『仮面ライダーディケイド』印象記:士の単身異世界越境(第27話「Black×Black RX」)
「通りすがりの仮面ライダー」こと、仮面ライダーディケイドは、TV番組の第26話と第27話で、2度、自分の意志で異世界を行き来した。
26話、27話は、前後編のような作りの話。
第26話「RX!大ショッカー来襲」の大詰めでライダーRXの世界からライダーBlackの世界へ渡り、第27話「Black×Black RX」の序盤では、Blackの世界からRXの世界へ戻った。
ディケイドこと、門矢士(井上正大さん)が、自分の意思で異世界を行き来したとこが、いい♪ 注目ポイントだ。敵性キャラのアポロガイストを追い求めてのこと。
光夏海(森カンナさん)を救うため、アポロガイストが持つアイテムを奪おうとしてって話だった。
アタシの記憶が確かなら、士=ディケイドが自ら意志して異世界境界越境するのは、第1話「ライダー大戦」でやらかして以来のはず。士がはじめてディケイドに変身した、第1話Bパートの頭でのことだ。
このシーンでも、士=ディケイドは、夏海を助けようと変身した勢いで、“世界障壁”を破砕突破した、ように観える。
ついでに言うと、同じ第1話では、直後のシーンでも、バイクで“世界障壁”を粉砕突破。ワームたちと戦った世界から、夏海を拾い上げに来る。
夏海のピンチが、たまたま、ディケイドが本来持ってた力のトリガーになったのか、それとも、士と夏海の間に、何か特別な関係が秘められてて、それで異世界を渡れたのか、その辺は、番組が進行中の今は、まだわからない。
記憶喪失キャラの士も、肝心なことは、思い出せずにいるし。
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ここでアタシが、仮に“世界障壁”と呼んでみてるのは、『仮面ライダーディケイド』の作中、CG合成で表現され、唐突に現れ唐突に消える、揺らめくスクリーンのことだ。
TVドラマを観てる人にはおなじみだけど、このスクリーンは、風にそよぐ湖の水面のように、常に揺らめいてる。けれど、色調は無機質的で、みかけは、メタリックな感じの色合いにも思える。とても湖のようには感じられない。
あるときは半透明だし、ある時はハーフミラーのようにもなるし、ある時は、向こう側が見通せない遮光フィルムのようにもなる。
これを“障壁”と呼んでみるのは、この文章での便宜的な仮称。『仮面ライダーディケイド』の主人公、門矢士の視点に寄り添うような想像で観てると、“障壁”のように思える。
でも、作中、異世界を頻繁に行き来してる鳴滝のようなキャラクターの視点で想像してみると、同じものが“障壁”ではなくて、“カーテン”や“暖簾”、“扉”のような感じにも思えそうだ。
鳴滝だけでなく、第26話から番組に登場した敵性集団大ショッカーもスクリーン(障壁)を、かなり自在に呼び出し、自分たちの都合で異世界の間を行き来するのに使ってるっぽい。
第26話では、「あいつら、自在に世界を越えられるのか??」と、士がちょっと驚いた感じで言ってるところがあるし。第27話では、大ショッカーは、どうやって異世界の間を行き来してるんだ? 的に、南光太郎=Black(倉田てつをさん)に尋ねてるとこもある。
と、すると、第1話で2度、“障壁”突破をしてるシーンは、士も思わずやっちゃった感じで、あまり記憶に残ってないってことかな(?)。
第1話を観ると、士にしろ夏海にしろ、次から次に異変に見舞われて、混乱してるふうだ。記憶に残ってなくても無理ないと思える。
だから、余計に、第26話ラストで、「お前は行けッ」と、Black RXに言われたディケイドが、「わかった、そうさせてもらう」と、自分の意思で異世界に渡ったシーンは注目される。
第27話の中盤で、今度はライダーBlackに「お前は、RXの世界へ行けッ!! 仲間を助けろ!」と言われて、「ああ、そうさせてもらう」と言ったシーンもだ。
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「通りすがりの仮面ライダー」として、幾つもの世界を渡ってきてる士だけど、第1話、第26話、第27話の障壁突破を別にすれば、光寫眞館をベースのようにして、異世界を移動してる感じ。
光寫眞館の住人が、あまり不思議に思ってない様子なのは、妙って言えば、妙なんだけど。『仮面ライダー電王』の愛理姉さんみたいに、何か大事なことを忘れてるのかもしれない(笑)。
それはさておき、異世界を便乗移動する士は、キャラクター性に、ある種甘ったれぽい雰囲気を抱き込んでる。これまでのとこは、って話だし。「通りすがり」を名乗るにしては甘ったれた感じ、くらいだけど。
「通りすがりのヒーロー」ってのは、要するに股旅もののヒーローが、アーキタイプ(原型)になるでしょう。
シェーンにしろ、木枯らし紋次郎にしろ、ただ、通りすがるだけでなくて、いつ野垂れ死にするかもしれないって、覚悟みたいなものと裏腹なのが、アーキタイプとしての股旅ものヒーローだ。
光寫眞館をベースのようにして、事実上の居候やりながら異世界を渡り歩いてる士には、その手の緊迫感は無い。
まだ、仮面ライダーディエンドこと、海東大樹(戸谷公人さん)の方が、放浪するヒーローの雰囲気はある。(海東が、どうやって、様々な異世界の間を放浪してるのかは、わかりませんけど)
だいたい、いくら「通りすがり」でも、行く先も自分で選べないってのはどうだろう。海東は、自己選択で、居世界の間を放浪してるみたいだけど、士の方は、単に行き当たりばったりに行き合わせた世界を徘徊してるだけだ。
そんな士が、はじめて、自ら意志して、意識して異世界を渡った。第26話、第27話で描かれた、士の異世界越境の意義は、小さくない。
ところで、アタシは、士はもっと、光寫眞館の人たちに「一宿一飯の恩義」みたいなことを気にした方がいい、と思って番組観てきたんだけど。これについても、第26話、第27話あたりで、やっと気にしだした感じ。正直、遅い、とは思うんだけど。思わないよりは、遅くても思った方がずっといい。
士は、第27話のラスト、エピローグに相当するパートで、「自分の世界をみつけない限り、何もはじまらないような気がしてきた」とか言い出した。この心境変化も、自ら意志しての“障壁突破”とを重ねあわせるようにして観てみると興味深い。
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門矢士は、周囲の世界をずっと「よそよそしい」と感じてて。「自分の世界を見つけない限り、何もはじまらない」なんて、セリフも、世界をよそよそしく感じる感覚が前提にあって、出てきてる心境の変化。
士の世界から疎外されてる感覚は、まともな写真を撮れない“体質”で、暗示表現されてきてる。
士が撮る写真は、ただのピンボケとかではなくて、遊園地にあるようなビックリミラーとかみたいに、人物肖像も、風景もみな歪んで写る。サンプルは、第1話で豊富にみられる。
アタシが思うには、士の写真の歪み、常に揺らいでる“世界障壁”が原因なんじゃぁないかな?
断定はしないけど。
士って、もしかして、本人意識してないだけで、実は周囲に“世界障壁”まとわりつかせてるのかもしれない。
つまり、人が行き来できるほどの密度はないから、普段は感知されないだけで、常に士のまわりにあるんじゃないかな?? それでそんな障壁越しに奴が撮る写真は、いつも歪んじゃうんじゃぁ?
そう思って観ると、士の心境の変化(自分の世界を見つけない限り、何もはじまらない)と、自ら意志しての異世界越境が、並行して描かれた第26話~第27話は、面白味が増す。
もちろん、「仲間を救おう」として、自ら異世界越境に挑んだって展開で描かれてのことだ。
この「仲間を救おうとして、自ら意志した異世界越境」は、前後編のような作りの第26話、第27話の話の肝になってる。
肝だけに、結構いろんなプロットが絡んでる。
メインは、ライダーBlack、Black RX、2人の光太郎との絡みだけど。
第27話で、士は、アポロガイストから目的のアイテムパーフェクターを奪って、直後にディエンドに掠め取られる。
そして、大樹は「これからはちゃんと、僕をみていてくれよ」って条件をつけて、パーフェクターを士に委ねる。
ここの異世界放浪者、海東大樹と、異世界徘徊者、門矢士との絡みと対照は面白い。
で、士はパーフェクターを使って、夏海を救って。大喜びのユウスケ(村井良大さん)が「写真、写真撮ろうよ♪」ってはしゃいでた。
パーフェクター使用で、お疲れだった士は、ユウスケの提案にノラなかったみたいだけど。想像するに、あそこで士が写真撮影してたら、きっと、夏海のまともな写真が撮れたような気がします。
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