一条ゆかり、著、『プライド』2,頑張りと、歯軋りと、そして……
『プライド』は、ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの、最新作。
一条さんほどのベテランになると、新作を読む前に、読者が予想するメージは結構いろいろ。
『砂の城』の一条ゆかり、と、最初にイメージする人もいれば、『こいきな奴ら』の一条、と、イメージする人もいる。あるいは、『デザイナー』の一条ゆかり、『有閑倶楽部』の一条、とか。
予想イメージは、まだまだあって。期待される風味も、結構、違うみたい。
ただ、風味は違っても、「ラブ&バトル」を描き続けてきて、今も、描き続けてる、ってとこは共通項ではないかしら。
『プライド』は、そんな一条ゆかりさんの、ラブ&バトル最新作で、雑誌連載継続中作品(2007年5月現在,「コーラス」連載)なのだ。
『プライド』2巻では、「プライドなんて役に立たないものは捨てた」野望の女、緑川萌と、お嬢様のプライドから脱しようと努力する女、麻見史緒との、声楽を巡るライバル・バトルに、いよいよ美青年キャラ2人が、深く絡んでくる☆

2007年5月現在、雑誌「コーラス」に連載中の『プライド』。2巻には、2003年9月号~12月号、2004年1月号、3月号の掲載分が採録されている、とのこと。
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さて、『ブライド』2のレヴュー記事を、書いてみようと思いますが。
レヴュー記事は、紹介文と心得ていますです。
それも、紹介作を未読の方に、面白さをお伝えしよう、って狙いの紹介文ですよね。
不必要なネタバレは、当然、避けますけど。
必要に応じて、1巻の内容には、触れますので。
ご了解あれ。
ちなみに、別の紹介文でも書きましたけど。これから『プライド』を読むなら、1~3巻一気読みがお勧めです☆
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父が経営する貿易会社が倒産し、生まれてはじめて1人暮らしをはじめた、元お嬢様の史緒。彼女は、生活のため、死んだママのようなオペラ歌手になる、という夢を実現するため、銀座のクラブでクラブ歌手を始めた。
史緒をクラブ「プリマドンナ」に紹介したのは、クイーン・レコードの若き副社長で、社長令息の神野隆だった。神野は、インテリ眼鏡の眼光も鋭い、クールな美青年だ。
クイーン・レコードも関わっていたアマチュア・オペラ歌手のコンサート、“パルコ・デ・オペラ”で、史緒を蹴落とし、イタリア留学の権利を手にした萌は、「どんなに自分が/負け組だったか」史緒に教えられた、と言い、神野に「私をプロデュース/してください」と、頼み込んでいた。
さらに、「大人の/女性としての/振る舞いを身に/つけたいんです」と、萌は、“パルコ・デ・オペラ”の後、神野に連れて行ってもらった「プリマドンナ」に押しかけた。
ここでも、持ち前のしたたかさを発揮。ホステス業のヘルパーとして採用されてしまう。
目的のためなら手段を選ばないほど追いつめられている女と/
プライドがじゃまをして不器用にしか生きられない女/
〔中略〕
生まれも育ちも対照的な2人が/銀座の花になって/これからどんなふうに生きていくのだろう/
こんなふうに、心中モノローグを語ったのは、「プリマドンナ」の女経営者、奈都子ママ。
彼女は、昔、少し歌をやっていたことがある、元名家のお嬢様。甲斐性なしで、甘ったれで、女にゆるい男前の作曲家との間に、一児をもうけたものの、相手を棄てたそうだ。
この母子家庭の息子が、史緒の通っていた一流音大のピアノ科のプリンス、池之端蘭丸。女装の似合う美青年だ(女装は「プリマドンナ」でピアノを弾くときの営業だけど)。
蘭丸は、1巻で、史緒に頼まれ、史緒の父を安心させるための、ナンチャッテ・フィアンセを演じた。
史緒と萌のライバル関係に、神野と蘭丸、2人の美青年が絡んでく。ややこしい絡み合いを、傍から傍観しつつ、適度に捌き、たまに焚きつけるようなことも言わないでもない役どころが、「プリマドンナ」の奈都子ママ。
2巻では、こんな人間関係が、ドロドロ、バチバチ、うごめいていく。
もうね、人間関係のこじれに応じて、サブ・プロットは複雑怪奇に絡み合っていくのだ。
ここが、一番の読みどころ、とは挙げづらい。強いて言えば、複雑に絡む人間関係の全部が読みどころ(笑)。
一つには、お嬢様芸や、お嬢様のプライドからは脱しようとして、それでもプライドを保っていこうとする史緒の、歯軋りを続けるようないき方が健気。
もう一つには、手段を選ばない成り上がりに、一層邁進する、萌のしたたかさが、逞しい。
萌のしたたかと、史緒の健気は、これでもか、と言うほどに、見事に絡み合っていく。
萌は、「プリマドンナ」にホステスとして雇われることになった時、奈都子ママから、揉め事はおこさないよう釘をさされて。「あんなことは二度としません」って約束した。
「あんなこと」って言うのは、“パルコ・デ・オペラ”事実上の決戦で、史緒を動揺させて出し抜いたやり口のことなんだけど。「プリマドンナ」の店内でも、ちゃんと、史緒がへこむような、細かな嫌がらせは重ねてく(笑)。
これだけなら、女のドロドロ物語のお約束だけど。
萌の見所はもう一つあって。彼女は、異様に裏表のある女なんだけど。実は、下積みの人間には、とてもウケがいい。それも、裏表の、表を取り繕った結果とは思えない。
一言で言えば、苦労人。
クラブのホステス業では、お客へのウケもいい。こっちは、計算づくよ(笑)。ただし、1人の例外を除いては。
「君が人気が/あるのも/解るな/
ここに来る/客はその手の/セリフに弱い」
「昼真から ずっと/あやまって/ばかりだ」
「お客様の/立場になって/話してる/だけです」
つまり……、自分が想定する上昇コースにクロスしてこない相手には、優しく接することができるのが、萌なのね。これは、元お嬢様で不器用な史緒が、一番、不得意とするところでもある。
萌のしたたかな頑張りや嫌がらせと、史緒の健気な歯軋りとは、トゥ・シューズに画鋲を入れるようなお約束から、はみ出すように、説得力も情念も感じさせる。
萌も、しつこいっちゃ、しつこいし、あんまりっちゃ、あんまりな言動を重ねるけど、史緒の方も、鈍感っちゃ鈍感だし、ダメッちゃダメだ。
実は、アタシ、萌が史緒を、羨み、妬み、憎む気持ちも、わからないではない。
ふつーは、そこまでしないわよ、ってことをやっちゃうのが、萌なんだけど(笑)。気持ちは、わからないでもないのだ。
2人が、なんでこーゆー性格か、納得できる読者は、あー、しょーがないわねーと、やきもきしちゃう。
いや、別に悶々としても、笑っても、どっちか好きな方を応援しても、その辺は読者それぞれの、好き好きですけど。
要するに、どーなるのかしらね、とか、ああ、史緒ちゃんそれはマズイわよ、とか、萌ちゃんいくらなんでもヤバイでしょ、とか、楽しめる☆
と、ゆーわけで、史緒と萌の、歌唱を巡るライバル関係は、緒戦の萌勝利(1巻)に続いて、2巻でも、お客様の気持ちを掴む事に、一日以上の長のある萌がリードした、かに思える。少なくとも、萌は、そう思ったでしょう。
何しろ、2巻の史緒は追い詰められる。
1巻で、プライドなんて「そんな役に立たないものは捨てました」と言い放つ萌、「お嬢様の正義は通用しない」と萌の策略に引っかかった史緒が悪いかに示唆する神野に、「それでも--最後に残るのは実力だわ」と応じた史緒。
しかし、クラブ歌手としてお客様を楽しませる事の難しさを知った史緒は、自分の歌が「ただ上手いだけ」と言われる理由を理解する。
「聞く人の/胸にまで/届かない」
「一番大切な/感動が/無いんです」
これが、萌の表現力に、嫉妬と言う感情を覚えた史緒が、自分の言葉で納得した答えだった。
少なくとも、萌は、大きく史緒をリードした、と思っていたことでしょう。上昇志向だから。
史緒の方はそんなレースみたいなふうには、ちっとも思ってないんだけど(笑)。
し・か・し、いい年して恋愛経験値ゼロである史緒は、自分が始めて覚えた恋愛感情を取り違え、誤解に誤解を重ねるようにして、ある、重大な選択をしようとしていた。
それは……、さすがに書きません。ネタバレですから。
1巻、2巻と読んだなら、絶対、3巻は読むべき☆
読まないと、もったいないっ!
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書誌情報:
一条ゆかり,『プライド』2(クイーンズコミックス コーラス),集英社,Tokyo,2004.
ISBN 4-08-865198-7
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ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの最新作『プライド』。
オペラ歌手の一流を目指す、2人の美女のラブ&バトル。
3巻は、序盤の華☆
別の紹介文でも書いてるけど。これか
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