覚書:チャットのチップス「対義語の活用」

 ちょっと、思いついたことの覚書メモ。チャットでのやりとりをきっかけにして思いついたの。それだけ。

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 チャットみたいなやりとりでは、キーワードの意味を狭く固定しすぎると、うまく話が進まないことがある。
 しばしば、ある。

 定義をきちっと決めて議論するのは、アタシ嫌いでないんだけど。
 きちっと定義を決めた議論に、チャットは、あまり向いてないよね。それなりの場のセッティングや、目的、適用範囲の限定などが必要だから。

 例えば「現実」って単語がある。

 よく言われるけど、「『現実』の対義語を1つ挙げてください」って、大勢の人に聞くと、答えは1つではない。無数でも無いはずで、幾種類かの答えに絞られると思える。

 例えば、「現実」-「理想」、「現実」-「夢」、「現実」-「虚構」。この辺は多く出てくる対義語と言われてる。

 他に、マレに出てくる答えもあると思う。「現実」-「ロマン」なんて答えは出てきそう。

 単語が文章のパーツに使われるとき、普通、辞書に載ってるような辞義が、文法ルールに則して機能して、意味が絞り込まれる。それでも、単語ってのは、普通は多義的だから、うまく意味が絞り込まれたり、絞り込まれなかったりしちゃう。
 だって、辞書に載ってるような辞義は、単語が意味しえる用法の代表例にすぎませんから。

 実は、文章の意味がうまく表現されたりされなかったりするには、単語が孕む「~~ではない」って意味(差異)も関わる。

 差異が孕む意味(示差的な意味)は、別に対義語系だけではないけれど。
 ここで、対義語に絞って書いてるのは、この覚書を書くことにしたきっかけとの関係。示差的な意味はたくさんありすぎて、絞らないと全部挙げてられないし。

 チャットみたいなやりとりでは、キーワード(例えば「現実」とか)の意味を狭く固定しすぎると、うまく話が進まないことがある。

 「じゃぁ、やりとりの前にきっちり定義しましょう」みたいなアプローチは、チャットには向いてない。やるとしたら、よっぽどの場合だと思うのね。
 で、1つのチップスとしては、互いに相手の用法の対義語はなんだろう? とか考えてみる手はある、と思った。

 互いに、相手の用法はこんな風なのかな? とか、思いながら、やりとり重ねて、手探りしてくのって、チャットらしいような気がするんですね。
 その時、「相手が使ってる『キーワード』の対義語はなんだろう?」と考えながら、やりとりを重ねてくのって、1つの手だと思えるわけです。

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対義語検討のイニシアチブ

 対話を試みるときに、話題のキーワードについて、相手の用法から想定される対義語を考えてみることを、対話参加者がそれぞれやってみれると面白いんじゃないか。

 親記事ではそんなことを書いてます。
 タマタマのきっかけで、思っただけなのですが。

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 対義語は、「~~ではない」って差異、つまり「示差的な意味」を掴みやすくていいですよね。
 「示差的な意味」は、別に対義語との間だけに生じるわけではないのですが。対義語だと把握しやすい。

 例えば、ある単語について、類語との間の示差的関係からも意味は生じるのですが。
 類語を考えると、しばしば、示差的な意味よりも連想の方に思考がひっぱられがち。

 「現実」の類語を考えてみると。
 例えば「実情」とか「実在」とか、あるいは「実態」とか「実体」とかのはずなんですけど。

 「現実」と「実情」を使い分ける方がふさわしい場合、あるいは、「現実」って単語の使用をさけるとして「実情」を使った方がふさわしい場合と、「実態」を使った方がふさわしい場合との見極め。
 こーゆーのは、「示差的な意味がある」と言っても、微妙な差があるくらいなので、ほんとうなら、状況や文脈に併せて考えてった方がいい。

 ことに、対話の途中で相手の人の言いたいことを考えてく時には、「類語」から考えていくと、示差的な意味よりも連想に引っ張られがちなような気がします。話題の焦点がボヤけたり、ブレたりしがちだと思うんですね。

 対話しながら、類語の差異まで意識して、かつ対話も続けられる人って、言葉の用法に相当詳しい人だろうと思います。

 類語に比べると、対義語って、示差的な意味、くっきり、はっきりしてますよね。
 なんつったって「対義」語なんだし。

 そんなわけで、対話しながら相手の言いたいことを探っていくときは、話題のキーワードについて、類語を考えるよりも優先して対義語を考えてみるといいように思います。

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 別に「類語を考えるべきではない」とか言ってるつもりはなくって。
 「先に対義語から考えてみた方がいいと思うよ」、あるいは、「類語が思いついちゃった時も、ちょっと待って、対義語も脳内検索、脳内検討してみるといいと思うな」くらいのとこ。

 対話で、相手の言わんとしてることを汲みとうとして、キーワードの類語を脳内検索、「多分こんなふうなこといいたいのかな?」と思って、かえってハズしてドツボにはまる。ありませんか? アタシはあります(苦笑)。

 相手の言わんとしてること、自分なりの推測をもっても、さらにキーワードの対義語を推定、検討したり、修正したりする。こんなふうに使っていってもいいですね。

チャットで、どこまで言葉の認識の差異を刷り合わせる必要があるのか

 そもそもがチャットでの議論というのは、まず噛み合わないのですよ。
 実際に顔を合わせて対面しての会話の議論と違って、なんというか議論の内容が互いに小出しになるのですよね。
 対面での会話の議論というのは(手紙でのやりとりもそうですが)、語り手は論理的な一通りの説明と明確な論点を、相手の認識を口頭で修正しつつ(手紙ですと相手の認識を自説の論理的説明で誘導しつつになるわけで)まとめてこの説明と論点がワンセットで提供できるわけです。
 しかしながら、チャットになるとこの辺の論理的な説明が小出しになるため論点がぼやけ、そのため小出しされた論理を更に説明する羽目になり、さらに相手の入力の待ち時間があるために、お互いに自分が言いたいことを言い合って議論の接点を見出せなくなったりすると、どんどん議論があらぬ方向、つまり議論してる人(双方とも)の思惑(誘導したい方向)とは違った方向に流れていきやすいのですよね。
 さらにはチャットは二人間だけでなく多人数を相手にしているところが多いわけですから、別の人がまた違った認識や見解を述べれば、この二人間での合意や共通の前提すら、簡単に崩壊していく危険が高いわけです。
 余談ですが議論好きな人がチャットの議論で大抵グダグダにはまっていくのは、こういったチャットというメディアの特性を忘れて、実際の対面での議論と同じように話そうとしてしまうため、というのも一因がありそうな気がします。
 いずれにしろ、語り手の想定する議論する相手の数が多いほど言葉の認識の差は、広がっていく可能性が高いわけで、それを刷り合わせようとすれば、そのたびに修正する必要があるわけです。
 確かに相手の言葉の認識を刷り合わせる上では、キーワードの対義語から考慮するアプローチは有効な手でしょう。相手の思考過程や価値観を探る上でも面白いアプローチとも思います。ただ、これを二、三人程度の相手でならともかく、#もの書きのような多人数のチャットで活かそうとするとなると……かなりの労力が必要じゃないかなあと思いますよ。特に、想定していない対義語が出ると、本来の議論そっちのけで、その辺の思考過程を追いかけてしまう可能性もありますしね。
 というわけで、チャットの、さらには多人数の場所での議論というのは、まあ酒場の馬鹿話程度のことで、そこに相手の言葉に対しての意味や認識の厳密性を持ち込むのは、そもそも止めた方がいいんじゃないかな、と思うわけなのですよ。そういった部分で厳密なのは自分の言葉だけでいいんじゃないかなあ、と。
 かなり散漫な内容になってしまいましたが、まあ、今回の覚書のきっかけからの蛇足程度ということで、ひとつ。

蛇足返し

>チャットで、どこまで言葉の認識の差異を刷り合わせる必要があるのか

 そーですねー。
 アタシが思うには、
「刷り合わせ」が合意や同意の意味だったら、アタシも、チャットでは、普通あんまり必要ない気がします。
 「必要ない」と言うか、「たまたま合意や同意が成立したら、それはラッキ☆」くらいの感じ。

 その代わり、
「刷り合わせ」が了解の意味だったら、これは、アタシ、割と必要な気がするんです。

 つまり、
「キミはそう思うのか。アタシはそうは思わないけど、キミの考えはわかる」
みたいなことは、できないことではないし。あっていいと思うんです。

 もっと言えば、
「あなたの立場からはそう思えるのは理解できる」ここまでいけるといーと思うんですけど。
 まー、ここまでいくのは、なかなか難しいですよね。
 難しいとは思います。

 で、まー、
「あなたの立場からはそう思えるのは理解できる」までもってくのは難しいとは思うんですけど。
 話題の頭に、予め「定義」を絞って合意しとくのは、これをチャットでやるのは、よっぽどの時だと思います。

 例えば、「現実」を例にとりますけど。
 あるやりとり(会話)で、「現実」=「ロマンではないもの」の意味で使って構わない度合いも、「現実」=「理想ではないもの」の意味で使って構わない度合いも、余条件を考慮しなければ、そんな大差ないだろう、と思うんですね。
 どっちかで揃えてお話しましょう、みたいのは、やっぱり特殊な事例(ケース)だろうと思います。

 余条件と言うのは、例えば、メインの話題との関連。

 「税金」とか「国家財政」とかの話題を話してるときに「現実ってのはロマンがないよね」とか言出すとしたら、やっぱり突飛(笑)でしょうけど。
 「物語」とか「フィクション」とかの話題なら、そう突飛でもないでしょう。

 あらかじめ定義を絞ったりすると、かえってやりとりの広がりが損なわれることは、珍しくないと思います。

 そんなわけで、
 話題のキーワードについて、対義語も推測しながら論旨を探り、話を重ねるのって、アタシは面白い対話手法の1つと思ってるアタシですが。
 別に「あなたのキーワードの対義語は、これこれでしょ?」とか口にする、文字にすることは考えてなかったのでした。

 この件、アタシの作文も、考え整理も甘いヵ所と思いますので、示唆的な感想に感謝してます。

 アタシ的には、さしあたり対話しながらの脳内検討を考えてたのでした。
 (アタシは、『現実』ってロマンがないなーと思ってるんだけど。
 そっか、この人は、別の意味で言ってるらしー)
 「アタシはそうは思わないけど、キミの考え方も想像できた」
みたいな。


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