『仮面ライダーW』第15話-第16話「Fの残光」:ドラマは、第2クールでスタートダッシュ! ヒーローは、大ピンチ!!

 『仮面ライダーW』の第15話~第16話、「Fの残光」前後編が、面白い。
 第1クール(1~13話)が終わり、第13話-第14話を経た、第2クール最初のエピソードが「Fの残光」。

 鳴海探偵事務所を訪れた若い女は、「仮面ライダーを捜してほしい」と、依頼。
 (チョ~簡単な依頼だね♪)と、ほくそ笑む自称所長の鳴海亜樹子(演者=山本ひかるさん)。
 (結構、有名になったもんだなぁ♪)と、ニヤつく、他称ハーフボイルドの左翔太郎(演者=桐山漣さん)。翔太郎は、実はライダーWの正体(の片割れ)。

 そんな2人に、依頼人の女は語る。
 「私、告発したいんです。悪の権化、仮面ライダーを」
 バイクに乗った仮面の怪人が、銀行を襲って現金を奪い去った、と聞き、「誰が、何のために?」と、いぶかしむフィリップ(演者=菅田将暉さん)。フィリップは翔太郎の相棒、「2人で1人」でライダーWに変身する片割れ。

 風の都、風都に、偽仮面ライダー現る!!。
 と、ゆーところで、この紹介文(レヴュー記事)は、TV朝日系で放映中の『仮面ライダーW』を観たり観損ねたりしてる人で、変身ヒーローものとかは、さほどマニアックに好きなわけでもない(嫌いでもない)的な人を念頭に書いてみます。ネタバレもそこそこな感じで。

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 「仮面ライダー」の名を汚す偽者に怒る翔太郎。偽ライダーの目的は?? そして、ライダーW10番めのフォーム、ファング・ジョーカー登場と、 第15話~第16話、「Fの残光」は、盛りだくさん。

 第13話~第14話、「レディオでQに続いて、ヒーローに敵対する“組織”の内幕も描かれていく
 これがまた、いい♪ 「変身ヒーローものってこーでなくっちゃ♪」とか、マニアなアタシ(紹介者)は大喜び(笑)。
 変身ヒーローもののツボを抑えたメニューだし♪ 流れもいいのだわ☆

 第1クール(第1話~第13話)のエピソードでは、ヒーローのWは、主に“組織”が密売するガイアメモリーで変身する怪人(ドーパント)たちと闘ってきた。
 つまり、組織だった悪行に立ち向かうというよりは、その都度その都度、動機や目的がバラバラな事件に立ち向かってきたのね。
 『仮面ライダーW』は軽快なテンポと多彩なアクションが楽しい番組だから、楽しめたけど。
 そろそろ、大掛かりな陰謀にも立ち向かってほしいのだわ、変身ヒーローとしては。

 そして、風都の闇に救う組織、“ミュージアム”は、やっぱり、ただの密売組織なんかじゃぁない感じ。
 “ミュージアム”組織の中核は、風都の資産家園崎家のファミリー。番組を観てる人はとっくに知ってるけど、作品内でヒーロー側はまだ気づいても無い(笑)気配。

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 「Fの残光」では、最初に「(偽)仮面ライダーを捜してほしい」って依頼の場面があって。調査をはじめる翔太郎は、偽ライダーの悪行の跡を目にすると、「俺が(ライダーWの)無実を晴らしてみせる」。“必ず、偽者の仮面ライダーを捕まえて、化けの皮を剥がしてやる”と、怒りを滾らせる。

 その直後に、園崎家の家族の会話が描かれるシーンが。ことに面白いのが、“組織”の首魁、園崎琉兵衛(演者=寺田農さん)と、長女、冴子(演者=生井亜実さん)とのやりとり。
 サンルーム風の広い部屋で、優雅にワインかなんか飲みながら、余裕たっぷりに物騒な話をしてて。

園崎琉兵衛「冴子。私たちは、何かな?」
冴子「地球に選ばれた、家族です。……お父様」
琉兵衛「そうだ。……お前はその長女だ。若菜のように気ままに生きていくわけには、いかない」
冴子「わかっています。ガイアメモリーの開発、販売、すべては順調に進んでおります」
琉兵衛「そろそろ、新しいメモリーも、増やしたいね」
冴子「……申し訳ありません。その件も……、現在進行中です」
琉兵衛「……」(無言でにんまり笑ってる)

 「若菜」ってゆーのは、園崎家の次女で、一応幹部扱いなんだけど、まだまだ組織の真の目的は理解してないっぽい。この辺が少しずつくっきりしてくのも「Fの残光」前後編の面白さ、なんだけど。

 「地球に選ばれた、家族です」。

 ここが、いい♪
 変身ヒーローの行く手に立ちはだかる敵は、これくらいブッ飛んでてくれないと(笑)。
 誇大妄想的野望キタ----ッ♪ って、感じ☆

 変身ヒーローって、警察とかでは対処しきれない出来事に立ち向かうから、活躍が引き立つのよね。
 そーゆー常識外の悪行をする悪者は、常識でも理解できる悪党より、どっかしらイッちゃってる奴の方が面白くなるのだわ。
 過去の平成ライダー作品だと、「電王」でイマジン(「電王」に出てくる怪人ね)たちを率いてた未来人カイが、なかなかのイカレ具合で良かったけど。
 寺田さん演じる、園崎琉兵衛(=テラー・ドーパント)も、ブッ飛び加減に期待しちゃうな(笑)。だって、存在感や貫禄が凄いんだもん。

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 「Fの残光」のエピソードの敵役、アームズ・ドーパントもいいです。
 見た目も凶悪そうですけど。実際に凶悪で(笑)。

 左右の腕を、次々と色んな武装に変化させて、好き勝手に攻撃してくる。
 仮面ライダーWの方は、9つのモードと4タイプのマシンをチェンジして、敵の特性や状況に合わせて、アクション・スタイルを変えていく。これが、軽快なテンポを生んでるんだけど。
 対、アームズ・ドーパント戦では、相手の武装チェンジにリードされて、ヒーローの方のモード・チェンジが1歩ずつ遅れる感じで、手に汗握っちゃう♪

 「よくもっ! 仮面ライダーの名を汚してくれたなぁッ!!」

--と、ヒート・ジョーカーでふんばる翔太郎。
 「たまんねぇなぁ。やっぱ、本物は強ぇえわ」と、戦いを楽しむように笑うアームズ・ドーパント。

 で、まー、ここまで書けば、もうわかっちゃう人もいるでしょうから。チョビっとネタバレさせると。偽ライダー、こと、アームズ・ドーパントの狙いは、Wを追い込むこと。

 仮面ライダーWは、最大のピンチに追い込まれていく!!

 そして、アームズ・ドーパントを操る“ミュージアム”組織の、真の目的は……ってあたりが、この前後編の山場になってくし、ファング・ジョーカーの登場(TV初登場)に連なっていく♪

 何がどう連なっていくかは、観てのお楽しみ♪ だけど。
 これは言える。
 まず、「Fの残光」では、ライダーW絶対のピンチに立ち向かう、新モード、ファング・ジョーカーがかっこいい♪
 それだけでなくて、フィリップが欠落させてる、過去の家族の記憶と、園崎家の関係も描かれて。この描写は「レディオでQ」(第13話-第14話)からの流れが楽しい。

 さらに言うと、第1クールの第3話-第4話「Mに手を出すな」で描かれた題材(モティーフ)に、前とは別の角度からスポットをあてて、よりくっきり描きだすドラマになってるのが「Fの残光」。
 「欠落してる家族の記憶」もそうだし、「2人で1人(翔太郎とフィリップ)のつながり」もそうだし、「風都の人たちが都市伝説的に名づけた仮面ライダー」もそう。
 この辺の題材は、1度「Mに手を出すな」で軽く描かれたんだけど。「Fの残光」で、より深く描かれ、新しい展開も期待させるリンクが導入される。

 この流れは、ほんとうに面白い。
 番組の持ち味「軽快なテンポ」と、観応えのあるドラマを両立させてる。
 ドラマが同時に、新たに登場するヒーロー十番目のフォーム、ファングの描写になってるのも憎い。
 「Fの残光」の「F」は、「ファング(Fang)」の「F」よねー、どう観ても。
 何が、どう「残光」なのかは、それこそ観てのお楽しみ♪

 『仮面ライダーW』は、第2クール最初のエピソードで、いきなりスタート・ダッシュ!! なのです☆

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【おまけ】『仮面ライダーW』資料メモ
第15話「Fの残光/強盗ライダー」
監督=柴崎貴行、脚本=三条陸、キー局オンエア=2009年12月20日
第16話「Fの残光/相棒をとりもどせ」
監督=柴崎貴行、脚本=三条陸、キー局オンエア=2010年1月3日

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 『仮面ライダーW』の第17話~第18話、「さらばNよ」前後編が、面白い。
 パワー・アップした敵幹部、ナスカ・ドーパントに挑まれる、仮面ライダーW。
 Wの側では、勝手に動き周

覚書:ファングジョーカーのデザインと造形

【覚書資料】仮面ライダーWのファングジョーカーとサイクロンジョーカーのデザイン-造形比較

 この記事では、親記事でふれてる、仮面ライダーWの「第10のフォーム」ファングジョーカーのデザインや造形を、旧来の9つのフォームの内、作中でも多様されるサイクロンジョーカーのそれと比較対照。
 簡単な箇条書き形式で、対照なポイントを列挙する。

 アタシ(評者)の感知では、リリース情報や雑誌記事など、作品外の関連情報で、「仮面ライダーWの『第10のフォーム』」とも呼ばれるファングジョーカーは、旧来の9つのフォームとは、異なるキャラクター性を表現してる。別のキャラクターだ。

 もちろん、作中のキャラクター表現は、スーツアクターによるアクション、ライティングやカメラ、シナリオをふまえたセリフなどが複合相乗して表現されるものだけれど。それらの一環として、デザインや、造形の表現もある。

 上記の観点から、ファングジョーカーと、サイクロンジョーカーのデザインや造形を、比較対照。この記事では、簡単な箇条書き形式で、対象点を挙げ、下位コメントで、一応、体裁を整えた簡単な論考文を付す。

参照資料:
S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーW サイクロンジョーカー
仮面ライダーW(ダブル) ライダーヒーローシリーズW04 仮面ライダーダブル ファングジョーカー
 どちらもバンダイ製のフィギュアS.H.フィギュアーツのライダーヒーローシリーズ。ドラマで映されるスーツ自体ではないが、フィギュア自体がハイグレードであること、と、同じシリーズのフィギュアの画像なので、比較対照の参照の用はなす、と考える。

概略:
●サイクロンジョーカー
 仮面ライダーWが作中チェンジする9つのフォームの内、最も多用されるもの。左翔太郎の身体に、フィリップの意識がシンクロする形で変身。
●ファングジョーカー
 旧来の9つのフォームと異なり、フィリップの身体に、翔太郎の意識がシンクロする形で変身。

全体フォーム:
●サイクロンジョーカー
 カラリングの件を除けば、全体としてはシンプルかつ、スマート。その割りに、ディテールは表情豊か。
●ファングジョーカー
 カラリングの件を除けば、全体としてはシンプル。ただし、サイクロンジョーカーなど旧来のフォームには見られない、“トガった”感じの突起やギザギザのイメージが、各所で反復されるデザイン・アレンジが加えられている。

カラリング:
●サイクロンジョーカー
 右半身(向かって左側)がグリーン(サイクロン)を、左半身が黒(ジョーカー)を基調色にしている。
●ファングジョーカー
 右半身(向かって左側)が白(ファング)を、左半身が黒(ジョーカー)を基調色にしている。

頭部・顔面:
●サイクロンジョーカー
 目玉にあたるパーツはアウトライン楕円形の薄い半立体。プレート・アンテナにも思える「W」の文字をデザイン化したエンブレム(?)が額に。他にも「W」の文字をデザイン化した、浅い段差が、溝のような印象で反復されている。
●ファングジョーカー
 目玉にあたるパーツは楕円状半立体をベースにしながら、見た目上、ギザギザの切れ込みが入ったようなアウトラインに見える。W形のプレート・アンテナにも、下部に鋭く長いギザが入っている。顔面も、目玉パーツ下縁外側から顎の横にかけて、旧来のフォームにはみられない、比較的深い段差が入っている。

肩当パーツ:
●サイクロンジョーカー
 平たく潰した半球に近い滑らかな形状。体側ラインに内側に入る切れ込みがあり、この切れ込みを含めた外縁ラインに、色を変えたカラーラインが走る。このカラーラインは、側面からみると、デザイン化された「W」の文字を演出している。
●ファングジョーカー
 サイクロンジョーカー(など)とほぼ同形の肩当パーツをベースにしながら、外縁のカラーライン部が厚みを持つ半立体に。特に、側部の切れ込み部分には斜め上に突出するアレンジが加えられていて、サイクロンジョーカーよりも“トガった”印象を演出。

ドライバー(ベルトのバックルにあたる)パーツ:
●サイクロンジョーカー
 全体として「W」の文字をデザイン化した形状のギミックを装着。ディテールはボディより細かく、視覚的印象としても重量感がある。
(このパーツが、「W」の形状をとるのは、一連の変身アクションの結果)
●ファングジョーカー
 旧来のフォームより、さらに広い前面を有す。視覚的印象としてもさらに重量感が増している。
 アウトラインは、不定形に近いが、カラリングをうまく使い、旧来の「W」デザインに、デザイン化された口を開いた恐竜の頭部が組み合わさったような図像に見える。右側(向かって左側)斜め上方向に左右非対称で1本だけ突出した、レバー・パーツも特徴的。このレバーも恐竜の角、のような意匠にデザインされている。

その他(腕パーツ、脚パーツ):
●サイクロンジョーカー
 「W」の文字をデザイン化したラインが、溝のように反復。視覚的なリズム感が、シンプルなシルエット・ラインにアクセントを加えている。
●ファングジョーカー
 サイクロンジョーカーと異なり、溝ラインで区切られた各細部パーツが、上端でわずかに外側に膨らむ立体形状に整形されている。この整形は、シルエット・ラインに、見た目上、ギザギザが反復しながら続く視覚効果を生んでいる。

覚書:デザインと造形の表現をふまえた、ファングジョーカーのキャラクター表現(第16話のネタバレ有り)

 「覚書資料」として上にまとめたけれど、『仮面ライダーW』に、第16話から新登場した、ファングジョーカーは、旧来の左翔太郎ベースのライダーW、9つのフォームとは、似て非なる印象を、デザインや造形のとこから、表現してる。

 さらに、スーツアクターさんのアクションや演技、俳優さんのアフレコ、ライティングや、カメラなどなどが複合相乗して、作中で表現されるキャラクター性も、はっきり旧来の9フォームと異なってるのが、ファングジョーカー。

 もちろん、仮面ライダーWは、当事者間でも「2人で1人」と意識されてるし、ライダーWの正体を知らない作中の人々の間では、新しいWのフォーム的に理解されてても自然。
 その意味で、ファングジョーカーを「仮面ライダーW『10番めのフォーム』」と呼ぶことに、もんだいはない。
 ただ、翔太郎の身体にフィリップの意識がシンクロしたフォームと、フィリップの身体に翔太郎の意識がシンクロしたフォームとが、まったく同じキャラクター性だったら、それはおかしいはず。
 「ファングジョーカーは、翔太郎ベースの旧来のWとは異なるキャラとして、作中に導入された」、ここのとこは押さえときたい。

 これから先のドラマ展開で、翔太郎ベースのWとフィリップベースのWとが、キャラクター性の異なりを、ますます際立たせていくかどうかについては、予断はできない。
 あるいは2人の相互了解解が深まって、第3者の目には同じキャラクターの異なる相のように観えていくのかもしれない。はたまた、エスエフ的に2人の人格融合のようなとこまで行っちゃうのか。それとも、翔太郎ベースのWとフィリップベースのWとが、まったく別個のキャラとしてそれぞれに成立するようなことだって、可能性としてはあり得る。
 ファングジョーカー初登場時点では、将来展開には様々な可能性はあり得るけれど、ともかく、際立って異なったキャラクター性を表現しながら、ファングジョーカーが作中に導入された、ってこと。ここは押さえとくべきポイントなのだわ。

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 さて、キャラクターのデザインと造形で表現されてる、ファングジョーカーの印象を総合して、アタシなりに言ってみると。
 サイクロンジョーカーなど、旧来のWよりもトンガった印象だし、特にマスクの印象は精悍とすら言いたくなる。
 カメラ・アングルによっては、狼のような犬的猛獣のイメージがダブる瞬間もあって、カッコイイのだ。
(あくまで比較のもんだいだけど、ファングジョーカーと比べると、サイクロンジョーカーなどのマスクは、丸顔にみえちゃう(笑))

 そして、こうした印象は、さらにアクションやドラマの表現と相乗して、キャラクターのしっかりした個性表現を生んでいる。
 以下に順を追って観ていくけど、アクションやドラマと相乗すると、ファングジョーカーのデザイン-造形は、キャラクターの激しさや、荒ぶりを体現する表現を土台で支えてる形。

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【以下16話のネタバレ多し】
 例えば、第16話「Fの残光/相棒をとりもどせ」のなかで、翔太郎はかつて、フィリップが1度だけファングに変身したときのことを回想してる。その時、フィリップは「ファングは2度と使わないよ。あれ以上闘ったら……、僕が……、僕でなくなる」と、翔太郎に語った。
 回想を亜樹子に語りながら、翔太郎は「ファングは、フィリップのなかの何かを喪わせる……」と評す。「暴走、するんだ……」と、亜樹子。「……そうなったら、もうWじゃねぇ」と、翔太郎。
 つまり、フィリップとしての人格喪失のリスクを背負って、際どいところで活動するキャラが、ファングジョーカー。
 そして、フィリップの人格喪失は、「Wじゃなくなる」結果に到る、と翔太郎はみてる。

 あるいは、第16話で、人格喪失のリスクを覚悟して、ファングジョーカーへの変身を選択するフィリップは、「後悔するなよ」と敵に告げる。「僕はもう、知らないぞ」と。

 さらに、ミュージアムのタブー・ドーパントこと、園崎冴子は、はじめてファングメモリとファングジョーカーをみて、こんなことを言う。
「そうか。……あのファングのメモリは来人〔らいと〕を護るためにあるんだわ。来人を護るためには手段を選ばず、あらゆる敵を排除する戦士にWを変える存在」。

 特に、冴子のセリフは、フリップが絶叫を上げながら変身し、荒ぶりをみせるファングジョーカーのアクションを見た直後のものだ。

 ファングジョーカーは、右半身(向かって左側の白サイド)の腕、脚、肩など、特定部位に鋭い鎌のような形状のパーツを形成させ、それを、自在に武器に使って闘う。
 これまでの9フォームにも、得物を使って闘うフォームはあるけれど、それらは、変身した時には、得物も付属パーツのように出現。ファングジョーカーとは出現タイミングが違う。

 ファングジョーカーが呼び出す刃物武器は、印象のタイプとして、仮面ライダーギルス(『仮面ライダーアギト』に登場)が呼び出す“蹴爪”に似てるし。さらに遡れば、仮面ライダーアマゾンの腕ヒレや背ビレに類縁のイメージだ。
 つまり、メタルのロッドや、トリガーのマグナムが、どうみても「道具」にみえるのに対して、ファングジョーカーの刃物は、「もしかしたら生体の一部かもしれない(?)」的連想を自然に招く。
 刃物は、白くカラリングされた右半身の部位にしか形成されない(刃物の色も白)ので、「骨製かもしれない(?)」的な連想も誘発されやすい。

 こうした、見た目上のイメージと呼応して、ファングジョーカーのアクション・スタイルや殺陣は、敏捷かつ直裁。その上、四つんばいに近い低い体勢からダッシュしたり、絶叫しながら戦うなど、野生的、原始的な印象も色濃い。
 このアクションも、かつて(物語り内過去)ファングに変身した直後のフィリップが翔太郎に言った「僕が……、僕でなくなる」ってセリフと、良く呼応してる。

 もちろん、第15話-第16話「Fの残光」では、フィリップの意識と深くシンクロした翔太郎が協力することで、フィリップの人格喪失は回避されたし、ファングジョーカーも制御された。とりあえずは。

 でも、ファングジョーカーに変身することのリスク、フィリップの人格喪失や、WがWでなくなるリスクは、根本的に解決されたわけでは、決してない。
 ちょうど、第3話-第4話「Mに手を出すな」で、フィリップに記憶が欠落している「家族」が、Wの弱点となるキーワードだったのと似た展開なのだわ。

 第4話で、フィリップは、家族なら代わりがありからいい、と考えるようになって、「家族」はキーワードとしては無効化されたけれど、フィリップの記憶欠落自体は、その後も16話に到るまで、何も解決してない。そうした展開に、ファングジョーカーのリスクもんだいは似てる。
 平たく言えば、16話時点では、とりあえずの対処はできたけれど、根本的な解決は、先送りされてる状態。

 ファングジョーカーや、フィリップを巡る、先々のドラマ展開が、期待される、のだ。

コメント・ノート

 上位のコメント、「覚書:ファングジョーカーのデザインと造形」と、「覚書:デザインと造形の表現をふまえた、ファングジョーカーのキャラクター表現」とは、20010年2月16日にいったんエントリーした旧稿を、翌17日に全面改稿したもの。

 改稿に際しては、irc.cre.jp#もの書き系チャンネルで、いただいたアドバイスを、全面的に参考にさせていただきました。


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