OtND 0x0c 設定のキメラ

 TRPGがルール本位のゲームになったことで、キャラクターの特徴はきわめて多彩に、ルールで表現されるようになった。
 昨今のメディアミックス戦術等の影響もあり、巷間にはGMやプレーヤーがTRPG上で表現してみたいと思うようなキャラクターの造形(Characteristics)があふれている。
 21世紀のTRPGでは、そうした需要に合わせるために、PCやNPCが利用できるデータをふんだんに用意している。かつては単なる記号に過ぎなかった造形に、ルール上の意味が加えられたのだ。しかし、問題も多い。

(余談)キャラクターの造形には、いわゆる「特殊能力」として取得できるものの他に、能力値や、技能、装備も含む。

 キャラクターの造形というものは、多ければ多いほどよいという訳ではない。それらの造形には典型的なイメージがつきまとうが、増えれば増えた分、プレーヤーが「うまくロールプレイする」のは困難になる。現実的な対応として、プレーヤーは扱いきれない造形を無視する。
 結果として、明らかに破綻した、誰にも正確には描写できないような名状しがたいキャラクターが生まれてしまう。

 そもそも、造形というものは、そのキャラクターを世界で唯一のものとするために設定されるものである。しかし、TRPGではそうした造形をリソースとして扱うために、多数の造形を持つキャラクターを容易に作成できてしまう。これには、TRPGの商品寿命と販売戦略の問題もある。

 製品ラインを維持するにはサプリメントによるデータの追加が避けられないが、そうして追加されたデータは「既にキャンペーンを開始しているユーザー」にとっても有益なものでなければならない。よってデータのかなりの部分が「既存キャラクターが『追加で』取得可能なキャラクター造形」に費やされる。

 ひとりのキャラクターを育てれば育てるほど、キャラクターを彩る造形は増えていく。それは小説やドラマでも同じことだし、実際のところ「キャラクターにできることが増えるのは楽しい」のだ。キャンペーンを進めてもHPや攻撃力が増えるだけで、できることが増えないのは悲しい。

 しかし、同じ卓を囲む他の参加者にとって、隣にいるキャラクターの設定がどんどん増えていくのは頼もしい反面、面倒くさいものである。複雑な造形を把握した上で、即興で“良い前振り”を出すのは至難の業だ。

 ユーザーのニーズを満たすためには、よりたくさんの造形を網羅できる必要があるが、その一方でロールプレイを困難にする(または、ロールプレイを希薄化させる)。そのバランスの加減が難しい。

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