GA文庫テーマ大賞向け小説:『秒速5キロメートル、あるいは十一人いる』あらすじ
地上から高度一万キロメートル。衛星軌道にある“駅”、トウキョウ・ステーションに“春”がきた。
トウキョウ・ステーションには『僕』こと国府田航太を含む十人の中学生が住んでいる。十人しかいないはずの子供たちの間で噂になっているのが、十一人目のクラスメイトである“謎の少女”だった。
宇宙空間に住む子供たちには定期的に安全訓練が施される。低圧訓練のために脱出カプセル内に集められた子供たちは、だがそこで本当の非常事態に遭遇する。事故により脱出カプセルはトウキョウ・ステーションから切り離され、航太たちは宇宙を漂流することになる。
脱出カプセル内は遠心力による疑似重力を失い、無重力(無重量)状態になる。それによって航太たちは脱出カプセルが漂流していることは認識したものの、ステーションとの通信が途絶しているため詳しいことが分からない。不安から子供たちの間にはケンカが発生するが、メールの指示により、ケンカを収めることができる。
このメールから航太は噂になっていた十一人目のクラスメイト、“謎の少女”が脱出カプセル内にいることを突き止める。自我を脱出カプセルの情報系に転写した“謎の少女”は、ステーションにいる自分の肉体とのリンクを維持するために通信回線を占有しており、それによって擬似的にステーションとの通信が途絶しているのだ。
やがて、もうひとつのメールが届く。それは、事故によって折れたステーションの一部が、脱出カプセルに衝突して脱出カプセルを潰すであろうというデータだった。航太たちは脱出カプセル内の空気をロケット噴射のかわりにして軌道を変更し、衝突を回避しようとする。しかし、どのタイミングでそれをやるかは子供たちだけでは分からない。航太は幼なじみの少女と共に光信号通信でステーションと連絡をとり、回避を成功させる。
事故から一ヶ月後、ようやく日常に復帰した航太たちの授業が再開される。そこにやってきたのは、事故によって目覚めた十一人目のクラスメイトの少女だった。
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