『仮面ライダーW』第1クール:どこまで通じる?? メモリブレイク
変身ヒーローもののTVドラマ『仮面ライダーW』の、第1クール(13話)放映分を振り返りたい。大まかに1年放映予定の1/4は過ぎて、ますます快調。
この紹介文では、ライダーWの必殺技(?)メモリブレイクに焦点を置いて第1クールを振り返ってみます。
敵怪人(ドーパント)を無力化しても破砕しない「メモリブレイク」は、そこだけ観ると仮面ライダーぽくはないんだけど。作品のうまい構成、上手な料理の内で、おもしろく使われてる、って切り口。
別に書いた紹介文「子供心を揺さぶる変身ヒーロー♪」では、『仮面ライダーW』が、「大人と子供が一緒に観て、それぞれに楽しめる」番組だし、「大人と子供の間で話題にし易い」変身ヒーローのドラマで、そこがいい、って話を書いた。
ヒーローの、目まぐるしいモードチェンジとか、CG合成も巧く取り込んだスペクタクルなアクション場面とか、テンポのいい展開に編みこまれるコミカルなシーンの話とか。
そうマニアックでもない切り口で書いてみたつもり(笑)。
こっちの文章は、前の文章の続編ってわけでもなくて、姉妹編。どっちかを片方読んでくれるだけでもいいですし。両方読んでくれれば、筆者も嬉しいけど、どっちを先に読んで、とか、その手の構成もないです。
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『仮面ライダーW』は、いわゆる平成ライダーって呼ばれる作品群の11作目の番組。
平成ライダー以前からの仮面ライダー系作品をひっくるめて観ても、Wは、敵性キャラを倒さずに無力化するとこが、ライダー系ヒーローとしては、地味に特徴になってる。
しばらくやりあって、相手がバテて来た(?)頃合で、色んな必殺技を使って「メモリブレイク」すると、相手が変身に使ってるガイアメモリーが機能停止するっぽい。
(細かいことを言うと、この「メモリブレイク」ってのは、必殺技自体の名前じゃぁなくって、多分、必殺技が効果を挙げた時のエフェクトの名前)
ドーパントに変身する奴は、普通は、自分の体質にあったガイアメモリーしか使えない。で、変身する時は体内にするするっと、メモリーが入ってくんだけど。「メモリブレイク」が決まると、ドーパントは人間に戻る。ガイアメモリーはすすっと挿したとこから出てきて、パカーンと壊れちゃう。
仮面ライダーの敵怪人ってのは、大昔は、倒されるとドカーンと爆発しちゃったし。近年でも、仮面ライダーキバの敵(ファンガイア)は砕け散るとか、電王の敵(イマジン)は爆発するけど、その後、大きなモンスターに変身したりしなかったりとか。だいたい、そーゆーのが主流。
ファンガイアは魔物だし、イマジンはなんか人魂みたいのが変化した存在だから、倒しても蘇ったりしちゃうんだけどね。
そーゆーのと比べると、Wのメモリーブレイクってのは、変身する左翔太郎(演者=桐山漣さん)のポリシーにあってる感じがいい。
それに、怪人(ドーパント)に変身する前の奴らが、実際にいそうな小悪党っぽいとこ(第1クールでの話ね)も、実はWではうまく料理してきてる。
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まず、翔太郎のポリシーの方だけど、第11話「復讐のV/感染車」で、駆けつけたライダーWに鳴海探偵事務所の自称所長の亜樹子(演者=山本ひかるさん)が、「来たーっ! 正義の味方っ!!」って歓声を送る場面がある。
この場面に前後も含めた一連のシークエンスで描かれる、Wが体現する“正義”ってなんだろう。
作品から拾ってみると、それは、悪党であっても殺させるわけにはいかない、って信条(ポリシー)や、復讐なんかでは(復讐者の)哀しみは消えやしない、って思い。そして、「1番大切な人を奪われた、その気持ちは俺にもわかる」だからこそ、復讐なんかをさせるわけにいかないって心情。
この場合の“正義”って言うのは、アタシは「正しい道徳心(道義心)」の意味だろうと思う。少なくとも「正義の観念(アイデア)」の意味ではない。翔太郎、あんま物事を細かく考えてく方じゃぁないし(笑)。
そーゆーわけで、ドーパントの力を使った復讐者を止めようと駆けつけたライダーWに、亜樹子は「来たーっ! 正義の味方っ!!」って歓声を送ってる。ここで、亜樹子が、翔太郎のポリシーをかなり理解してる様子も、前後で手短に描かれてて。そーゆーとこもいい。
こんな描写もきちんと描き込まれてるから、ドーパントを破砕するんじゃぁなくって、無力化して、変身能力を奪う「メモリブレイク」は、翔太郎のポリシーにあってると、思える。
自分の街(風都)で暮らす人たちに、誰も泣いてほしくない、って、ちょっと身の丈よりも大きそうな大望を抱いちゃってる左翔太郎が、「悪党でもこの街の住人だ」として、嫌な思いをすることもあっても頑張る様子は、とてもヒーローっぽい。
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さて、そんなライダーWが立ち向かうドーパントたち。
ドーパントに変身する前の奴らが、多くは、普通にいそうな小悪党っぽいところも、作品ではうまく料理してきてる。(第1クール以降の展開でも、ますます面白くなってる、見所の1つ)
普通の世間にもいそうな小悪党が変身ヒーローの前に立ちはだかるってドラマは、作例が無いわけでもないけど。このタイプ、愚直に作られると、実はあんまり面白くなんない。
やっぱり、(作中の)社会常識の埒外にイっちゃってるような連中が、敵性キャラクターとして、ヒーローの前に立ちはだかるようだと面白い。つまり、警察とかでは対処しきれない相手がいるから変身ヒーローの出番になる方が、納得し易い感じ。
(あるいは、とても雑然と“侵略者”と総称されるようなキーワードで、「作中社会の秩序感覚を脅かすもの」が描かれたりすることもあるけど。あまり話を広げすぎてもいけないので、ここではおいておきましょう)
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実際にもいそうな小悪党が怪人に変身するのに、『仮面ライダーW』のドラマが面白く楽しめるのは、常識外の異常な力を得た普通の小悪党(など)が、「力に溺れる」ようにして、イカレてく様子が、断片的ではあっても、的確に描かれてるから。
実は、この「獲得された異常な力に溺れていく」ようなキャラクターってのは、平成ライダーの作品では、初期から繰り返し描かれてきたモチーフ(題材)。
例えば、第2作の『仮面ライダーアギト』では、主人公ヒーローと同じ「アギトの力」を得たことで、主人公を倒そうとするアナザ・アギトが描かれた。
あるいは、第3作の『仮面ライダー龍騎』は、「力に溺れた」ようなライダーのオン・パレード(笑)だったんだけど。内でも、例えば自分が得た力で、小さな犠牲を黙認して大きな危機を阻止しようとした“大人な”ライダーオルタナティブ・ゼロは、妙に印象に残る。
ほかにも色々、例を挙げることはできるんだけど。
『仮面ライダーW』では、例えば最初の前後編「Wの検索」から、ガイアメモリーの力でおかしくなっちゃったキャラがドーパントになって出てくる。さっき挙げた「復讐のV」の復讐者だってそうだし。色々なタイプの「現実にもあり得る悪意」を抱いたキャラが、「現実にはあり得ない力」を得て、その力に溺れてイカレてく様子が描かれてる。
そして、「悪意を抱くキャラたち」のいろいろなタイプを、一回り描くと、「現実にもあり得る悪意」の強さを強め、「現実にはあり得ない力」に溺れる深さを深めて、また別のタイプのキャラを描いてく、流れっぽい。
この辺は、もう放映がはじまってる第2クール分のエピソードも合わせて流れを観ると、感知し易いんですけど。製作陣、先々の展開への見通しも持って、1つ1つの前後編エピソードを、丁寧に描いてる印象で。好感が持てます。
なにより、左翔太郎の正義感(正義のフィーリング)がどこまで通用するか、あるいはどこかで変化していくか、みたいなあたりが先々のドラマの観どころとして期待感を膨らませます。
例えば、ガイア・メモリ密売組織ミュージアムの中核メンバー、タブー・ドーパントや、テラー・ドーパントと対峙したとき、ライダーWが、どこまでメモリ・ブレイクで無力化を狙うポリシーを貫き通せるか。今から想像しても楽しみ。
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“正義の味方”のヒーローって、「一体どんなタイプの“正義”」を体現してるか、あるいは身体をはって追及してるかが、きっちり描かれた方が面白い。この点は、『仮面ライダーW』の第1クールは、とても丁寧にエピソードを積み重ねてきてて、好感が持てるし、なお、先の展開を期待させます。
もっと言えば、“正義の味方”が体現するポリシーが、別のポリシーとぶつかり合って、ヒーローが、ジレンマに追い込まれてくようだとさらに面白くなる。
どんな“正義”が、どこまで信じるに足るか、フィクションの形で描かれるようなドラマこそ“正義の味方”のドラマっぽくなるのだわ☆
(最後の点は、第1クールに引き続いて、新たなフェイズに入ってる第2クールの『仮面ライダーW』で、ますます面白くなってきてます♪)
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