奥瀬サキ(原作)、目黒三吉(漫画)『低俗霊DAYDREAM』2,「口寄せ屋」の日常(?)
『低俗霊DAYDREAM』は、サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーとをハイ・ブリッドしたような物語。
2007年5月現在「月刊 少年エース」に連載中のマンガ作品で、単行本が9巻まで刊行されてる。
原作、奥瀬サキさん、漫画は、目黒三吉さん。
「口寄せ屋」崔樹深小姫が“心霊”の関わる出来事への「対策」をしていくような物語で、舞台は、現代の日本。

2巻には、主人公のサイド・ジョブ(?)ミサキ女王様の仕事に事件が絡む「エクスタシー」、深小姫も「本気でマズイ」と言う、ゴルフ場建設予定地跡を巡る「デイドリーム」、そして、1巻所収の「くまのポー」で深小姫に助けられた少女、椚アイが再登場する物語、「ダムゴースト」の3編が採録されてる。
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巻頭に収められた「エクスタシー」は、カラー頁3ページも併せて、31頁。
「デイドリーム」が90頁で、「ダムゴースト」が68頁。
短編「エクスタシー」は、第1巻巻末で少しハードな中身になってた「くまのポー」と、かなりシリアスな内容も含んでる「デイドリーム」との間の息抜き、あるいは、息継ぎのような感じの1編としても読める。
深小姫がよく「バイトだ」的に言ってるSM風俗に、ふと感じないでもないやり甲斐とか、“どうせ好きではじめたんじゃないし”“辞めるか”みたいな、キャラクターの気持ちのブレが、面白い。
SMプレイの描写は、結構マニアック。この手の題材に不快感を覚えるだろう人は、この短編の読後感で、シリーズを読んでくかどうか、決めてもいいように思います。
中篇「デイドリーム」では、深小姫は、建設が途中で放棄された、秩父山中のゴルフ場予定地に向かう。柧武惣一郎を伴っていたので、東京都庁生活対策課からの「対策」依頼を受けたのだろう、と察せられる(この辺の事情は、続く描写で傍証も増える)。
“…惣一郎”
“走れ”
〔中略〕
「あそこは駄目/本気でマズイ/
とりあえず引き返そう」
霊視能力を有す深小姫は、予定地跡で6人の女性の姿を幻視した。「幸い僕には/見えません/でしたが/あの場所には/二度と行きたく/ありません」と、オバケ嫌いの惣一郎は言う。
ところが、逃げてきた惣一郎は幽霊に憑きまとわれる事になってしまったらしい、描写がある。
ありがちなオカルト・マンガだと「地縛霊に憑りつかれた」とか、「幽霊と因縁ができてしまった」とか、それらしい説明が入るとこかもしれない。
作中の崔樹深小姫は、その類の専門用語を使った説明をほとんどしない。
「口寄せ」とか、専門用語をまったく使わないわけではないけど、彼女が口にする用語の種類は、とても少ない。この、「専門用語による説明をあまりしない『口寄せ屋』」の描写については、いくつかの解釈があり得ると思う。
「デイドリーム」について言えば、深小姫は、惣一郎の陥った事態を認識していないわけではない。
惣一郎が危険な状況に陥ったと、あれこれ調査をしたり、生活対策課課長である父親にも働きかけ、関係者に面談をするなど、積極的に動いていく。
思うに「デイドリーム」は、こうした緊迫感から楽しんでくのがお勧めのような気がします。
「専門用語による説明をあまりしない」ので、読者にはお話が少ぉしだけ、わかりづらくなってるかもしれない。
けれど、その分緊迫感がかもし出されてる。
後に、長いプロットの物語で絡んでくるYUO(ユオ)の運営するBBSも、深小姫の「対策」に絡んでくる。これで2度目だ。また、対策の現場でも、深小姫は、過去のYUOと思える人影を幻視する。
他に、「デイドリーム」では、普段の深小姫はコンタクトを入れていて、デスク・ワークの時は眼鏡を着用するといった描写や、深小姫幼少時の断片記憶などが差し挟まれてる。電話越しの父親との会話などもあって、主人公の人物像が、少しづつ明かされるよな語り口が面白い。
巻末に収められた「ダムゴースト」では、「くまのポー」(1巻所収)で、姉の自殺と幼い姪の死の真相を知った椚アイと深小姫とが偶然に再会する。アイは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥ってるようだった。
大きなクマのぬいぐるみを持ち歩いているアイに、深小姫はプライベート用の名刺を渡し「何か困った/ことがあったら/必ず連絡して」「いいわね?」と告げる。
心霊が関わる事件に巻き込まれた少女が、PTSDに陥っている。
アイのケースでは、幽霊云々の話を無視しても、理解できなくはない。
例えば、「くまのポー」でも、アイのクラスメートは「学校来てるだけでも/アイは偉いよ」「こういうのは/時間が解決/してくれるのを/待つしかないよ」と言ってた。
これは、アイが、深小姫と惣一郎と関わって、姉の自殺と幼い姪の死の真相を知る、前の時点の描写。
「自殺や、死の理由」が、なんとか納得のできるものだったら、アイもPTSDには陥らなかったかもしれない。可能性はある。
けれど、姪の死の経緯も、死が原因になった姉の自殺の理由も、理不尽なものだった。
怪談風のジャパニーズ・ホラーで、ある事件の関係者が、事後にPTSDに陥っているって展開は、好き嫌いを置くとしたら、アタシは面白いと思う。
因果や因縁が巡る、的な、説明(と言うか方便のような解釈)がとってつけたように語られていないとこもいい。
痛々しいので嫌だ、的に思う読者もいるとは思う。その感じ方はわかるつもりだけど。でも、面白い。
ちなみに、「ダムゴースト」の椚アイは、霊感能力に目覚めていたようだ。「くまのポー」のラストで、死んだ姉の姿を幻視しているので、あるいは、それ以来霊感が身についた(?)のかもしれない。
他に、「ダムゴースト」では、深小姫の友人のエロ雑誌編集者や、1巻から登場してるストーカーのミツルと深小姫との関わりなども語られている。
主人公の関わる人間関係が、少しづつ明かされるよな語り口が、やはり面白い。
総じて、2巻は、主人公の「口寄せ屋」以外の、あるいは以前のキャラクターが、少しずつ明かされる物語として面白い。本筋の「怪談風ジャパニーズ・ホラーとをハイ・ブリッドしたような物語」も、緊迫感が楽しめる。
「エクスタシー」は、まぁ、例外なのかな?(笑) 短編だし。
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『低俗霊DAYDREAM』2巻採録分は、雑誌「月刊 少年エース」(角川書店)の、2001年3月号~8月号に掲載された分、との事。
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書誌情報:
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』2(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2001.
ISBN 4-04-713445-7
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「ダムゴースト」は、マンガ『低俗霊DAYDREAM』(原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さん)を構成する1エピソードで、68頁。2巻に収めらてる3編の内、最後に採録されている。
『低俗
『低俗霊DAYDREAM』は、「口寄せ屋」崔樹深小姫が、現代の日本を舞台に“心霊”の関わる事件の「対策」をしていく物語。
原作、奥瀬サキさん、漫画は、目黒三吉さんの、マンガ作品で。
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