伝奇系変身ヒーロー・ドラマの傑作『快傑ライオン丸』

 1972年4月~1973年4月に、フジテレビをキー局にして放映されたTVドラマ『快傑ライオン丸』(製作、ピー・プロダクション)は、伝奇系変身ヒーローものの傑作。物語のスケール感がすごくて、楽しい♪

 特撮マニアの間では、『快傑ライオン丸』は、しばしば「低予算番組」の典型のように言われることもあるけど。低予算=内容的なチープさじゃぁない。例えば、モノクロ時代のTVアニメには、低予算でも、今でも観れる傑作はある。

 『快傑ライオン丸』について言えば、例えば当時の素材、工作技術で、凝って作られたライオン丸の獅子頭が、変身後のヒーローの頭身数値を下げてしまい、カッコワルイとかはある。
 ライオン丸の頭は、丁寧に植毛された、長髪の白獅子でね。アップで映すとカッコイイくらいの丁寧な作り。それは、アクターさんが被ったら、プロポーションおかしくなるはずよね。
 こんなふうに、ちょっとバランス感覚踏み外しそうなギリギリ感のある拘りがいい♪
 プロポーションがよくない? そんなことは殺陣やカメラワークで補えることじゃーん。

 等身大ヒーローにすぎないライオン丸が「巨大身変化の術」を身につけた大魔王ゴースンに立ち向かうドラマもいい。ここで、巨大ゴースンのモンスター・スーツ造形や、ミニチュア・ライオン丸の出来や操演がどうこうって、議論は、もちろんある。

 CGなど多彩な技術が駆使される今の水準で観ると、一見パッとしない印象なのもわかる。けれど、当時の技術や、限られた予算にも関わらず、製作陣が表現したかった事柄がにじみ出てくるような画像ドラマだとアタシは思うのだ。
 そこがいい。

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 物語は、日本の戦国時代のいつの頃か。
 人里離れた山中で、獅子丸(潮哲也さん)、沙織(九条亜希子さん)、小助(梅地徳彦さん)の3人の戦災孤児は、隠者のように暮らす果心居士に育てられ、なぜか忍術を教えられていた。

 第1話で、ある日突然に果心居士から「形見分け」をされ「大魔王ゴースン打倒」を託される3人の孤児。形見分けの直後に、ゴースン配下の刺客、髑髏忍者群団とゴースン魔人とに襲われ、果心居士は倒されてしまう。
 当初は、師匠の仇と、居場所もわからぬ大魔王ゴースンを捜し求める旅に出る3人。

 大魔王ゴースンも、はじめは、その姿もわからない謎の首魁として描かれる。
 苦難の末、ゴースン忍群の拠点、ゴースン島を探し当て、突入する獅子丸たち。
 ここで、驚くべき秘密が描かれる!

 少しネタバレを書くけど。
 ゴースンは、「巨大身変化」と称す、人間離れした術を体得していた。さすが大魔王。
 獅子丸たちが、ゴースン島と信じていた拠点自体が、実はゴースンご本人が、術で変化したものだったのだ!!
 島と思われていた大岩塊の形態から、巨大魔人の形態に変化するゴースン。さすがのライオン丸もかなわないっ!

 例えば、この中盤の盛りあがりあたりのドラマも、今の水準からみると、ちょっとみての印象はパッとしない、かもしれない。
 けれど、描かれてるドラマは面白い。
 洞窟のような空間の奥で、偶像のような腕の像だけが飾られた、ガランとした印象の祭壇。
 この祭壇の前に膝まづく魔人に、どこからともなく響く怪し気な声で、命令をくだす大魔王。
 こうした画像は、中盤クライマックスまでにも、何度か繰り返し描かれるんだけど。

 ゴースン島に迫る獅子丸たちを察知し、突然祭壇の上でうごめく(それまで偶像と思えてた)腕。崩れ落ちる洞窟。

ゴースン巨大身変化ぇぇぇっ

 無気味な声に前後し、島を内側からブチ破るように姿を現す巨大身ゴースン。
 愕然とし、それでも立ち向かうライオン丸。

 低予算だろうと、ロウ・テクだろうと、製作陣が可能な限りの工夫をしたのよね、って思わせる「描きたかっただろう映像ドラマ」が、観られる名場面。

 ネタバレさせたけど。
 ここは、物語にのめり込んで、意外な展開の画像ドラマを堪能すべき場面。
 意外でしょ? 意外なのよ。
 のめり込んで観てれば、意外感で「おおっ」て手に汗握って観れるから、面白いとこなのよ。
 だから、意外なのだ♪

 巨大身のゴースンに敗れた獅子丸たちは、ゴースンを倒すべく、「ゴースンの秘密を知ること」に優先目標を代え、戦いの旅を続ける。これが中盤以降の基調展開になってく。

 一方、ゴースンの方は、島のふり(笑)を止めるといずことも無く姿を消したが。実は巨大身でのっしのっしと歩いていって。人里離れた山中で、再度大岩塊形態の岩山に変化。
 今度はゴースン城(1種の山塞と思うといい)と化して、配下の魔人たちを采配する。
 なんだか、とっても便利な術(笑)。

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 『快傑ライオン丸』の物語的なスケール感は、例えば、戦国時代のおそらく中期~後期頃を漠然とイメージ想定しながら、果心居士が、内陸アジア(チベット?)で大日如来の弟子として修行した、ってデタラメに面白い設定などにうかがえる。
(作中では「お釈迦様」と言われてたはずだけど、多分、大日如来だろう。だって生身のお釈迦様入滅して久しい時代設定だから)

 例えば「果心居士が、飛騨山中とかで修行してたら、大日如来がお姿を現して」じゃぁないのね。
 「戦国時代なのに、果心居士はチベットまで渡ってた」
 この、大風呂敷なスケール感が、伝奇モノとしての面白み♪

 主人公、獅子丸が、ライオン丸に変身するために使用する「金砂地の太刀」は、修行時代の果心居士が大日如来から授けられたアイテムが、果心居士からさらに弟子の獅子丸に委ねられた物。

 大魔王ゴースンも、実は、かつて大日如来の元で修行した、果心居士の同門だった。ある日、2人は、大日の前で組み合いをおこなったが、果心居士優勢の内にも、勝負は決さなかった。

 見事な勝負をよしとした大日如来は、褒美として「金砂地の太刀」を果心居士に、「銀砂地の太刀」をゴースンに授けた--というのが、作中の回想などで描かれる、物語の背景だ。

 番組後半、ライオン丸のライバル的敵役として存在感を誇るタイガー・ジョーが、変身用アイテムとして使う「銀砂地の太刀」は、このような因縁で、大日如来→ゴースン→虎錠之介(タイガー・ジョー)に渡った物だったのだ。

 イメージ上、戦国時代を想定しながら、歴史上には伝えられなかった(ってことのはずの)暗闘と、デタラメなほどのスケール感。『快傑ライオン丸』は、まさに伝奇ドラマの醍醐味が楽しめる傑作、なのだ。

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 ところで。
 現在に伝わる歴史伝承では、果心居士は、松永久秀や、織田信長明智光秀などの前で幻術を披露したとも、織田家配下に仕官を求めたが拒絶されたとも伝えられている。
 また、不審人物として、豊臣秀吉に殺害されたとも、実は石川五右衛門の師匠(の1人)で、五右衛門が秀吉と敵対したのは、秀吉が果心居士を殺したことの因縁だ、とも、様々な伝承が伝えられている。

 アタシの妄想では、こうした伝承のルーツになった果心居士は、実は果心居士2世で。その正体は、魔王ゴースンを倒した後、年老いた獅子丸か小介かなのよね、きっとと思える。
 『快傑ライオン丸』冒頭で、師匠の果心居士が殺された時期は、戦国時代と言っても、まだまだ、各地に諸勢力が分立して、天下の形成が定まりそうにも無かった情勢の頃としか思えないから。

 いや、妄想なんだけど(笑)。
 何しろ果心居士って、史伝に名は見えても、実在すら疑われる伝説のキャラなんだし。
 伝奇ものって、こーゆー妄想が湧いてくるとこが、楽しーんじゃーん♪

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【参照記事】
快傑ライオン丸はてなキーワード
快傑ライオン丸ウィキペディア-ja

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