『仮面ライダーディケイド』印象記:夏海の世界、と、士の世界(第27話「Black×Black RX」)
“士くんが世界の破壊者のわけない。むしろ、たった1人でも世界を護る人です”。
『仮面ライダーディケイド』第27話のエピローグに相当するパートで、光夏海(森カンナさん)は、心の中でこんなふうに、想ってた。
夏海ってば、どうも士(門矢士)に甘いんじゃぁないかな?(笑)
この「ディケイド」27話のエピローグ相当パートは、あれこれ気になるとこが多いシーンなんだけど。
まずは、夏海から。
「へー、2人の南光太郎か、どっちもいい表情してるな」と、仮面ライダークウガになれる小野寺ユウスケ(村井良大さん)。士が、久々に撮った、ピンボケでないポートレイト写真を見ながらのセリフだ。
「自分の世界を見つけたら、士くんも、こういう表情になるんでしょうか?」と、夏海。
「どうだかな。……だが、自分の世界を見つけない限り、何もはじまらないような気がしてきた」と、くつろいでる雰囲気の門矢士(井上正大さん)。士は、「通りがかりの仮面ライダー」こと、ディケイドになる人。
「たとえ、士くんの世界がどんな世界でも、私はここで待ってますから」と、夏海が士に言って。無言の士に、夏海が想ったのが、さっきの“士くんが世界の破壊者のわけない。むしろ、たった1人でも世界を護る人です”。
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仮面ライダーディケイドが「世界の破壊者」だって言うのは、謎の人物鳴滝が、作中しつこく何度も何度も言うこと。光夏海は、普通の人にしては鳴滝さんとの遭遇回数は多いから、気にしてるのはわかる。
それで、“士くんが世界の破壊者のわけない”。これもわかる。
だいたい、異世界を幾つも通りすがってきて、門矢士=ディケイドが、直接「世界を破壊」したことはまだ無い。つまり、作中で、直接に描かれたことは、まだない。
例えば、第22話、第23話で通りすがった海東大樹(戸谷公人さん)の世界なんかは、ボス級敵役フォーティーンが倒された後、世界はさぞや酷い混乱に陥っているだろう、と思えるけど、それはそれ。
(きっと、あの世界のライダーの戦いは続く、なのだ)
夏海のモノローグで、わかりづらいのはこっち、“たった1人でも世界を護る人です”。
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夏海は、士の異世界徘徊の旅に付き合い始める前、「ライダー大戦」の夢を視てた。それも何度も視てたらしい。
「ライダー大戦」の夢、というのは、どことも知れぬ荒野で、少なくとも百人以上はいそうな平成ライダーたちが戦って、ディケイドただ1人の前に全滅する、そんなような印象の夢だ。
何しろ夢だから、細かい経緯とかは定かでない。
映像としては、手間もお金もかかってる迫力満点の映像で、アタシは好き♪
この予知夢(?)は、作中では、夏海が士の異世界徘徊に付き合うことにした強い動機になってる。そのことは、「ディケイド」第1話の「ライダー大戦」を観るとわかるはず。
アタシが思うには、幾つもの世界を通りすがってきた士が、それぞれの世界を代表するようなライダーを倒さずに来てることをみてきた夏海は、よかった的に想ってるのではないかしら?
つまり夏海の脳内では、ディケイドがライダーたちを倒すことと、世界の滅びのイメージが結びついてるのではないかしら?
それで、異世界徘徊をしてきた士が、各世界の代表的なライダーを倒さずに来てることで、士くんは“たった1人でも世界を護る人です”になってるのでは??
いや、夏海も、27話終了時点の今のとこは、そこまで脳内整理できてはなさそうですけど。
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門矢士は、「ディケイド」第1話の時点で、フラッと町に現れて、そのまま光夏海の実家、光寫眞館に居ついちゃってた。多分、半分くらい、居候みたいな感じ?
この頃の夏海は、士のことを“いまだにどこから来たのかも、何をしたいのかも話さない。ほんっとーに、迷惑な奴”と思ってた。
士は、記憶喪失なので、本人も、どこから来たのかとか、わかってないんですけどね。
わかったようなわかんないようなことしか言えない奴だから、この時点の夏海が士のことを“ほんっとーに、迷惑な奴”って思ってたのは無理も無い。
そんな士が、27話のエピローグ相当パートで「どうだかな。……だが、自分の世界を見つけない限り、何もはじまらないような気がしてきた」と語ってるのは面白い。ちょっと、遅すぎる気もするけど。思えるとしたら、思わないよりも、ずっといい。
ところで、色んな異世界を通りすがって徘徊(?)する門矢士に、光夏海が付き合うような形になってるのは、今のところは、「ディケイド」の第1話「ライダー大戦」で、夏海たちの住んでた世界が、唐突に、崩壊間際で行ったからだ。
「ディケイド、あなたは9つの世界を旅しなければいけません。それが世界を救うたった1つの方法です」。
こう士に語った謎の青年は、何かテレパシーっぽい能力を使ったふうだ。つまり、青年と士とのやりとりは、夏海には知りようが無かったと思える。
謎の青年は、士に「まだ、少しは時間があります」と告げた。「あなたが旅を終えるまで、僕と、僕の仲間たちが、もう少しだけこの世界を生きながらえさせておきます」、とも語った。
「つまり……、あなたがこの世界を救うんですね」と、夏海。
「あぁ、なんだかそういうことらしいぜ……。9つの世界か……。撮ってみるか……すべての世界を」と、士。
この辺、士が思ってることとと夏海が思ってることとが、どれくらい通じてるか、曖昧だ。
関係するシーン自体が、曖昧描写になってるからだ。
(ここで夏海のセリフが「つまり……、あなたが~」とはじまってるので、直前の省略されてるカットで、夏海があれこれ、士に聞き出したらしいことがわかる。やはり、夏海は、士と謎の青年とのやりとりを直接には知らないでいるようだ)
士とディケイド、そして夏海の間には、まだ描かれてないエピソードがありそうに思えるんだけど、今のところは、士は9つの世界の消滅を防ぐよう、謎の青年に言われて異世界徘徊に出ることにした、ことになってる。
そして夏海は、士の旅が、自分たちの世界を崩壊から救うことにつながる、そう考えて同行を申し出た。そーゆーことになってる。
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「士の旅が、自分たちの世界を崩壊から救うことにつながる」から、付き合うことにしたのは、夏海が言葉にして士に語ったいわば、意識化された動機付け。
アタシが思った“士が、各世界の代表的なライダーを倒さずに来てよかった”的な情動は、アタシの中間解釈なので間違ってるかもしれないけど、アタシは、言わば夏海の潜在意識的な感じ方、まだはっきり意識化されてない心の動きとして感知している。
士が“たった1人でも世界を護る人です”ってモノローグが、わかりづらいのは、夏海自身が意識化してる士理解と、まだ充分意識化できてない心の動きがないまぜになってるからだ。
夏海の潜在意識的な心情について、先に書いたアタシの解釈は、もしかしたら間違ってるかもしれない。
けれど、夏見の言動の背後に、まだ充分意識化されてない何かがある。これは確からしい。
まず、「ライダー大戦」の予知夢の件がある。夏海は作中で士がディケイドに変身するのをはじめてみる前から、ディケイドの姿と名前を知っていた。
それから、『仮面ライダーディケイド』第1話でディケイドライバーとライダーカードのパックを“発掘”して士に手渡したのも夏海だった。この作中の出来事は、これだけなら偶然かもしれない。
でも、第21話「歩く完全ライダー図鑑」で、ディケイドがコンプリートフォームに多段変身するためのアイテム、ケータッチを隠匿してたのも、ネガの世界の夏海だった。
そして、「ネガの世界」は、元々、夏海が生きてた世界の「ネガ」と思える。
こうなると、夏海とディケイドの間に、まだ描かれていないエピソードが何かあると思えてくるじゃーないですか。その何かが、夏海の潜在意識から意識の表面に何かを囁いている、そんな感じだ。
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“それは、君がかつてすべてを喪ったからだ”
これは第1話で、多分、直接、士の脳裏に伝えられたらしい、謎の青年からのメッセージ。夏海はこのメッセージのことは知らないっぽい。
でも、「ライダー大戦」の夢の中では、夏海はズタボロになってたけど、花嫁衣裳っぽい服装だった。何度みても、アタシには花嫁衣裳に思える。
果たして、士がかつて喪ったって言う“すべて”の内に、夏海との関わりも入っていたのか? いないのか??
とても、気になる。
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第27話「Black×Black RX」のエピローグ相当パートでは、夏海の背後を通りかかる祖父の栄次郎さん(石橋蓮司さん)は、「士くんの世界ね……」と呟きながら写真を壁にかけてた。
もちろん、栄次郎さんが、夏海の心の中を読めるわけでもないでしょう。ここは、心中モノローグの前の会話に栄次郎さんが反応したところ。
つまり、言葉のつながりとしてはこう。
士「どうだかな。……だが、自分の世界を見つけない限り、何もはじまらないような気がしてきた」
夏海「たとえ、士くんの世界がどんな世界でも、私はここで待ってますから」
栄次郎「士くんの世界ね……」
で、「たとえ、士くんの世界がどんな世界でも、私はここで待ってますから」と「士くんの世界ね……」との間の、夏海の想いが“士くんが世界の破壊者のわけない。むしろ、たった1人でも世界を護る人です”なのだった。
やっぱり、夏海ってば、士に甘いような気はするんだけど。いったい、まだ描かれてないエピソードでは、2人の間に何があったのでしょう?
1番気になるのは、残り放映回数の少ない「ディケイド」で、その辺がどこまできっちり描かれるか? なのだった……。
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