【レポート】ライトノベルは進化しているか、および小説の面白さの要素とは

## 図表があるので、添付のPDFを参照してください。
## 以下にあるのは、本文のみです。

 国文学専攻の私は、卒論のテーマをライトノベル史にした。ライトノベルというのは本来的には中高生の男女向けの空想的なジュブナイル小説のことを指す。現在では毎月30点以上が常にリリースされ、文庫本の売り上げのなかでも断トツの位置を占めている。だが、先日とある出版社の方と話していて小耳に挟んだのだが、いまライトノベルは出版点数こそ増えているものの売り上げそのものは上昇していない、と言うことである。種類が増えて、合計が増えないということは、一点当たりの売り上げが減っているということである。そういえば、一時期のライトノベルレーベルの新設ラッシュも鳴りを潜めたように思う。アニメ化される作品が増えたことで売り上げが伸びてると錯覚していたが、そもそもアニメの本数自体が数年前と比べると莫大な数になっている為、アニメ化の話が多く出てもふしぎではない、と改めて意識した。
 この、一点当たりの売り上げが下がっている、ということが、10年ほど前から比べて、ライトノベルがつまらなくなった、と言われる理由の一端かも知れないと思い、実際につまらなくなっているのかをしらべてみようと思った。その為に、ライトノベル全盛期と言われる90年代半ばに新設され、現代でもコアな人気を誇っている「電撃文庫」を材料として利用する。このレーベルは毎年「電撃小説大賞」という賞を設けて発表しているので、この賞の大賞受賞作を読み比べて順位付けすることで、ライトノベルが面白くなってるのか、つまらなくなってるのか、あるいは変化していないのか、ランダムに変異するのか、そのいずれであるかがわかってくると思う。実験方法は品等法を用いることとする。面白さがどう変異しているかを知るためには、順位付けが為されれば十分だからだ。
 実験の要素、つまり電撃小説大賞受賞作の一覧は下の表の通りである。

(図表1)

 これらを数十人の被験者に通読してもらい、面白いと感じた順に並べてもらう。そして、その結果から、小説が面白さで順位づけられる。
 具体的には、被験者にこの10編の小説を読んでもらい、解答用紙に順位を付けてもらう。解答用紙には、小説のタイトルが並んでおり、その隣に空欄があって、そこに順位を書き入れてもらう。先入観があまりでないように、タイトルは年度順ではなく、バラバラに並べておく。
 次に、タイトルごとにその順位を集計する。順位の数字をそのまま合計し、被験者の数で割ることで、被験者間での平均順位が算出される。その平均順位ごとに並べ替え、上から1位、2位と割り振れば、面白さの順位付けが完成する。
 この際に気をつけたいのは、たとえば「ラブコメが大嫌い」とか「SFは理解できない」とか、特定ジャンルに対して強烈なイメージを持ってる人を被験者に選ばないことである。なぜなら、彼らは小説の面白さ云々の前に、好みのジャンルかどうかで点を付けてしまうことがあるからである。この被験者には、できるだけ「まんべんなく」小説が好きな人を選ぶべきである。

 と、ここまで書いて、ふと気になったことがある。小説の面白さとは、何であろうか。せっかくなので、小説の面白さの本質について考察してみたい。その為には、SD法が最適であると思われる。SD法によって、面白さの条件を見つけることができる。
 まず、評価項目の選定だが、これは先ほどあげた10編の小説を再び使うことにする。
 次に、評価尺度の選定だが、項目が10通りなので、最低でも30対の尺度が必要である。

(図表2)

 今回は、この45対の評価尺度を、5段階で扱うこととする。
 さて、この次は評価用紙の作成である。これは、一つに小説に1枚必要なので、つまり一人当たり10枚必要な計算になる。評価用紙の実際は、次の通り。

(図表3)

 評価用紙に評価してもらい、すべてが済んだら、今度は、それを分析する。
 1つの小説ごとに、全評価者の各評価の数値を合計して、被験者の数で割り、1つの小説に付き1枚の評価用紙に圧縮する。
 次に現在1枚の紙に1つの小説についてのイメージが書かれているが、これらを、1枚の紙に1つの評価尺度で、折れ線グラフを作る。

(図表4)

 このようにして出来上がった折れ線グラフ45枚を並べ、相関係数を計算し、それらが近いモノごとにまとめ、グループ化する。そして、そのグループの名称を、そのグループの構成要素の上位概念で設定することにより、「小説の面白さ」の本質が見えてくるというわけである。

 今回は実験計画だけのレポートと言うことで、いま知りたいことを知るために、かなり大ざっぱで杜撰な実験だったのではないかと思う。個人的に知りたいことを知るために、必要性を感じていないため、数式も一度も使わないままであった。
 卒論の提出まで半年を切った現状では、この実験を実際に行って卒論に活かすことはおそらく時間的にも無理であろうが、この半年の授業で学んだ考え方は、今後も色々なモノを見聞していく上で、非常に大きな力となると確信する。

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