OtND 0x06 省略できない手順
20世紀末、TRPGユーザーが直面した最大の問題は「GMがいない」であった。
このため、21世紀のTRPGは「GM負担の軽減」をお題目として掲げるようになる。
一般に、ゲームデザインにおけるGM負担の軽減は、ゲームをより投機的にデザインする方向で行われた。
以前のゲームではGMがシナリオごとに選択肢を用意し、それに対するリスクとリターンをその場その場で決めていたのが、ゲームによってあらかじめ選択肢が用意されるようになり、それに従って正常な投資を行えば正常な結果を得られる、とプレーヤーが信じることができるようになった。
ただし、これはゲーム側で充分な種類の「選択肢」を用意する必要があり、結果的に膨大な数のデータを必要とするようになる。幸いなことに、ゲームデザインにおいてデータを用意すること自体はそれほど問題ではない。また、データを増やすことで計画的な開発と出版が可能になったのも事実である。
しかし、一方でデータ管理、特にデータ同士の組み合わせにおいてゲームデザインのコストは格段に上昇した(これも後日別記する)。また、ユーザーの負担も大きく、新規参入者への障壁となっていることも否めない。
ゲームを投機的にしたことによる副作用は、GMにも働いている。
21世紀のゲームデザインでは、GMの権限を整理し、明確化することが求められた。それはたとえば「情報を得るためのルール」であったり、「NPCに会うためのルール」であったり、あるいは「黒幕を作成するためのルール」であったりする。
これらの狙いは、GMが頭の中に思い描いているだけだったシナリオから、できる限り公平なゲーム・ボードを構築することにある。しかし逆に、GMはこの「ゲーム・ボードを構築する作業」から逃れることができない。
この手順は、公平であることが求められるが故に省略できないのである。
GMの権限をゲームが肩代わりするという方向性のデザインは、おおよそのところではルールを増やし、データを増やし、GMが省略できない手順を増やす傾向にある。21世紀のゲームデザインは、いかにそのバランスを取るかが焦点となっている。
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