『仮面ライダーW』第9話-第10話「Sな戦慄」:頑張れ! 鳴海亜樹子!! 翔太郎もモタモタしない(笑)
『仮面ライダーW』の第9話~第10話、「Sな戦慄」の前後編は、面白い♪
「ライダーW」を毎回欠かさず観てない人にも、この前後編、お勧めしちゃう。それくらい面白い♪
前後編だから1時間弱。多分、CMとか抜いた本編は、正味で50分弱くらいかな(?)。
『仮面ライダーW』は、今のところコミカル風味が目立つ変身ヒーローものドラマだけど。
「Sな戦慄」では、特に後編(第10話)「名探偵の娘」の、後半(Bパート)がよかった。
怪人(スイーツ・ドーパント)に拉致された「名探偵の娘」鳴海亜樹子(演者=山本ひかるさん)が、自分と一緒に誘拐された依頼人を守ろうとするシーン。このシーンが、前後編のクライマックス場面になってて。とっても高揚する面白さ♪
鳴海亜樹子は、「聞いてないよー」とかのセリフで、突っこみ役もボケ役もこなす、コミック・リリーフだったんだけど。第10話では、コミック・リリーフからはみ出したキャラクター性が印象付けられる。
先々、何をやらかしてくれるか、楽しみが増えました。
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富豪の園咲家に招聘されたパテシエばかりが、次々失踪する連続行方不明事件。これが第9話-第10話「Sな戦慄」で、鳴海探偵事務所に持ち込まれた依頼。
自称(?)、事務所所長の鳴海亜樹子は、事件の手がかりを求め、メイドとして、単身、園崎家に潜入。
しかし、第10話の中盤で、依頼者の1人(失踪したパテシエの娘)と共に、スイーツ・ドーパントに拉致されちゃう。
廃屋か、使われてない物置みたいな小屋のなかで、スイーツ・ドーパントが、腹立ちから、切り刻んでやると、亜樹子に迫る!!
「まずいっす。食べたらぁ、まずいっす。あたしまずいっすから」
「知ってるわ。刻まれて、壁の塗料にでもおなり」
へたり込んで後ずさる亜樹子は、最初の一撃を手近に転がっていたフライパンで受けるけど「私、聞いてな~い」と泣き出しちゃう。
そこに、ヒーローのWが登場。
喜びながらも、「なんで?」と首を傾げる亜樹子には、発信装置が仕掛けられていたのだった。
このシーン、「しばしば主人公ヒーローの足をひっぱる、ドジ娘が敵役に拉致される」って、定形的な展開だけど。粗筋はパターン的でも、シーン内の細かな展開と描写がいい。
Wにはかなわないスイーツ・ドーパントは、誘拐してきた依頼人に駆け寄ろうとする。多分、人質にでもしようと思ったのでしょう。
ここで、さっきまで泣いてへたり込んでた亜樹子が、とっさに窓際に放置されていた木製の背もたれ椅子を掴む。
“ぅぁっきゃー!!”だかなんだか、意味不明な奇声(笑)を発しながら、依頼人とドーパントの間に突っこむと、椅子をぶん回して。相手にぶち当たった椅子の方が、バラバラに壊れる。こんなイメージが、ちょっとスローモーション気味で演出されてる画面編集がいい♪
何がいいって、もちろん、さっきまで泣いてた娘が、ブチ切れるようにして、「うっかり」捨て身で怪物の前に立ちはだかっちゃう様子がいい♪
「私の依頼人に、指一本触れるなッ!」
呆気にとられる感じの、ヒーローW。
仮面ライダーWは、2人で1人のヒーローだけど、ボディを提供してる私立探偵、左翔太郎(演者=桐山漣さん)の脳裏では、立ちはだかる亜樹子の姿に、尊敬する先代鳴海探偵の姿がダブるのだった。
先代の鳴海探偵は、亜樹子の父親。実は、「物語内の今」時点では死んでる(らしい)。
今は「鳴海探偵事務所」の看板を引き継いだままで、翔太郎が私立探偵をやってるけど。翔太郎は亜樹子に先代鳴海探偵が、死んでいることを言い出せないままで来てる。
亜樹子の方は、父親が、何かの捜査で長期出張に出てるくらいに理解してるみたい。(ちょっと、まだ、その辺の描写は曖昧に抑えられてるけど)
「Sな戦慄」のクライマックスは、ヒーローのWがスイーツ・ドーパントを倒す場面じゃあなくて、その直前の、亜樹子が依頼人を庇って立ちはだかる場面としか思えない。
なぜか? その、構図をなぞるため、物語を遡りたい。
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第10話の序盤をみてみることにする。
翔太郎に断り無く、園崎家に潜入した亜樹子を翔太郎がどやしつけるシーンだ。
「これでわかったろ! ドーパントがいることも気付かずに、何が潜入捜査だ。おやっさんだってな、被害者を危険にされるようなことは、絶対許さなかったぜ!!」
「……ご免」
「……珍しく、素直だな……」
亜樹子が潜入前に推測していたように、犯人も園崎の邸宅に潜んでた。けど、犯人は特殊能力を持つ怪物、ドーパントだった。流体に変化して、壁をすり抜けるスイーツ・ドーパントに、本人もパテシエである依頼人が襲われちゃったのが、第9話の後半。その時点では、Wがいったんドーパントを撃退。その後、翔太郎は亜樹子をどやしつける。
「なんか……うらやましかったのかも。翔太郎くんが。私、お父さんのこと、ぼんやりとしか覚えてないんだ。一番長く一緒にいられたとき、まだ小さかったから」
「……亜樹子」
「だから、むきになってやりすぎちゃった」
ここで亜樹子が言おうとしてるのは、翔太郎へのライバル心とも言えないような、ちょっとした対抗心から、勝手な潜入捜査をしちゃった、って動機だ。
「珍しく、素直」に謝られるのは、翔太郎も予想外だったんで、戸惑ってる。ここの感じも面白い。
「ドーパントがいることも気付かずに」って怒ってるけど、実は気付いてなかったことは、翔太郎も一緒なんだ。
勝手に潜入捜査をはじめた亜樹子を心配して、園咲邸を翔太郎が張ってたからこそ、Wがドーパントを撃退できたようなもんだから。
実際、第9話では、園咲邸に招聘された依頼人の警護ができなくて、モタモタしてたのは翔太郎の方。
つまり、第10話序盤で、翔太郎が亜樹子をどやしつける時に「言ってること」は、かなり言いがかりに近い。だから、亜樹子の意外な反応に、翔太郎も「……珍しく、素直だな……」と、戸惑ってる。
「珍しく、素直」な亜樹子に、翔太郎は「……俺も同じだよ」と語りだす。
「俺もおやっさんに、ドヤされまくってた。今のお前と同じだ……。俺が功をあせって、依頼者の親子を怪我させちまったことがあってさ」
「あの時のおやっさんは、怖かった。依頼者を危険にさらす奴は、探偵以前に人間としてクズだ……。自分を頼ってきてくれた人間なんだぞ、ってさ……」
「怖かったけど、かっこよかった……」
「頼むよ、亜樹子。これ以上、無茶しないでくれ。お前が危ないめに会うのは、もう見てられねぇんだ。実は……、実は……。おやっさんは……、おやっさんは、俺が……」
--と、飛翔太郎が振り返ったとき、亜樹子はもういなかった(笑)。
このシーンに限らず、「Sな戦慄」は、ドラマの画面で観た方が、絶対面白いんだけど。
翔太郎にしてみれば、亜樹子の父が死んだのは、自分の責任と思い込んでる。「俺が殺した(ようなもの)」って罪障感を抱え込んでて、それで真相を亜樹子に言えないでいる感じ。
だから、言いがかりみたいな怒り方をしちゃう。
本当は、師匠の娘である亜樹子に「お前の安全は俺の責任なんだ(You are under my protection)」くらい言いたいはずなのね。それが亜樹子に翔太郎が「言いたいこと」なんだけど。
言いだすには、まず、おやっさんの死の真相を告げなきゃいけない。
翔太郎は、そんなようなモラル感に自縄自縛になってる。
作中、翔太郎は、他のキャラから、ちょくちょく「ハーフ・ボイルド」って、からかわれてて。アタシ(紹介者)も、あたってると思うな(笑)。
アタシに言わせれば、翔太郎は、まだまだハード・ボイルド気取りと思う。憧れてる感じね。
それでも、「自分のポリシーを通すために苦労を背負い込む」のは、ハードボイルド探偵の原型だから。
自分のモラル感で、自縄自縛になってる翔太郎の様子は、ハーフ・ボイルドでも、好ましい。
結局、第10話序盤の翔太郎は、本心を(言いがかりで無く)語りだそうとして、亜樹子の変なスイッチ押しちゃって。しかもモタモタ語ってたもんだから、肝心のとこは、亜樹子は聞いてない(笑)。
このすれ違いは笑える。
笑えるだけでなくて、翔太郎と亜樹子、それぞれの本気さと半熟さ(未熟さ)、そして2人の間の食い違いなど、いろんなものがいっぺんに描き出されてて面白い♪
その頃、翔太郎の語りを「途中まで」聞いて変なスイッチが入っちゃった亜樹子の方は、俄然やる気を出しちゃってたのだった(笑)。
「麻衣さんは、私を頼ってくれてるんだもん。ここで頑張らなきゃ、お父さんの娘じゃないッ!」
アタシが思うには、亜樹子は、多分、翔太郎の長い1人語りを半分くらい聞いたとこで、スイッチが入っちゃった(笑)。
「自分を頼ってきてくれた人間なんだぞ、ってさ……」か、「怖かったけど、かっこよかった……」のあたりね。
多分、「頼むよ、亜樹子」から後、翔太郎が1番聞いてほしかったあたりは聞いてないと思うな(笑)。
この辺が、とても笑えるコメディ性なんだけど。それはさておき、変なスイッチが入って、無茶な活躍をした亜樹子は、依頼人(パテシエの麻衣さん)共々、スイーツ・ドーパントに拉致されるって展開に。
そして、とっさに、うっかり依頼人を庇って、ヒーローすら呆気に採られるクライマックスに連なっていく。
物語を綾なす主要な筋が、この場面に収斂してく流れが、すごく気持ちいい。
クライマックスの場面では、「ぼんやりとしか覚えていない父について、父の弟子(翔太郎)から聞かされた理想化された物語を、身をもってなぞる『探偵の娘』」って、キャラクター性がくっきりと浮かび上がるからだ。
大事なとこだから、同じことを別の言い方でも、言っておきたい。
「探偵の娘」鳴海亜樹子のキャラクター性を際立たせる主要な筋の綾なしが、「Sな戦慄」の物語中1番くっきり目立つのが、ドーパントの前に亜樹子が立ちはだかる場面だ。
印象的なカットや、サブ・プロットは他にもあるけど。それでも、この場面が「Sな戦慄」のクライマックスとしか思えない。
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クライマックスの場面では、亜樹子の父に対する幻想と、翔太郎が師匠(おやっさん)を尊敬する追想が交叉する。
翔太郎と亜樹子の間では、それぞれが父(おやっさん)に抱く思いは、まだ突っこんだコミュニケーションでは、語り合われていないんだけど。
だいたい、先代鳴海探偵は、『仮面ライダーW』が始まって以来、「物語内の今」に、まだ1度も登場してない。死んでるって話だから当然だけど。そんな不在のキャラも“存在感”をもって印象付けられる。
もちろん、この“存在感”も、娘が抱く幻想と、弟子が抱く追想の強さが交叉するところに顕れる、一抹のイリュージョン。
そこも、いい♪
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アタシが思うには、クライマックスの場面で、亜樹子は、何かの精算があって、ドーパントの前に立ちはだかったわけじゃぁないはず。
亜樹子が発す、“ぅぁっきゃー!!”だかなんだかの、意味不明な奇声は、何かを吹っ切って、思わず無茶をやらかしてる様子の描写と思える。その「勝算も無く、思わず無茶をやらかしてる」様子を、アタシは否定的な含意だけではなくて「うっかり」と呼びたい。
一方、ヒーローのWが、亜樹子の無茶を見て、一瞬、呆気にとられる様子は、もちろん、呆れてるわけじゃぁない。
こっちについては、第10話オーラス、エピローグ相当パートにて、翔太郎のモノローグの形で描かれてる。
“亜樹子は、相変わらず事務所の親分気取りだ……”
“……だか、それもいい。あいつのなかにいる、おやっさんに出会えた気がしたから。俺が要らぬ心配をしなくても、亜樹子には亜樹子の強さがあるんだ”
“……強くならなきゃいけないのは、この俺の方だ。いつか……あの日を受け入れなきゃいけない時が来る……”
“あの夜……「ビギンズナイト」を”
「ビギンズナイト」は、亜樹子の父(おやっさん)が死んだ夜、翔太郎が仮面ライダーに変身する力を得た夜のこと。「ビギンズナイト」関連の筋(プロット)は、「Sな戦慄」の前後に伸びてく綾の1つだ。
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「Sな戦慄」を冷静にみれば、クライマックスシーンで、亜樹子は、無茶をやらかしてる。
現場にWがいたから、椅子のぶん回しも、時間稼ぎになったわけだけだから、無茶は無茶だ。
アタシは、「亜樹子がバカをやらかした」と言いたいだけではなくて。「バカをやらかしてるけど、ヒーローがそこにいることをあてにして、依頼人を庇ったわけではない」とこが、とてもカッコイイ、と言いいたい。
エピローグの翔太郎が1人思う“亜樹子の強さ”は、アタシには、亜樹子が“なかにいる、おやっさん”を理想化する幻想の強さと思えるんだけど。そうだとしても、この幻想は悪くない。
そして、そんな亜樹子を見て“強くならなきゃいけないのは、この俺の方だ”と、思う翔太郎のハーフ・ボイルドさ(半熟さ)も、好ましい。
そんなわけでも、第9話-第10話では、主役を喰っちゃう勢いの鳴海亜樹子。演者の山本ひかるさんも頑張ってる。ちょっとまだ、ぎごちないとこも見受けられけど、第10話のブチ切れ演技をきっかけにして、もっと頑張ってほしいな♪
頑張れ! 鳴海亜樹子!!
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「Sな戦慄」って前後編エピソードの主筋は、もちろん「謎の連続パテシエ失踪事件」と、それを解決するヒーローWの活躍だ。けれど、大筋としては定型的な物語の内実を、ユニークにしてるのは、定形に収まってない、細かな部分の物語なのだ。
アタシは、物語って言うのは編み物のようなものって、いつも思うのだけど。
遠目に見ればどれも同じように見える手編みのマフラーでも、近くでよく見れば、柄とか編み方とか違ってる。そんなようなことだ。
「Sな戦慄」では、そうした細かな部分の図柄で、1番くっきり印象付けられるのが、「不在の父親(おやっさん)を仲立ちにした、2人のキャラ(亜樹子と翔太郎)の思いの交叉」になってるわけ。
じゃぁ、「Sな戦慄」の物語には、ほかにどんな図柄が編みこまれてたか。結構あるけど、目ぼしいとこだけ挙げておこう。
敵性組織の幹部級の強い怪人複数に、同時攻撃を受けるWのアクションは、もちろん面白かった。
特に、第10話で2大幹部に襲われても、拉致された亜樹子たちの救出に向かうため、スーパーバイクで、相手をいなすWのバイク・アクションが小気味いい。
スイーツ・ドーパントに変身する、イカレた犯人も、イカレた感じでよかった。(さすがに、これは演者が誰かとか書くとネタバレが過ぎると思う)
後、「Sな戦慄」では、敵組織のボス級怪人が、はじめてその片鱗を見せる。
このボスが、寺田農さん演じる園咲家当主だってことは、ドラマを観てれば自然とわかる。
第9話(前編)でも第10話(後編)でも、園咲家当の圧倒的な貫禄が凄い☆
例えば、園咲家当主と翔太郎が、互いのもう1つの顔を知らずに初顔合わせする場面。
この場面、どうしても翔太郎の方がチンピラにしか見えない。こう言ったら俳優さんに悪いかも(?)だけど。それでも、この場面は、あれでいいのだ(笑)。
そして、園咲家当主が、ボス怪人(テラー・ドーパント)に変身するシーンが強烈♪
何気ないポーズをとって「ふははははは」とか笑ってるだけなんだけど、凄い存在感で。変身シーンでも、力んでみせる必要すらないのね、寺田さんほどの役者さんだと。
そう言えば、『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』で渡辺裕之さんが演じた牙王の変身シーンも、力んだ演技ではない見せ場だった。
ともあれ、変身ヒーローものである『仮面ライダーW』では、寺田さんの演じる変身シーンって、凄い飛び道具だわ、これ(笑)。
Wの敵性組織ミュージアムは、今のところ描かれてる活動範囲が、架空都市風都限定。アタシ的には、小じんまりしたイメージが、どうも仮面ライダーの敵役組織としては物足りない感じを受けてたんだけど。
どうやら、この個人的評価は修正した方がいいみたい♪
大言壮語ばかりで大風呂敷な敵組織より、コンパクトでも、実際にヒーローの行く手に立ちはだかる敵役の存在感が強い方が、観てて面白い。
寺田農さん演じる、園咲琉兵衛こと、テラー・ドーパントはいい♪
やっぱね、敵役が敵役らしくいいと、ヒーローも映えるのだ☆
もちろん、園咲琉兵衛こと、テラー・ドーパント絡みの物語の図柄は、前後編の構図内で観るよりも、もっと長期の構図の内で観た方が、はっきりわかるはずで。これも先々の展開が楽しみです♪
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【おまけ】『仮面ライダーW』資料メモ
第9話「Sな戦慄/メイド探偵は見た!」
監督=柴崎貴行、脚本=三条陸、キー局オンエア=11月8日
第10話「Sな戦慄/名探偵の娘」
監督=柴崎貴行、脚本=三条陸、キー局オンエア=11月15日
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