[詩] かがり火
暗闇の中に 舞い散る火の粉が
夜空を 赤に染める
世界中の宝石箱をひっくり返したような空からは
瞬く光が降り注ぎ
まるで 幾千万年もの時を一人占めしたかのような
太陽の子等が悠久のときを経て
自分のためだけに集まったかのような 錯覚に囚われ
軽い目眩を覚える
星の車輪の戦車をペガサスに引かせた騎士が
私の目の前に降りてきて 傅(かしず)いた
兜を脱いだ騎士の瞳は 夜の闇よりも青く
その視線は 優しげな光で私を包む
彼は私の手を取ると 優しく甲に口付けをして
銀の月で作った指輪を
薬指に填めたの
私の心は歓喜に奮え
頬を伝って落ちた滴は 海色のサファイアとなり
彼の薬指を飾ったわ
暗闇の中に 舞い散る火の粉が
二人の心を 赤に染める
優しい風がそよいで
私の背中を押した
私はそっと手を差し出して 彼に精一杯微笑む
月と同じ色の髪をした騎士は 優しく私の腕を取り
彼の戦車に私を乗せてくれた
雄々しきペガサスが嘶(いなな)くと
私達はオリオンにむけて飛び立った
頬をなでる風は少し冷たいけれど
私を抱(いだく)く彼の瞳は 小春日和の太陽のように暖かくて
昔私を守ってくれた父のように この人の胸は大きくて
私は懐かしい安らぎに目を細めたわ
天の川の近くに来ると
白鳥が私達を祝福してくれた
そして白鳥の素敵な鳴き声に混じって
オルフェウスの竪琴の音も 聞こえてきたの
そして時は止まったわ
私達は永遠になったの
私達は愛だけになって
本当の永遠を手に入れたの………
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