奥瀬サキ(原作)、目黒三吉(漫画)『低俗霊DAYDREAM』4,下品なお姉ぃさん、怒る(笑)
「口寄せ屋」崔樹深小姫が、現代の日本を舞台に“心霊”の関わる事件の「対策」をしていく『低俗霊DAYDREAM』。
原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんで、「サイコ・サスペンスと、怪談風ジャパニーズ・ホラーのハイ・ブリッド」なマンガ作品だ。
2007年5月現在も「月刊 少年エース」(角川書店)で掲載中。

この記事で紹介する4巻では、最新刊(9巻)までも続いてなお展開中の、長いプロットの展開が始まる。
YUO〔ユオ〕がミツル(藤原充)、椚アイの前に姿を現わす「幻覚」、主人公である深小姫以外の「口寄せ屋」による「対策」を描いた「橋の上の幽霊」、旅先の深小姫などを描く「霧」の3編が採録されてる。
不必要なネタバレは避けながら、4巻の読みどころを紹介してみたい。
ただ、3巻までの内容は、必要に応じて触れるので、よろしく。
(用語:低俗霊DAYDREAMから、色々レヴュー記事もたぐれます。よければ、どうぞ)
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巻頭に収められた「幻覚」では、1巻採録の「くまのポー」、2巻採録の「ダムゴースト」で深小姫と関わった椚アイが、ミツル(藤原充)に会いに行く。
ミツルは、1巻に収められた最初の1編「首吊りマンション」から、深小姫に付きまとうストーカーとして登場してたキャラだ。なんでストーキングをはじめたかは、一応の経緯が「ダムゴースト」で説明されてた。
「くまのポー」のラストで霊感に目覚めたらしいアイが、幽霊に脅かされる現場にミツルが行き会ったのも、「ダムゴースト」での出来事だった。ミツルは、実は、アイの高校の級友だった。「たぶん/一度も話した/こと」ないような間柄だったらしいけど。
「ダムゴースト」のラスト・ページは、「藤原充--は/今日も休み と/もう停学/明けてずいぶん/たつのになぁ」と出欠をとる教師、空いてる机に目をやるアイ、といった構成で終わってた。
「幻覚」の冒頭で、アイは教室にいないはずのミツルの姿を幻視する。
この幻視が何を意味するのかは、物語のこの時点では定かでないはずだ。先を読んでのお楽しみ☆
教師から、ミツルが高校を中退した、と聞いたアイはミツルの実家、琶成神社を訪れる。
「俺はお前に/顔を見せたことを/後悔している」「とんだ間抜け/だった」「お前のせいで/俺の素性が/あの女に知れて/しまった」。「あの女」とミツルが言うのは、深小姫のことだ。
「--二度と/俺の前に姿を/見せるな」と、アイを拒絶するミツル。その時2人の前にYUO〔ユオ〕が姿を現わす。
2巻採録の「デイドリーム」で、深小姫が幻視した姿は、やはりYUOだった。
いよいよ、深小姫の身辺に手を伸ばしてきたのか? あるいは、深小姫に素性が知られてしまって、揺らいでるミツルにつけ込もうというのか??
YUOの思惑も先を読んでのお楽しみだ☆
ただ、ミツルやアイのプライヴェートを相当深く知ってる、と、匂わせるYUOの言動は不気味、とだけ書いておきたい。
これまで、ミツルは深小姫をストーキングしながら、ちょこちょこ、YUO主催のアングラ・サイト“Rock'n Roll suicide BBS”で、深小姫の「対策」もウォッチされていたことなどを教え、さり気に深小姫をサポートしてきていた。
YUOの言動は、そんなミツルの行動も知ってて泳がせたのでは(?)、とか、想像を誘発する不気味さだ。
「幻覚」では、ミツルが深小姫に依存してる心理が、割りと生々しい描写を伴って描かれる。
その心理を呑みこみづらい人も、いるかもしれない。描写や背景が生々しいからだ。
さしあたり、「ダムゴースト」で説明されてた経緯も併せて読むと、呑みこみ易くなるかもしれない。
他に、アイのまだ不安定な霊感が描写されて。普段、深小姫がやってる「口寄せ」が、いかに危険な行為であり得るかも暗示される。YUOとそのグループを追っている警視庁の峨田警視も、初登場。登場するなり強烈な印象を、アピールなさりやがる。
紙数72頁の「幻覚」に続いて採録されている「橋の上の幽霊」は、49頁。
こちらの作品では、東京都庁生活対策課が繋がりを持つもう1人の「口寄せ屋」、船越さんの「対策」が描かれる。
お化け嫌いの柧武惣一郎が、船越さんの付き人(?)役をして、例によってのドタバも見せる。
船越さんに言わせると、惣一郎と船越さんは相性が悪くて、組んで動くと成果が期待できないらしい。
惣一郎の方も、船越さんの対策が終了した後、「僕は/こんな結末/認めませんよ」と言ってる。直接は、船越さんに向けられたセリフではないけど、なかなか含みの多いセリフで、読み応えがある。
実は、「幻覚」では、主人公のはずの深小姫がほとんど登場しない。いや、物語のメイン・ボディにはまったく絡んで来ない。その事情は、作品の最後で語られるけど……実は、自主的リフレッシュ休暇に出ていたのだった(笑)。
この件については、不満を感じる読者もいるかもだけど。アタシは良かったと思う。
長いプロット展開から見れば緩急が効いてるし。
「橋の上の幽霊」自体も、好き嫌いはあるだろうけど、いい作品だと思う。深小姫とは、仕事のスタイルが違う「口寄せ屋」が描かれる事で、深小姫のポリシーのようなものが、かえってくっきりするのも高ポイント。
巻末に収められた「霧」は、28頁。
温泉巡りの小旅行に出ていた深小姫は、旅先で偶然「口寄せ屋」の先輩と出会う。もっとも彼女が「口寄せ屋」をしてたのは1年くらいで。その後「結婚して/子供ができて」「家事に追われて/いるうちに/見えなくなって/しまった」と言う。
口寄せ屋稼業を「…私も/そろそろやめよう/かなあ----」と言う深小姫に、先輩は「やめても彼らの方/からあなたを/求めてくるわ」と言う。
深小姫は、3巻の「幽霊タクシー」で描かれた「対策」の結末を呑みこみきれずにいたように思える。「これで/良かったとも/悪かったとも/思っちゃいないさ」と、言っていた決着だ。深小姫の想起はさらに遡って、2巻の「デイドリーム」で幻視したYUOのイメージを思い起こす。
「--こちとら/死人の世話だけで/精一杯なんだよ」
「見境なく/毒電波 撒き/散らしやがって」
「大概に/しとけよ」
「この/カワカムリ/が!」
深小姫が、「カワカムリ」と毒づくのはYUOの事だ。
言いたい事はわかる……。多分、包皮が翻転してないようなガキ、と言いたいらしい。
深小姫は、美人だけど、基本的には下品な女だ(笑)。えーと、品性は下品でもないのね。普段は、普通に振舞えるし。要は、率直に欲望を認めることもできる女だ。下ネタも得意(笑)。
ことに、腹をたてると、下ネタが出やすくなるみたい。YUOの事を毒づいたセリフなんか典型。
それはともかく、「霧」は、次巻の5巻で、丸々1冊をかけて展開される物語のプロローグにあたる。
そして4巻~5巻の物語は、9巻を経てなお展開が続く長いプロットの、一部になる。つまり、「幻覚」は、その長い物語のプロローグになるかのようだ。
この辺の作品構成については、何しろ完結していないので、断定はしない。ただ、『低俗霊DAYDREAM』は、見かけ以上に繊細に構成された物語(らしい)、とは書いておきたい。
『低俗霊DAYDREAM』4巻採録分の初出は、「月刊 少年エース」(角川書店)の、2002年4月号~8月号、及び、10月号、とのこと。
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さて、最後に、『低俗霊DAYDREAM』未読の読者を想定して、余計なお世話を書いておきたい。
こうゆうことを『低俗霊DAYDREAM』のレヴュー記事で書くのは、これで最後にしようと思う。
前も書いたけど、『低俗霊DAYDREAM』の本領は、盛られた毒のピリピリするような味だと思う。
だからと言って、イヂメ、自殺、ストーキング、依存症、近親通姦、といった題材を、わざわざフィクションで読みたくない、って人もいるでしょう。それは、わかります。
アタシに言わせれば、サイコ・サスペンスと怪談風のジャパニーズ・ホラーがハイブリッドされてるんだから、そうした題材を扱うのも当然、なんだけど。作品の良し悪し、と好き嫌いとは、一応は別の尺度。
5巻以降は、どんどんどんどん、内容がハードになってく。盛られる毒の濃さも、ぐんぐんぐんぐん濃くなってく。その加速度感、ギリギリと高まってくテンションがたまらない☆
「毒を喰らわば皿まで」と、物語に付き合うか、降りるかを決めるとしたら、4巻が最後のタイミングだと思う。
例えば「幻覚」に描かれる自殺や近親通姦めいた幻想、依存する心理、この辺を読んでいたたまれなく感じて(その感じ方は自然だと思う)、耐えられそうになかったら、降りるのは読者の自由だ。
もちろん、別の記事でも書いたけど、読者にはいつだって、作品を放り出す自由はある。
けど、5巻に入ったら、高密度の物語を、途中で投げ出す事になる。4巻なら、まだ、プロローグだ。
だから、毒を喰らわば皿まで、と行くか、物語に引き込まれる前に降りるか、読者が自分で選ぶとしたら、4巻が最後のタイミングのように思う。
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『低俗霊DAYDREAM』4巻採録分は、雑誌「月刊 少年エース」(角川書店)の、2002年4月号~8月号、10月号号に掲載された分、との事。
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書誌情報:
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』4(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2002-2002.
ISBN 4-04-713512-7
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原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さんのマンガは、「サイコ・サスペ
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