石田衣良、著『4TEEN〔フォーティーン〕』、ささやかな“冒険”を通して彩られる光景と、いろめきたつ情感
『4TEEN〔フォーティーン〕』は、小説家石田衣良さん著の連作小説集。
8作の連作中短編は、みんな東京の月島界隈で暮らす中学2年生男子4人組の物語。中学生が、日常生活の内で、もしかしたら関らないとも限らない、ささやかな“冒険”が扱われる。
大冒険の物語じゃぁない。例えば、家族に内緒で新宿に出かけて、ストリップ劇場を覗いてみるとか、病院が嫌になって抜け出して来た患者さんに頼まれて、潜伏を支援しちゃうとか。あるいは、恋愛のようなドキドキハラハラする“冒険”が扱われる。
まず、中学生男子が体験する「ドキドキハラハラする感覚」がいい。
さらに、ささやかな“冒険”を通して、普段見慣れた景色が、一瞬新鮮な彩りで立ち現れる、そんな刹那の感知がいい。
こんなような作中キャラの体験を、情感喚起力豊かに描いてる連作集。
アタシ(紹介者)は、作品集の読みどころとして、作中キャラのロマンチックな高揚感が「いずれ、喪失されることの予感も孕んだ形」で描出されてるようなヵ所を、特にお勧め。この辺に注目してくと、味わい深く楽しめます。
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まずは、掲載順に作品の概略をコメントしていきます。
『びっくりプレゼント』は、ちょっと泣かせる友情の物語。4人組の1人で、遺伝子性の難病を病んでいるナオトの誕生日に、他の3人が「びっくりプレゼント」を用意する。
プレゼントになってくれそうな、エンコー・コギャルのお姉さんを探しに、渋谷にでかける3人だけど。
この作品では、4人組がそろって中学2年生になる直前の、春休みの出来事が語られる。『月の草』は、4人組の1人で、連作の語り手キャラ、北川テツローくんの、恋愛のような体験の物語。
『飛ぶ少年』では、テツローくんたちのクラスメートの1人、クラスで浮いてるユズル(関本譲)が、空を飛ぼうとして、校舎の4階から飛び出す“冒険”が描かれる。掲載作の内で、1番、奇妙な味の作品。
『十四歳の情事』は、4人組の1人、内藤ジュンが、年上の人妻と親しく交際をする話。
残念だけど、アタシ(紹介者)は、この作品は、掲載作の内で唯一、失敗作だと思います。
出だしや、エピローグが洒落てるところは、石田作品らしい情感表現が楽しめます。
けれど、クライマックスにあたる部分や関連プロットに無理がありすぎて、納得力が乏しい。『大華火の夜に』は、4人組が夏休みの数日間、病院が嫌で抜け出してきた初老の男性を、秘密基地のような場所で匿う話。連作集の内でも、最も読み応えのある作品の1つ。アタシ(紹介者)の評価では、作品集中の最高傑作。
この初老の男性は、作中では定かに明示されていないけど。おそらく末期癌の患者で、病院外に死に場所を求めてる。彼と4人組の少年達が、墨田川の華火大会を観る場面は圧巻。
きっとこの世界も同じことなのだろう。どこかで誰かが消えて、その名残が響いているうちに、新しい人が生まれる。それでにぎやかで、ちょっとばかばかしいこの世界が続いていくのだ。ぼくたち五人は、それから黙って華火を見あげていた。普段はおしゃべりなぼくたちを黙らせる力が、一瞬咲いて消えるものにはあるようだった。
この1篇だけでも、読む価値はバッチリ☆
『ぼくたちがセックスについて話すこと』では、クラスメイトの1人、カズヤ(森本一哉)の話。カズヤは、同性愛者で、状況に強いられて、クラスでのカミング・アウトを選択する。
そんなカズヤの“冒険”に、レギュラー4人組は、間近から冒険者未満、傍観者以上で関る、そんな話。
読み応えでは『大華火の夜』に勝るとも劣らない1篇。『空色の自転車』では、4人組の1人、小野ダイの身の上に起こる重大な事件が描かれる。父親の死にまつわる深刻な思いを抱え込むダイ、友人を気遣う3人、それぞれの気持ちが、情感豊かに交叉する。
ストーリーには、少し強引なところもみられるけれど、内容の読み応え、訴求力では『ぼくたちがセックスについて話すこと』に勝るでしょう。『十五歳への旅』は、4人組が3年生になる直前の春休み中の物語。房総半島の海岸線を自転車旅行する予定だったのに、何度か打ち合わせをしてる内に、家族には秘密で、新宿中央公園にキャンプして、新宿の街を探検するって計画になっちゃう。
ストーリーは、その2泊3日の出来事。分量的には、他の作品の2倍近くあって、1番長い(新潮文庫版で77頁ほど)。この作品は、少年達が自転車を並べて新宿に向かう場面や、おっかなびっくりで公園にキャンプして、新宿の街を探検する様子が楽しい。ストーリー的に山場になるあたりは、残念だけど、少し作った感じが目立つようだ。
作品のエピローグにあたる部分、少年達が冒険旅行に出る前にした約束どおり、それぞれの秘密を1つずつ語りあうヵ所は、いい。
特に、語り手キャラが、気持ちの高ぶりと共に「今から何年かして、自分がだめになりそうになったら、今日のことを思いだすようにしよう」って、語るくだりは、連作集全編のエピローグとして活きてる。『十五歳への旅』の最後は、こんなふうに締めくくられる。作中キャラの、秘密のばらしっこが終わった後のくだりだ。
ぼくたちは暗くなった公園を四列に並んで、行進でもするように走りだした。夜の風は驚くほどやわらかく、自転車ですすむぼくたちの背中を押してくれた。誰が最初に黎明橋をわたるか、いつものロードレースが始まった。
十五分後には月島の街にあるそれぞれの家に、みんなばらばらに散っていくだろう。ぼくたちはおたがいにさよならといいあうだろう。
つぎの日にまた会うに決まってる友達にさよならをいうのは、いつだってなかなかたのしいものだ。
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連作集『4TEEN』の新潮文庫版には、「四人の十四歳へ」と題された著者あとがきも収められてる。
アタシは、このあとがきが単行本に採録されてるかどうかは未確認なので、いつ頃書かれたかはわからないでいるんだけど。
「始まりはとても気楽なものだった」と書き出されるあとがきは、文庫版で6頁ちょっとと短いわりに、面白い読み物。
1999年の1月に、最初の『びっくりプレゼント』を書きはじめ、これが書きあがった2年半ほど後に連作化、つまり第2作の『月の花』を書くことが決められた。その後も、概ね、半年に1本ほどのペースで書き継がれた連作だ、との経緯が語られてる。
「この連作の成功の原因は、ひとえに小説のなかの人物と小説をつくる力、ふたつの成長の加速度がうまく重なったところにあったとぼくは考えている」。
著者にとって、忘れがたい感慨が宿された連作集であるようだ。
単行本は2003年に新潮社から刊行され、ドラマ化、コミック化もされた。2003年には、同年上半期の直木賞を受賞。
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書誌情報:
石田 衣良,『4TEEN』(新潮文庫),新潮社,Tokyo,2005.
ISBN 4-10-125051-0
石田 衣良,『4TEEN』,新潮社,Tokyo,2003.
ISBN 4-10-459501-2
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「始まりはとても気楽なものだった」。「四人の十四歳へ」と、題された文章は、こう書き出されている。
「四人の十四歳へ」は、作家の石田衣良さんが、著作『4TEEN』の末尾に付し
『十五歳への旅』は、石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN〔フォーティーン〕』で、ラストを締めてる1篇。連作のラストを飾る力作です。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4
『空色の自転車』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1篇。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描いた短編8作の内、7番
『ぼくたちがセックスについて話すこと』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1篇。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描
『大華火の夜に』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1編。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描いた短編8作の内、5番
『十四歳の情事』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1篇。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描いた短編の1つ。“梅雨
『飛ぶ少年』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1篇。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描いた短編の1つだけど。この
『月の草』は、小説家石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)に収められた1編。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描いた短編連作の2作めで。
語り
『びっくりプレゼント』は、石田衣良さん著の、連作短編集『4TEEN』(フォーティーン)の1篇。採録8作の冒頭に収められている。
東京の月島界隈で暮らす、中学生男子4人組を描

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