と、誠人が躊躇っていると。
いつの間にか佐藤さんの姿はない。
アパートのドアが既に開いている。
「うおっ」
もう進入していた。
いやまあ別に引っ越してきたばっかりだから部屋も汚れてないからいいんだけどっ。
知り合いつうか、自称おともだちの女の子を家に上げるのはやっぱり心の準備がっ!
などと焦っている間に、佐藤さんは冷蔵庫を物色している。
だがしかし、その中は悲しいくらい何も入ってない、お寒い状況だった(冷蔵庫だけに)。
しばらく冷蔵庫を見つめていた佐藤さんはすっくと立ち上がると。
「何か食べたいもの、ある?」
と聞いてきた。
「え、いや。そーだな……別に何でも」
そう言われも急には思いつかないのがなんとも情けないところであるのだが。
何でもいい、と言いかけた誠人。
佐藤さんが鞄に手を突っ込むと、先日の子豚を取り出した。チャーシュー。
ぷぎ。
「よくないなっ。豚は駄目だ! とにかく豚は食いたくないなもう二度と食いたくねえ!!」
「……そう」
何故か残念そうに、子豚を床に放る佐藤さん。
お前は俺にどんな返答を期待してたんだ。
「そうだな、なんか魚とかがいいな。うん」
あれなら捌いても大丈夫そうだし、と間違った理由を求める誠人。
「わかった」
こっくりと頷いて誠人のアパートを出る佐藤さん。振り向かずに一言。
「待ってて」
そこに誠人はなぜか、戦士の背中を見た。
日曜日。
「おかしいだろッ!?」
部屋に誠人のツッコミが響いた。
佐藤さんが誠人のアパートを出てから既に丸一日が経過していた。
「どうしたらそうなるんだー!?」
ごろごろと畳を転がる誠人、空腹の末に動かなくなる。
昨日から外出してない+家に食べ物がない=昨日から何も食べてない。
佐藤さんに連絡しようと思っても向こうの連絡先は知らない知るわけがない。
まさか、またいつぞやの特売のように道に迷ってるんじゃ?
誠人がふと思いついたがそれも良く考えたら違う。
向こうは誠人の連絡先を知っているのだ。道に迷ったなら連絡が入る……はず!
もう、もう我慢の限界だ!
誠人がコンビニに行こうと立ち上がった、その時!
ぐわっしゃああああん!
「ぎゃあああ!」
窓ガラスが盛大に割れた。
割れただけではない、そこから侵入するモノがあった。
ゆうに4メートルを超えるスラっとしたフォルム。
上あごから伸びた、胴体と同じくらいの長さの鋭い槍がキュートだ。
魚にしては珍しく鱗のないつややかな肌、ふっくらとした紡錘形のボディ。
他のカジキ類よりも大きめのくりっとしたつぶらな瞳。
どこからどう見てもメカジキだった。
そして、その魚の上に騎乗しているスカートの少女。
佐藤さんがいた。
「ただいま」
誠人はつい先ほどまで寝ていた所を深々と刺し貫いているメカジキを目に震えていた。
「し、死ぬかと思った……」
「急いでたから、飛んできた」
「本当に飛んでくるなーっ!!」
誠人の突っ込みは気にせずに佐藤さんはひらりっとメカジキから飛び降りる。
いやいやスカートでそんなに動き回るなよ、という突っ込みはかなり優先順位が低いので置いておこう。
というかあまりに突っ込みどころが多すぎてもう処理不可能だ。
「時期のものじゃないから、ちょっと遅くなった」
「そういう時は連絡しよーな……」
「それにしても、よくこんなもの買ってきたな」
と誠人がメカジキをぺちぺち叩く。
……はて。
ほんのり、温かい。
メカジキは高速で泳ぎまわる回遊魚だ。
時にその速度は、時速100キロにもなるという。そんな速さで泳ぐものだから体温の温度も魚類にしては高い。
20度を超えるのだ。
体温というのは、血中温度ということだ。
つまり、このメカジキの中には血が詰まっていて……。
「買ってきてない」
佐藤さんが誠人の横にならんで、呟いた。誠人が嫌な予感とともに、そちらを見る。
そこにはノコギリではない、斧を高々と振りかぶる少女がいた。
「獲ってきた」
言いながら、斧をメカジキに向ける佐藤さん。
斧が、重さと遠心力そして少女の膂力を全身に受けて、旋風を巻き起こしながらメカジキに叩きつけられた。
生じた風が、佐藤さんのスカートを巻き上げる。
「あっ」
佐藤さんが動揺の声を上げる。
スカートの先には……びしゃあ。
それが誠人の目に入る寸前、メカジキのすぐ横に座る誠人の顔と、佐藤さんの体におびただしい量の血が降り注いだ。
血に濡れることは全く気にせず、佐藤さんはちょっと顔を赤くしながら、スカートを抑えて誠人に尋ねた。
「……見た?」
顔の半分以上を血に濡らした誠人が、意識を失った。
「……はっ!」
誠人ががばっと起き上がると。
そこに血塗れた佐藤さんもメカジキも居なかった。
「夢、だったのか?」
額にかいた嫌な汗を拭きながら、誠人はあたりを見回した。
「おはよう」
そこにはちょこんと座る佐藤さんと、ちゃぶ台の上にはカジキ丼。
「ああ、寝ちまったらしい……それにしても嫌な夢だった」
いやちょっと勿体無かったという思いも抱えつつ、佐藤さんと誠人がご飯を食べ終え。
「それじゃ」
と一言だけ告げて佐藤さんが帰った。
「さて、布団でも敷くか」
と誠人がちゃぶ台を片付けると、そこで誠人は目にすることになる。
深々と開いた、穴を。
悲鳴がアパートに響いた。
最近のコメント
1日 12時間前
1日 13時間前
3日 13時間前
2週 6日前
2週 6日前
3週 2日前
4週 6日前
6週 23時間前
7週 1日前
8週 3日前