「俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長」回収騒ぎに思うこと
最初に一つ断っておきますが、パクリかどうかはおいときます。まとめサイトは斜め読みしましたが、そもそも問題になった作品を読んでませんので作品については擁護も非難もする気はないです。
この手の疑惑で問題になるのは大きく分けて2点。
一つは、クリエイターの意識で、もう一つは消費者の感情。ただ、クリエイターの意識については推し量りようもないので置いときます。
というわけで、争点は消費者の感情になりますが……まず、前提として押さえておかなければいけないのは「消費者にはパクリかどうかを判断するすべはない」ということ。きちんと判別するためには最低限文芸作品の製作工程についての知識が必要だが、そんなのは関係者しか普通知らないし、知っていたとしてもやり方は一つではないので一概に判断することも難しい。検証サイトの情報を見ればある程度わかると思っている人は、考えを改めた方が良い。
論理的な判断基準が消費者にない以上、パクリと思うかどうかは純粋に消費者個々人の感情によって決まる。こういう言い方はどうかと思うが、今回のケースでも検証サイトの情報を見て印象操作された結果そう思ってる人が大多数だろう。
ただ、消費者感情に左右されること自体はエンターテイメント産業では当たり前のことだから、今回の回収騒ぎもやむをえないという面はある。騒ぎが一定以上まで広がってしまうと、完全に中身を見ずにうわさだけで批判し始める人が出てくる。そうなると悪意の連鎖を断ち切るのは大変難しい。
ただ、ここで問題にしなければならないことが少なくとも一つある。それはパクリと思っていない、もしくは気にしていない消費者への影響だ。
回収・絶版にいたってしまっては続編はもちろん、当該作品を読むことすらできなくなる。パクリ疑惑にむかついていた人は「ざまあみろ」とか思ってるかもしれないが、そうでない人にとって見れば大変迷惑な話だ。
メディアミックス化されるような人気作品しか読んでいない人には理解しがたい話かもしれないが、自分が面白いと思った作品の続きが確実に出るというのはけっこう幸せなことなのである。マンガのように連載であれば打ち切りでも無理やり決着をつけるが、基本的に書き下ろしである小説はそれすらない。明らかに続きがあるのに音沙汰がないまま何年もたって存在を忘れかけた頃、本棚を整理しているときに続きが出ていないことに気づいて打ち切りだったことを知る。何度も経験しているがこれは大変に口惜しいことだ。
今回の件はそのような不幸な消費者を確実に生んでしまっているということだけは認識しておいた方が良いだろう。
繰り返すが、パクリ疑惑自体は根本的には消費者の主観の問題で、回収絶版されて何が良くなるかというと騒いでいる連中の気分だけだ。その副作用で作品を純粋に楽しんでいる他の消費者に迷惑をかけているということは認識していて欲しいと思う。
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