映画版『プライド』の蘭丸は、生身のキャラだった♪
金子修介さんの監督作、映画版『プライド』(一条ゆかりさんのマンガが原作)を観に、ホントに久しぶりに劇場までお出かけして。
観ての印象記は別に書いたけど。印象が薄れる前に記しときたいことが、まだあるの。
つっても、大筋は、一応「印象記」の方に書いてみたのと同じ話になるけど。
劇場版『プライド』は、「マンガ版原作をちゃんと踏まえているけれど、きちんと別の作品になってる」し、これって「『プライド』って物語にとっても、その方がいい」、みたいな話。
こっちの雑記は、印象記の補強になるのかな?
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原作のマンガ版『プライド』には、美女2人、美男子2人、都合4人の主要キャラが登場してて。
ステファニーさんが演じた麻見史緒と、渡辺大さんが演じた池之端蘭丸は、キャラがマンガ版と違ってる。主要キャラの内、2人もキャラが違ってれば、ストーリーはほぼ同じでも、作品の中身は違ってくる。
だって、人間関係とか違ってくるもん。
まず、極々簡単に、主要キャラ4人の1口評を書いてみます。
麻見史緒:生粋のお嬢様育ち。理想を目指す向上心とプライドの女。1流のオペラ歌手を目指す。
緑川萌:貧乏な苦労人。オペラ歌手として、成り上がりを目指す「ダーティー&ハングリー」な女。「プライドなんてそんな役に立たないものはすてました」とか言い放つ。
神野隆:大きな音楽産業の社長令息で、若き副社長。「どんなにみっともなくっても 与えられたチャンスに食いつくこと」が成功の秘訣、なんて余計なコトを萌に吹き込む。
池之端蘭丸:作曲を志してる。母親が経営する銀座のクラブ「プリマドンナ」で営業女装のピアにストもしてる。天敵みたいな史緒と萌にデュエットで歌わせるユニットを組む無謀なヤツ(笑)。
ちなみに、上のキャラクター評は、どれも、マンガ版、映画版共通項。
極々簡単なキャラクター評だけど、シンプルに絞りこむと、視えてくることもあって。
史緒と萌とは「プライド」について対照的な言動で、天敵になるのは当然。
神野は、史緒や萌みたいに極端にプライドにこだわってたりはしない。ただ、映画版でもマンガ版でも、作品を観れば、神野も言わば「世間体」みたいにして「プライド」のような価値観を身につけることはわかる。
例えば、神野が史緒に政略結婚風にプロポーズを申し込む時「恥というものを知ってるから愚かな行動もしないだろう」だから君は自分の妻にふさわしい、とか言う(この件はマンガ版でも映画版でも観られる)。
ところで、蘭丸。
このキャラは、目立つ設定、言動から、順番に特徴を挙げてくと、「プライド」って価値観についてのスタンスをすくい出せない。
もちろん、映画版でも、マンガ版でも作品を観れば、蘭丸も、「プライド」って価値観を身につけてないわけではないことはわかる。
例えば、蘭丸が路頭に迷いそうな史緒に「プリマドンナ」でバイトする? みたいに持ちかけた時、史緒のお嬢様風反応に、母を侮蔑されたと思い憤然と怒る(この件もマンガ版でも映画版でも観られる)。
ただ、蘭丸が身につけてる“プライド”は、史緒や萌はもちろん、神野と比べても、極々普通で、尖ったものは感じられないと思う。
ここで、もう1つ別のキャラクター評を書いてみます。こっちの評は、マンガ版ベースで、映画版には必ずしもあてはまんない。
史緒:理想を目指す向上心とプライドの女で、「クール&ビューティー」と言われる。基調として、凛と張り詰めた雰囲気。周囲を超然と見下ろしてるようでもあるけど、実は世間知らずで情緒と意識がチグハグにアンバランス。
萌:ダーティー&ハングリーな女で、「プライドを棄てた」だけあって、裏表が激しいけど。実は、情が深い苦労人。
神野:キレモノ風だし、4人の内では、1番言動に余裕がある。
蘭丸:軽いヤツ(笑)。他の3人と比べると“ヌルい”感じも目立つ。ただし、演奏や作曲への執着は特級。
こっちの評は、印象論と思えるだろうけど。実は、マンガ版を読めば、裏付ける描写もあれば、作中の他のキャラのセリフからも、“印象”を裏付けるコメントを拾うこともできる。
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さて、下準備はすませたし。
映画版の蘭丸の話。演じたのは、渡辺大さん。
アタシは、この渡辺さんって役者さんについては、まったく何も知らない。
でも、渡辺=蘭丸は、原作の蘭丸とは別のキャラになってるのはわかる。映画を1度観ただけでもわかっちゃう。
アタシ的には、映画とマンガは、設定とかのベースは共有してても別の作品であるべきと考えるので。含むものも、貶める意図もなく、渡辺=蘭丸も、当然マンガ版とは別のキャラと思う。それも、別のキャラとして、良かったと思います。
一言で違いを言えば、マンガ版蘭丸の基調になってる軽い雰囲気が、渡辺=蘭丸には感じられない。
それっぽいファッションとかも観れたけど、さすがにマンガ版ほど軽くはなってない。
その代わり、今風の若い男の子に目立つ、ちょっとダルそうにしてるような雰囲気がにじみ出てるようなとこがあって。これとか、ビシッとスーツを着ていつも背筋が伸びてる感じの神野隆(及川光博さん)といい対照。
あるいは、マンガ版蘭丸が表象してる、ユニセックスなキュートさは無い。その代わり、見た目よりはオトコっぽいとこを見せる場面があって、ここもいい。
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銀座のクラブ「プリマドンナ」に史緒がはじめて訪れる映画のシーンでは、女装の蘭丸がピアノ弾いてるけど、はじめ史緒の方から顔が見えない構図。
この時の渡辺=蘭丸は、普段から営業女装やってる感じがしない。女装に馴染んでない感じ。かと言って、華やかな女装を演出してるキャラって風でもない。
悪く言えば後ろめたそうで、よく言えば慎ましやか。
映画って、劇場では大きな画面で映るから。多分、慎ましやかの方かなー、とは思うけど。
ともかく、ちょっと背中が丸くなってるような、肩も丸めてるような感じで。ドレス着ててもイケてない。
オトコの肩ラインを気にしてるんだろうけど。肩は丸めるんでなくて、首の筋が延びる感じで、下に下げるのね。そーすると、肩ラインもイケるから。
マンガ版の蘭丸の方は、月並みな言い方になるけど、ピーターパンぽいキャラ。特に日本でくすぶってる間は。で、「プリマドンナ」で、ドレス着てピアノ弾いてた頃は、ティンカー・ベルみたいな演出よね。
マンガの蘭丸が「軽い」ってのは、例えばそーゆーこと。
ここって、映画版とマンガ版の蘭丸の違いが1番はっきりするとこかも。
細かく言えば、違うって言えば全部違うし。
違いがはっきりするとこは、他にもあるけど。
アタシが思うには、このシーン、映画版とマンガ版の蘭丸の違いを読み解いてく焦点になる。
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ここで、ちょっとベーシックなことを書いてみます。マンガの『プライド』は、一条ゆかりさんの最長長編で、現在進行形。だから、これまで書くのを控えてたんだけど。
史緒は、幼い頃事故で母親を亡くしてて。父娘で育った。しっかりしてるように見えるけど、それはお嬢様だからできてたことで。実はファザコンだし、おまけに亡き母を理想化してる。
萌は、どうしようもない母と2人で育った娘で。確か、父親が誰かも定かで無いんじゃぁなかったかな?
蘭丸は、逆に、だらしない夫をたたき出した母に育てられた。蘭丸の母は、元いいとこのお嬢さんって設定で、駆け落ちしたんだけど、相手に愛想つかしたのね。丁度、史緒と萌、それぞれに対する理解が深くいく立ち位置。主要キャラ4人の内、3人までが、理想的な家族構成とはズレてる家庭環境に設定されてて。実は、これ、一条マンガのメロ・ドラマ作品に、しばしば編み込まれてるファミリー・ロマンスのための設定。
4番めのキャラ神野隆の神野家は、家族構成は理想的だけど、内実はきしんでる。
上に書いた、「ベーシックなこと」は、マンガ版については言えることで。映画版については言えたり言えなかったりする。
萌にしても、蘭丸にしても、神野家にしても、映画版ではちょびっとしか描かれなかったけど、それは別に構わないと思う。むしろ、映画を観る人としては、映画では描かれなかったことは、「保留」のようになってると思った方がいい。
つまり、マンガ版と同様な設定が背後にあるはず、とは決め付けないで、せいぜい、あるかもしれない、ないかもしれないくらいで保留にしといた方がいい。
(なぜかって言うと、そうした構えの方が、映画版を映画として楽しめるはずだから)
で、しつこく、映画で、ラン(女装ピアニストの蘭丸ね)が初登場するシーンに戻るけど。
アタシも別に、25才(1984年生まれらしー)の生身の男優さんに、ピーターパン演じてくれなきゃヤだ、とか、ティンカー・ベルぽくないのがダメ、とか、そーゆーワガママを言いたいわけではなくて(笑)。
そーゆーお話ではなくて。
「プリマドンナ」のシーン。史緒が、蘭丸ママに会いに行って話ししてると、実はピアノ弾いてたのが蘭丸、まぁビックリみたいな場面。ここで、「女装してた方が客にウケがいい」みたいに史緒に言う時、蘭丸、ちょっとふて腐れてるみたいな、すねて見せてるみたいな感じがするのね。
極論で言っちゃうと、母親に対して、ちょっと鬱屈してるような感じとも言える。
「『恥ずかしながら女装してます』とは、ママの前では言えなーい。だって養ってもらってるんだもん」みたいな(笑)。アタシの妄想だけど。
アタシは、キャラとして、これはこれでアリだと思う。
(マンガ版のランは「なんで女装って… その方がバイト代が高いから」ってケロッとして言う。これもこれで今風の女装娘)
「母親に対してちょっと鬱屈した感じ」ってのは、言いすぎかもだけど。映画の「頭あがりません」みたいな感じは、家庭環境の設定考えると微笑ましいです。
で、映画のラスト近くで、蘭丸が史緒を押し倒す、オトコっぽいシーンがあるんだけど(オフィシャル・サイトでみれるトレイラーにもカットで入ってます)。このアクションは、マンガ版にはなくて。
ピーターパンには、そんな大胆な真似できないわよね(笑)。
とゆーわけで、渡辺=蘭丸は、生身の男優さんが演じたキャラクターとして、わかるし。いいと思う。
例えば、こんなとこが、一条さんのマンガ版と、金子監督の映画版は違う。
違うけど、どっちも『プライド』♪
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もし、マンガ版みたいなピーターパンで、女装すればティンカー・ベル、なーんてキャラを演じる生身の役者さんを探すとしたら。
アタシの妄想では、例えば、若い頃のピーターさん。
「若い頃の」って、つくとこでもう妄想よね(笑)。
他意はないけど、美輪明宏さんや、美川憲一さんではなくて、ピーターさん。
ピーターさんにあって、美輪さんや美川さんに無いものって、例えば大口開けて笑っても美人でいられるみたいな、カラッとした雰囲気。その辺がピーターパン。
それとか、はるな愛さんとかTS系の方に、頼み込んで男役やってもらうとか。いっそ、宝塚みたいに、ボーイッシュな女性に演じてもらうとか。
ともかく、それくらいしないと。
映画では、生身の役者さんがピーターパン風蘭丸は無理と思う。舞台ならまた、別でしょうけど。マンガ版の蘭丸がピーターパンなのは、あれはどうしたってマンガのキャラクター表象なのよ。だってマンガ作品のキャラなんだもん。
だから、映画とマンガは、設定とかのベースは共有してても、別の作品であるべきなのね。
最善の表現を追求してったら、どうしたって、別のものになってくはず。ヘタにあわせようとかしないで、きちんと別のものに仕上げてもらえた方が、観る方は嬉しい。
渡辺大さんが演じた蘭丸が、ピーターパンではないのは、アタシは正しいと思うのだ☆
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映画を鑑賞しました。秊 2009-15『プライド』を鑑賞しました。(更新:2009/01/18) * 評価:★★★☆☆(★★★★☆との間) 一ヶ月フリーパスポートで鑑賞の2...
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