OtND 0x02 ダイスの数
今回は認知科学的見地からダイスの数の話をしようと思ったのだが、ネタにしようとしていた資料がいわゆる“ガセビア”だったと判明したので、またしても確たる資料のない話になる。
目下、資料探しも平行してはいるものの、話を先に進めないといつまでたっても終わらないので、この連載は「見切り発車、予断主観偏見上等」ということで進めてしまうことにする。適当な資料が見つかり次第随時バージョンアップしていきたい。
さて、本題。「判定に用いるダイスの数はいくつが適当か?」
ダイスを振った時、出た目の数は人間の短期記憶に格納される。一度に格納できる数は個人差があるが、7±2個だろうと考えられている。
短期記憶の寿命はこれも個人差があるが20秒前後である。
しかし、このことは「人間はダイス7個までなら瞬時に読み取れる」ということを意味しない。なぜなら、振ったダイスは1カ所に固まってくれないからである。
人間がダイスの目を読み取れる範囲は、目の焦点が合っている点からわずかに5度である。よって、7個全部を一度に把握するには、その範囲内にダイスが収まっていないとならない。ダイスによっては「6」と「9」の判別がつきにくいなどの問題もあるだろう。このため、ダイスの数が多いと、プレーヤーは自然と「ダイスを手でまとめる」などの動作を行うようになる。
さらに言うと、短期記憶は20秒しか保たない。これは、ダイスを振った後の手続きが20秒を越えると「ダイスの目を見直す」などの動作が余分に必要になり、余計に判定に時間がかかることを意味する。数字を計算している内に「あれっ、元の数字はいくつだっけ」と計算し直すハメになる現象には、短期記憶の寿命が関わっている。
他の参加者の耳目を集めつつ、たくさんのダイスを振るというのはプレーヤーとしては最高に気持ちいいのだが、一方で全員の時間を消費しているという事実をデザイナーは把握しておくべきである。
(余談)ものすごくおおざっぱな計算だが、1回の判定の手続きに30秒かかり、1セッション中プレーヤー1人あたり20回の判定が行われるとすると、4人のプレーヤーで1セッションに40分間判定に費やしていることになる。1セッションを5時間と見積もった場合、その内40分が既に消費されていると考えると、なかなか厳しい。
結局のところ、プレーヤーが慣れ親しんでいる1~3個のダイスを振る振り方(2D6、3D6、2D10、1D20、1D100など)から逸脱する判定方法は、プレイ時間を圧迫する要因になる。また、ダイスを振った後の手続きが複雑で、計算や「特殊能力を使うかどうか」の判断に時間がかかるゲームはプレーヤーの負担が高いと推測される。
このこと自体が「プレイの面白さを減じる」訳ではないが、1回の判定に時間がかかるシステムの場合、GMは判定の回数そのものを少なくする=イベントや戦闘の回数を減らす方向で時間調整を行う。あとは、デザイナーが望むプレイスタイルとのバランスの問題になるだろう。
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