奥瀬サキ(原作)、目黒三吉(漫画)『低俗霊DAYDREAM』1~4
『低俗霊DAYDREAM』は、雑誌「月刊 少年エース」(角川書店)での連載が、2007年4月現在、進行中のマンガ作品。単行本は9巻まで刊行されてて。長いプロットのドラマが、いよいよテンションを上げてくところ。
愛読者には、10巻の刊行が待たれてる。
現代の日本が舞台で、主人公は霊能者。大雑把なレッテルで言えば、「現代伝奇アクション」とか、「現代オカルト・アクション」とかだろうけど。
アタシとしては、「サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーのハイ・ブリッド」で、しかも今の日本を舞台にしてアクチュアル、と、紹介したい☆
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『低俗霊DAYDREAM』は、凄いマンガ。
けれど、読者の好き嫌いは、かなりはっきり別れる作品でもあると思う。
かなり、毒が盛り込まれてるから。
毒のピリピリする味を、美味しくいただける人にはお勧め☆
サイコ・サスペンスや、怪談物語は、毒を孕んでナンボ、と思える人は、是非、読んでみて☆
まず、痛々しい人物や、俗に言う“痛い”人物が、大勢出てくる。
物語内の出来事にも、痛々しいものが多い。
サイコ・サスペンスが入ってる、とするなら、当然とも言える、痛々しさや“痛さ”だ。
けれど、イヂメ、自殺志望、ストーキング、依存症、近親通姦、といった言動や、言動に関わる人物の物語を、わざわざフィクションで読みたくない、って人もいるでしょう。それは、わかります。
そのタイプの人には、お勧めできないです。
痛々しさ、“痛さ”の描写は、かなり鋭い。多くが、切実さまで描かれてる。そこがいい。
次に、霊能者である主人公は、しばしば、“DAYDREAM”、つまり、白昼夢のような幻視に見舞われる。
幻視の描写は効果的だけど、時として、物語内で何が起きてるのか、判断に迷うような箇所もある。
断言するけど、判断に迷うような描写は、物語内の出来事に立ち会っているキャラクターの、混乱や錯乱の表現にもなってる。
怪談風のホラーが入ってる、とするなら、作中人物の混乱や錯乱も、当然と言える。
けれど、マンガとは、わかり易い架空の出来事の連鎖を楽しむもの、と信じ込んでいる人もいるでしょう。それは、知っている。
そのタイプの人には、お勧めしない。
痛々しく、荒々しくさえある事件に関わる霊能者が、錯乱する様子は、単なるストーリーの組み立てパーツには留まってない。他者理解の困難さを、描き出す描写にもなってる。そこがいい。
それから、霊能者の主人公は物語内で「口寄せ屋」と呼ばれて、「霊媒風の能力を活かした、職業的な霊能者」を生業にしてる設定なんだけど。不定期収入では食べていけないらしくて、SM風俗のバイトで女王様をしている。
SM自体の描写も、多くは、プレイの範疇だけど、ちょくちょく出てくる。
この趣向に不快感を覚えるだろう人も、読まない方がいいでしょう。
SMプレイの描写は、生々しくはない。けど、結構、マニアックで細かい。そこがいい、……かどうかは、これは読者の趣味による(笑)。
ただ、作中、専業神主のキャラクターから、主人公が、外法使いと蔑まれるような箇所がある。本当はちょっと違うけど。キャラクターの位置づけとしては、そんなとこ。
口寄せ屋だけでも、社会的には、いかがわしく見られるでしょうに。SM風俗の仕事もしてるとなると、いかがわしさの2乗(笑)。
この設定もうまい。設定がうまいと言う以上に、設定を活かしきってる力量を、称えるべきところよね。
「わたしは20年間神職に/仕えてきて長い間/あなたのような人たちを/外法の者として/蔑んできました
しかし今は/あなたたちの存在する/理由がわかります」(6巻より)
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と、ゆーわけで、『低俗霊DAYDREAM』は、かなり毒を盛り込まれた、「サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーのハイ・ブリッド」。
サイコ・サスペンスや、怪談物語は、毒を孕んでナンボ、と思える人には、是非読んでほしい。
まだ完結してはいないけど、傑作になる予感を、むんむん発散させてる。
特に、4巻から、怒涛の加速で展開中の、長いプロットのドラマは、息を詰めるようなテンションが高まっていく。
描かれる痛々しさや、痛さもますます鋭くなる。
だからこそ、出来事に立ち向かう主人公は、イカス。
DAYDREM幻視の錯乱も、ますます、錯綜したものが読める。
主人公の惑いは、浅くない。
だからこそ、決断する主人公が、かっこいい。
SM的な描写は、風俗プレイの域をはみ出していく。
何かに依存する心の危うさが、物語内の事件の動機に絡んで描かれていく。
主人公が、自分に向けられた依存する心を、最終的にどう扱うか、ここは、完結までの読みどころの1つと思う。
と、ゆーわけで、『低俗霊DAYDREAM』は、傑作の予感がひしひしとする、現在進行中のマンガなのだ。
かなり、毒が盛り込まれてる。
毒のピリピリする感じを、楽しめる人にはお勧め☆
読むか読まないか、判断に迷った人には、とりあえず、1巻から4巻までを読んでみることを、お勧めしようと思います。
1巻から3巻までの方が、いいかもしれない。
最初の方ほど、痛々しさの描写は控えめで、幻視のシーンも掴み易い。
SMの描写も、はじめはある種オブラート的なクスグリであるかのように、扱われてる。
毒は、物語の緊迫度がエスカレートするのに応じて、濃度がどんどんどんどん濃くなる。
ヒリヒリした感じが、たまらない。
多分、4巻まで読んでしまうと、続きを読まないと気になって、しょうがなくなってることでしょう。
毒を食らわば皿まで、とか言うわよね(笑)。
おそらく、この作品に盛り込まれた毒を呑み込むか、吐き出すか、読者が決めるとしたら、3巻までの間が頃合かと、思います。
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奥瀬サキさんは、1980年代頃、『低俗霊狩り』というマンガを描いていました。単行本化もされているので、ご存知の方もいるでしょう。
『低俗霊DAYDREAM』は、『低俗霊狩り』の続編ではありません。
キャラクターの設定も、物語内の人間関係も異なります。連続したプロットも見られません。
強いて言えば、『低俗霊狩り』が、グレード・アップされた別ヴァージョン、か、リニューアル版、と、言ったところが『低俗霊DAYDREAM』と見るべきでしょう。
例えば、手元の単行本では、巻末に掲載されてる宣伝コピーに「あの名作の21世紀リニューアルバージョン!」とある。
一般論としてキャッチ・コピーには、売らんかなのハッタリめいたものが少なくない。だから鵜呑みにすべきではない。例えば「あの名作の21世紀リニューアルバージョン!」では、「あの名作」かどうかは、読者がそれぞれに評価すべきところだ。ただ、「21世紀リニューアルバージョン」の方は、しかるべき検討をして妥当な表現と思える。
『低俗霊DAYDREAM』は、『低俗霊狩り』の続編ではなく、「リニューアルバージョン」なのだ。
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目黒三吉さん、というマンガ家さんの作品について、アタシ(紹介者)はよく知らないでいます。
作品を知らないということは、作家さんについて、知らないってことなのですけれど。
『低俗霊DAYDREAM』に限定して言えば、作品の展開に応じて、独特の風味がある世界を、緊密に作っておられます。
他の作品と比較したとき、これが“DAYDREAM”の固有性と言えるものなのか、それとも目黒三吉の作家性なのかは、アタシには判断できません。
目黒さんが、“DAYDREAM”で作られてきている世界は、際どく繊細な作業の成果だと思えます。
痛々しく、荒々しい物語を殺さずに、切実さを描写して、かつ、生々しさは抑制されてる。(生々しさが押し出されるシーンは、凄いけどね)
“DAYDREAM(白昼夢)”と、物語内のリアルとの境界を曖昧にしつつ、かつ、リアルはリアルとして描いている。
というか、悪夢のようなDREAMのリアリティーや、まどろむようなDAYDREAMの、はかないリアリティーも、きっちり描き出され、描き分けられている。
目黒さんには失礼な言い方になるかもしれないけれど。単行本を通巻で読んでいて、アタシは、途中から、何か既視感も覚えていました。この「既視感」は、決してありきたり、と言った意味ではありません。
最新9巻の冒頭で、あ、そうか、と腑に落ちた。
石井隆さんのマンガ作品に、似た風味のある描写だったのですね。
アタシの趣味だと、ことに『黒の天使』に似た風味が感じられます。アタシは好きだわー。
断っておきますけど、「風味」が「似ている」と言っているだけです。
『低俗霊DAYDREAM』では、マンガ家、目黒三吉のオリジナル・ホールドがコンボ連続で繰り出されています。
好き嫌いを置いてみても、漂白されたようなトーンで描かれる、軽く、よそよそしい世界像と、ドライで、ザラザラしたようなムードは、とてもコンテンツにマッチしてるし。コンテンツの表出力をブーストしてる。
凄い☆
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書誌情報:
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』1~4(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2001-2002.
1巻=ISBN 4-04-713398-1
2巻=ISBN 4-04-713445-7
3巻=ISBN 4-04-713493-7
4巻=ISBN 4-04-713512-7
備考:『低俗霊DAYDREAM』と『低俗霊狩り』とのキャラ設定の相違
『低俗霊DAYDREAM』の主人公は、崔樹 深小姫。俗に「口寄せ屋」と呼ばれる。霊媒体質で、憑依、離魂双方のシャーマン的能力を示す(ただし1体?の式神を使う)。“祓い”業に関する師は、現在のところ作中に登場も言及もない。同業者との交友は希薄(サイド・ジョブ関係の交友の方が多いようだ)。サイド・ジョブはSM風俗(女王様)。トラウマは無毛症。
『低俗霊狩り』の主人公は、流香 魔魅。「低級霊ハンター」を称すが、しばしば「低俗霊ハンター」と呼ばれる。真言呪文らしきものを使った、呪術を心得ているようだ(自己流アレンジとも)。“祓い”業に関する師も作中に登場。師を介した、同業者との交流もある。サイド・ジョブは、エロ雑誌でのライター(エロ・ビデオのレヴュー記事など)。トラウマは、貧乳。
しばしば、主人公をサポートするキャラクターも、似た面は散見されるが、設定を比較対照すると別キャラクター。
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「口寄せ屋」崔樹深小姫が、現代の日本を舞台に“心霊”の関わる事件の「対策」をしていく『低俗霊DAYDREAM』。
原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんで、「サイコ・サスペンスと、
『低俗霊DAYDREAM』は、「口寄せ屋」崔樹深小姫が、現代の日本を舞台に“心霊”の関わる事件の「対策」をしていく物語。
原作、奥瀬サキさん、漫画は、目黒三吉さんの、マンガ作品で。
『低俗霊DAYDREAM』は、サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーとをハイ・ブリッドしたような物語。
2007年5月現在「月刊 少年エース」に連載中のマンガ作品で、単行本が9
『低俗霊DAYDREAM』は、2007年5月現在、単行本が9巻まで刊行されているマンガ作品(「月刊 少年エース」に連載)。原作、奥瀬サキさん、漫画は、目黒三吉さん。
サイコ・サスペンスと




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