一条ゆかり、著、『プライド』3,結成、爆弾抱えた奇跡のトリオ☆
ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの最新作『プライド』。
オペラ歌手の一流を目指す、2人の美女のラブ&バトル。
3巻は、序盤の華☆
別の紹介文でも書いてるけど。これから『プライド』を読むなら、1~3巻一気読みがお勧めです☆
2巻巻末での緊迫感から、3巻冒頭の、世界が一変して観えるような解放感、開放感が、とても気持ちいい☆
2巻までの“溜め”が効いてるの。一条さん、凄いっ!!

2007年5月現在、雑誌「コーラス」に連載中の『プライド』。3巻には、2004年4月号~8月号、10月号の掲載分が採録されている、とのこと。
なお、この記事では、『プライド』3巻の内容について、不必要なネタバレは避けながら、読みどころをご紹介してみます。
ただ、1巻、2巻の内容は、必要に応じて、随時言及しますので、ご了解あれ。
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銀座のクラブ「プリマドンナ」で、クラブ歌手を始めた元お嬢様の史緒。同じクラブで、ホステス業のヘルパーを始めていた野望の女、萌は、贔屓の客を焚きつけ、客の意向として1曲披露するように仕向ける。ほんと、上手いのだ(笑)。
しかし、萌を贔屓にする某企業会長の気まぐれで、天敵同士の2人がデュエットで歌う事になる。
「プロの史緒さんが/素人の私と/歌うのは嫌だと/思います/
歌いにくい/ですものね/史緒さん」
「いいえ/
こちらに/どうぞ/萌さん」
萌の挑戦! 受けてたつ史緒!!
ピアノは、女装の蘭ちゃん(蘭丸)だ。汗を1個かいてるけど、平然とキーかなんか確かめちゃったりして。プロだわね。--と、ここまでが2巻のラストだった。
初めて一緒に歌ったのに--/
まるで何年も/前から一緒に/歌っているような/気がする
歌いだしてからの、このモノローグは、史緒と萌、どちらのものなのか。
どちらとも、決められないような構図で、配置されてる。
どちらのモノローグでも構わないし。歌いながら、どっちも同じような手応えを感じてた。
そういう事よね。
すごい!/
気持ちいい!
これは、気分屋さんの、萌のモノローグ。
そう/
こんな風に/歌いたかった
こっちは、ただ上手いだけ、的に言われ続けていた、史緒のモノローグ。
ずっと探していた/僕のディーヴァは/このふたり/だったんだ!!
……これは、ピアノを弾いてた、蘭丸クンのモノローグ。
正気か? 正気かどうかは、わかんないけど、本気なのか……しょーがないわね(笑)。
こうして、銀座のクラブ「プリマドンナ」で、伝説のデュオが生まれたのだった。
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「私はっきり/言うけど/史緒さんって/大嫌い
見てるのも不愉快だし/消えてほしい」
「同感だわ/
私も品性が卑しい人は/本当に嫌/
あなたほど/裏表のある/人を見た/ことがないわ」
どちらの言いたい事も、わからなくもない、正直な言い合い(笑)。多分、「プリマドンナ」での初デュエットが終わって店がひけた後、2人を蘭丸が誘った席でのやりとり。
誰が悪いと言えば、誘った奴が一番悪い。爆弾を握り締めた手を、火中に突っ込む無謀さ(笑)。
しかも、恐れ知らずにも蘭丸は、天敵同士の2人に、自分のピアノでデュエットを歌うトリオ結成を提案する。やっぱ、本気か……。
蘭丸は、いがみ合いも、奇跡のようなハーモニーに手応えを感じてる2人の歌手根性があれば、なんとかなると思ってたみたいだ。しかし……。
萌は、大乗り気。
「私は/やります/蘭ちゃんの歌/歌いたいんです/下手な人なら嫌だけど/史緒さんなら/私の歌の引き/立て役にぴったりだわ」
「私があなたの/引き立て役?」
「そうなると/思いますけど/だって蘭ちゃんの/曲って私のために/あるような/曲なんですよ」
この萌のセリフは、間違いではなかった。
(2巻を読んでる人には、わかるはずだし。もし、アレだったら、確かめてみて)
史緒は、蘭丸に恋をしていた。
けれど、父親譲りらしいゆるさで、蘭丸が軽い女と遊びまわってるのを間に受けて。蘭丸の気持ちを確かめることもせず、自分の恋心を諦めたつもりになっていた。
恋愛経験値ゼロの、元お嬢様の、お子様のような振る舞いだ。
しかも、本人諦めたつもりで、自分で気づかず、自分の恋愛感情のゼンマイ巻いてるような具合。そんなふうに恋愛感情コントロールできたら、誰も苦労しないわよ、史緒ちゃん。
恋愛経験値の高い萌は、史緒の蘭丸に対する恋心に、一早く気づいていた。次に、気づいていたキャラと言えば、「プリマドンナ」の奈都子ママ。まー、なんとなく、あやしい、くらいの雰囲気は、プンプンさせてくようになるんですけど。周りにそんなふうに見られてるとは、露知らないのが、当人2人というお目出度さ(笑)。
んで、萌は、史緒をへこませようと(笑)、蘭丸に接近。蘭丸がかねてからイメージを膨らませていた楽曲の、具体化に協力してきた。
だから、「蘭ちゃんの曲って私のためにあるような曲なんですよ」この萌の認識には、ウソも間違いもない。
天敵同士の奇跡のハーモニーが展開された夜までは、そうだったのだ。
萌ちゃん、あなた、史緒をへこませようと思ってたはずなのに。蘭ちゃんの曲に、マジ、のめり込んでるでしょ。
人間、認められると嬉しいものね。策士、策に溺れるってゆーか、ミイラ取りがミイラって言うか。はいはい、蘭ちゃんに恋愛感情抱いてるわけじゃぁない。それは、わかるけどね。
史緒は、蘭丸の提案にこたえた。
「私--/留学する/つもりなんです/まだ期日は/決めていま/せんけど/たぶん…/今年中には/
それでも/構わないのなら/池之端くんの曲を/歌いたいです」
萌の事を「裏表がある人」と評した史緒だけど。
実はこの時既に、萌や蘭丸に対して、重大な秘密を抱えていた。
史緒は、クイーン・レコードの若き副社長、神野隆からの求婚を受け入れていたのだった。
神野の求婚は、求婚と言うよりは、取引の申し出だった。
妻になってくれれば、寛大なパトロンになろう、と言う申し出だ。
アタシなりに要約整理してみましょう。
社長に就任するため、身を固める必要がある。仕事柄、社交の場に華を添え、かつ、あれこれと、うるさい親からの干渉を受け流すこともでき、そして、世間や社内が納得する相手がほしい。
結婚後、外聞の悪い真似さえしてくれなければ、貞淑な妻を社交の場で演じてくれる以外は、一切を自由に任せる。
この条件で、君の歌を、全面的にバック・アップしよう。
恋愛経験値、ほぼゼロで、元社長令嬢だった史緒には、神野の提案は、むしろ理解し易いものだった。
てゆーか、神野氏も、こーゆーアプローチの方が史緒にはウケるだろうと踏んで、大胆にアプローチした気配もする。同じタラシでも、アーティスト志向の蘭ちゃんと、ハイソの神野氏ではやり口が違うのね(笑)。
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とゆーわけで、爆弾のような秘密を抱えたまま、蘭丸を中心にしたトリオは、史緒が留学に出るまで、との時限付きで始動する。
ちなみに、史緒の留学のスポンサーは、もちろん神野氏だ。
蘭丸は、奇跡のようなハーモニーに手応えを感じてる2人の、歌手根性があればなんとかなると思ってたみたいだ。
だって、トリオ結成の時、蘭丸は、史緒と神野氏の婚約の事、知らないんだもーん。
いつも裏表を使い分け、ちまちまちまちま、姑息な真似ばっかしてる萌と、潔癖症の癖に、やむを得ずとは言え、メガトン級の隠し事を抱え込んでしまっている史緒。なんと、恐ろしい取り合わせ。
かくして、奇跡のハーモニーに導かれ、爆弾を抱えた、美女3人(1人女装)のユニットがスタートしたのだった。
なんとかはなる、しばらくは。や・が・て、大変なことが……。
何がどうなるかは、4巻以降のお楽しみ☆
さて、なんだかんだ言って、結構ネタバレさせてくれちゃったじゃない、と思ってるあなた。
そんなことないですよ。
このレヴューでは、ほんのちょっと、3巻序盤のさわりを紹介したくらいだからねっ。
『プライド』3巻の面白さは、こんなものではないのだ☆
ウソだと思ったら読んでみて☆
3巻まで読んで、楽しんだら、次は7巻までの一気読みをお勧めします☆
思うに、『プライド』3巻の読みどころは、要所要所で光ってる、次のように解釈できる描写かと思います。
歌を本当に好きな人間は、歌い続ける事で、歌によって救われる。
これは、アタシ(紹介者)の解釈なので。一条さんのマンガのどこを読んでも、そんなセリフがあるわけではない。
それに、「本当に好き」って、どういう事か。きっと、ここを整理しないと、戸惑いの元でしょう。
ですから、暫定版の解釈です。
ただ、『プライド』では、多彩なキャラクターたち、それぞれの「本当に好き」が、繰り返し描写されているように思えます。
アタシとしては、そうした描写を「読みどころ」の焦点として、推したい。多焦点になっちゃいますけどね。
ご披露した暫定版のコンセプトと、「プライド」というテーマとが、どう関わっていくかについては、アタシも、一条さんの料理の冴えを、わくわくしながら、楽しみにしてるところです。
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書誌情報:
一条ゆかり,『プライド』3(クイーンズコミックス コーラス),集英社,Tokyo,2004.
ISBN 4-08-865253-3
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オペラ歌手の一流を目指す美女2人の、ライバル関係を主軸に展開されるラブ&バトル☆
史緒、蘭(蘭丸)、萌が結成
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