一条ゆかり、著、『正しい恋愛のススメ』コミックス版3、本人たちはいいけど、周りには、はた迷惑な恋愛(笑)

 『正しい恋愛のススメ』は、ベテランマンガ家一条ゆかりさんの作品。
 高校生男子と、母親ほど年の離れた女性との、周囲に秘密な恋愛が、コミカル・タッチで描かれてるマンガ。

 年上の玲子さん(岬玲子)は、バツイチだから、その面では不倫ではないんだけど。深い仲になった若いホストは、自分の娘の彼氏だった。なんだってー(!?)、と、まー、そーゆー、ふしだらな恋愛が、面白おかしいコメディー仕立てで料理されてます♪

 コミックス版3巻では、主人公(竹田博明)と、玲子さんの付き合いを、博明の彼女、美穂ちゃんに隠すため、つぎつぎとドタバタが連鎖。もう1人の高校生ホスト、護国寺くんが巻き込まれて右往左往。

 コミックス版3巻(全5巻中)の採録分は、集英社文庫版だと、マルっと2巻に収まってます(文庫版は全3巻)。

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(『正しい恋愛のススメ』ヤングユーコミックス版、3巻、書影)

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(『正しい恋愛のススメ』集英社文庫版、2巻、書影)

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 女性相手の出張ホストにも、それなりに慣れてきた博明。コミックス版3巻では、学校では優等生の堅物委員長、派遣ホストの事務所では、やり手の護国くんと同居することに。
 博明の父親が急に転勤することになるんだけど。ホスト事務所所長の勧めで、1人暮らしをしてた護国寺くんが、博明との同居を受け入れるのだった。

 コミックス版2巻のネタバレになるけど。
 純愛の相手が事故死した護国寺は、直後、糸が切れた操り人形のように虚脱状態に。
 多分、脳腫瘍で闘病生活をしてた久美子さんは、病院の階段から転落、打ち所が悪くてお亡くなりになるんだけど。彼女の入院費を捻り出すのが、護国寺がホストをはじめた理由だったのだ。

 物語の筋立てでは、久美子さんの転落死が先行して描かれる。お通夜も済ませた直後に、博明に転居、転校の話が告げられて。それで、護国寺の様子も心配した事務所の社長が、博明を同居させたらどうか、って口を利くわけ。
 この護国寺と博明の同居生活の様子は、読んでて隠し味的に面白い。
 生活環境や性格が違うキャラ同士の、食い違いありの関係を、コミカルに描くのは、一条ゆかりさんの得意とするところだから。

 護国寺くんにしてみれば、もうホスト続ける理由ないはずだけど。止める理由もないってゆーか。
 アタシが思うには、多分、引き込んだ形になった博明のことが、気にはなったりしてるんだろうと思うな。別に、護国寺くんが強制したわけじゃぁなくって、やると決めたのは博明本人だけど、やっぱりね。

 それに、護国寺は、博明が、事務所に内緒で、玲子さんと付き合いだしてて、玲子さんが博明に突きつけた条件で、彼女でもある美穂ちゃんとも別れられずにいることを知ってる。気にしても不思議ではないと思うな、アタシ。
 実の母(玲子さん)が、娘(美穂ちゃん)に内緒で娘の彼氏(博明)と深い仲になるって話を、男子高校生相手の逆マイフェア・レディーみたいな料理でコミカルに描いてるのが『正しい恋愛のススメ』。博明は、玲子さんが美穂ちゃんのママさんだって知ったとき、美穂ちゃんと別れること考えたんだけど、それは玲子さんが禁止した。娘と別れるなら付き合うことはしない、って言って(この辺も、コミックス版だと2巻を参照)。

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 コミックス版3巻では、秘密恋愛の当事者、博明と玲子さんたちは、それぞれに罪悪感にさいなまれたり、開き直ったり、でも、障害があるほど愛は燃えるの……って、煎じ詰めれば、ラブラブで楽しくってしょうがないってことじゃん(苦笑)。
 本人たちはいいよね。「毒を食らわば皿まで」って感じで腹をくくれば(笑)。
 成り行きで、事情隠匿に協力してる護国寺くんの方が、色々シンドい(笑)。関係各方面に、博明と玲子さんの付き合いがバレないように、バレないように、ハラハラしたりドキドキしたり、そりゃーもう大変そうです。
 これは、コメディの常套手段かもしれないけど、まー、そうだよね。
 本人たちは、楽しくってやってるんだから、自業自得。だけど、関わる周囲は、たまんない(笑)。

 年の割には、渋くて大人びた。護国寺くんが、行きがかりとは言え、そーゆー損な役回りを演じるミスマッチは、コメディとして凄く面白い♪

 だからって、わけでもないんでしょうけど。ただでさえややこしい人間関係に、美穂ちゃんの実の父親(玲子さんが別れた元ダンナね)も参加。元々ありそうにないコメディーな人間関係は、さらに、ありそうに無さ度を増して爆走します♪

 そうこうしてる内に、元々無理のある2人の恋愛は、ますます困難に。
 次の4巻で描かれるクライマックスに向けて、2人の恋愛感情の濃度も、どんどん濃くなってく、って展開☆

「オレ…/
 本当は玲子さんの/娘の彼氏なんだ」
「内緒にしとく/しかなくって/二股かけて…/
 玲子さんだけって/大声で叫びたいのに/言えないでいる」
「辛い?」
「でも会うと/幸せだから」
「私も」

 これは、玲子さんの「秘密のBF」として紹介された博明が、玲子さんの古い女友達の、今の「秘密のGF」とわかれ際に、交わした会話。
 玲子さんの古い友達は、TV曲で女プロデューサー。今カノの若い女優さん(博明と同年代)は、玲子さんが脚本書いてるドラマに出てるって関係で。秘密のカップル2組の、秘密のWデートだったのです。
 さっきは「本人たちは、楽しくってやってる」って書いた、玲子さんと博明の間柄ですけど。もちろん、それは間違いでも嘘でもないんですけど。一方で、本気の恋愛では避けがたい、こーゆー切ない感情も、きちり描いてある。
 別に秘密恋愛でなくっても、切なくなるときは、どうしようもなく切ないじゃん。そんな感情も、描いてあるとこが、いいのだわ。

 コメディーとしての面白さも、もちろん楽しい3巻ですけど。
 きっかけは、ふしだらでも、本気度が増せば、当人たちには、かけがえのない経験が共有されるって恋愛のマジックが、とてもよく描かれてます。

 この2人だけの魔法のような経験、かかわりをもたざるを得ない、近い周囲には、はた迷惑なこともある。そこのところがコミカルな料理で、うまく描かれてて。とてもおいしい、第3巻なのです♪

 もし、アタシだったら、こんなメンドクサイ恋愛、したくはないけど(笑)。マジな恋愛って、たしかにこーゆー濃度の濃い時間が、2人の間だけで続くよね、とか思うのでした。
 ありそうにない恋愛関係を通して描かれる、あり得る恋愛感覚の描写がいい♪

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書誌情報:
一条ゆかり,『正しい恋愛のススメ』2(集英社文庫),集英社,Tokyo,2005.
ISBN 4-08-618288-2

一条ゆかり,『正しい恋愛のススメ』3(ヤングユーコミックス),集英社,Tokyo,1997.
ISBN 4-08-864316-X

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