『超鋼女セーラ』寺田とものり
タイトルだけでしばらく笑い転げる。
ロボ娘でお姉さんキャラのセーラと、少年、茸味くんのラブラブ話。
茸味くんがセーラの純な恋心に正面から答えるタイプなので、迂遠であったりもったいぶったりする展開はまるでなし。
セーラに告白されると、茸味は自分からもセーラが好きでつきあって欲しいと答える(p67)など、好感がもてる。
ストレートな展開にストレスなく読めること請け合いだ。
一点だけ気になったのは、スティールアーツというロボット格闘競技に関する展開である。セーラの父親がスティールアーツにセーラとともに出場して欲しいと頼むと、茸味は
「セーラ先輩に怪我させたくありませんし、セーラ先輩が他人を殴るところも見たくありません」(p241)
と正直に男らしく答えている。
これは茸味くんの立場としては当然で、私も首肯できる回答だった。
もちろん、この小説の流れとしてはセーラはスティールアーツに出なければいけない理由があるのだろうし、そこらへんの問題をどうクリアするかが終盤の山場であろうとも思ったのだが――
この後、ふたりは距離を置くもののなしくずしにスティールアーツの校内予選がはじまってしまう。そして茸味くんは気がつくとセーラと一緒にバトルしている。
私としてはかなり意外で、拍子抜けしてしまった。
セーラから茸味くんへ、スティールアーツに出なければならない理由、あるいは出たい理由が語られることもなければ。
茸味くんがセーラへ、「怪我をしてもいいし、他人を殴ってもいいから、一緒に戦おう」という決意が語られるわけでもない。
つまり、「怪我をさせたくないし、他人を殴ってもほしくない」というたいへん力強い言葉をひるがえす、これに匹敵する重い言葉も場面もないままで戦っているのだ。
このへん、バトル前後で焦点がサブヒロインの恋心に移行している点もあってか、えらく散漫な感じは否めない。
その部分に関しても、ロボットバトルと恋心を連動させるのはオッケーだが、ロボットバトルがそれほどにこの作品世界で重いものなのか? という疑問は残る。もちろん、重いのだろうが、それにしてはロボットバトルの扱いが東北ローカルで主人公も高校に入るまであまり知らないなど普通の趣味の範疇でしかない。『ゲームセンターあらし』のように、ゲームのバトルが世界の平和と連動しているとか、そういう風な演出があれば違ってきたのだが。
こうした瑕瑾はあるものの、ことラブ話の部分での茸味くんは逡巡のない立派な少年で、読者はいらいらせずにふたりのバカップルぶりを楽しめる。
続編もあるようなので、期待したい。

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