「ダムゴースト」ネタバレ・レヴュー(奥瀬サキ、目黒三吉『低俗霊DAYDREAM』2、所収)
「ダムゴースト」は、マンガ『低俗霊DAYDREAM』(原作、奥瀬サキさん、漫画、目黒三吉さん)を構成する1エピソードで、68頁。2巻に収めらてる3編の内、最後に採録されている。
『低俗霊DAYDREAM』は、物語内で「口寄せ屋」と呼ばれる霊能者、崔樹深小姫が、現代日本で“心霊”の関わったトラブルに「対策」をしていく物語。
やはり霊能を持つYUO〔ユオ〕と深小姫の対立を主軸に、複数のキャラクターのドラマが絡まっていく展開がメイン・プロット(今のとこ9巻まで)だけど。
2巻ではまだ、「ダムゴースト」の前に採録された「デイドリーム」で、YUOの思惑の概略が、第3者から深小姫に示唆されるに留まっている。
「ダムゴースト」では、メイン・プロットの主役、崔樹深小姫が、何の依頼もなく行きずりのように霊的存在の「対策」をする。「行きずり」ってのは、大まかで不正確な要約だけど、その件は順を追って見ていきたい。
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記事タイトルで「ネタバレ・レヴュー」と断ったように、この記事では、ネタバレは避けない。
なぜか。
「ダムゴースト」では、後にYUOの企みとの関わりで、それぞれが重要な立場に立つ3人のキャラが、関わりを深めはじめる手前の状態が描写されてる。
そうした描写自体が、このエピソードの読みどころだ。
ネタバレは避けないけれど、この記事はレヴュー記事。
エピソードの読みどころを紹介しようと思う。
ただ、「ダムゴースト」は、ストーリーを整理しないと、読みどころを説明できない、そういう作品だ。
つまり、導入部や序盤を紹介して、その後、大筋や要点の要約だけで、読みどころを説明するとか、その手の寸止め解説みたいな手法では、物語のある箇所が、なぜ読みどころになってるかを説明できない。ストーリー抜きで、読みどころの箇所の要約だけ記しても、あてにならないカタログ程度の意味しかなさないだろう。
そういうわけで、この記事では、ネタバレをしないわけにはいかない。
(ただ、ネタばらし自体を目的にした作文はしない)
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「ダムゴースト」の物語は、中央線の荻窪駅の駅舎内の光景と、携帯ゲーム機でゲームをプレイしている深小姫、といった画が構成されたページから始まる。
電車に乗った深小姫は、「くまのポー」(1巻)の「対策」で協力を得たアイ(椚アイ)が同じ車両に乗り合わせてることに気づく。
空き席も見える車内だけど、アイは、自分が座る座席の隣に一抱えもあるような大きなヌイグルミを1体置き、目は宙を見て、歌を口ずさんでる。
アイの様子から顔を背け、深小姫は、心中で“ば/馬鹿野郎~~”“全然解決/してねーじゃんかよ--”と思う。
アイの方も深小姫に気づき、周囲を気にしない大声で声をかけてくる。「深小姫さん/だ」「深小姫さん/アイですよ」「椚アイです」「お姉ちゃんと/みくちゃんの事で/お世話になった」「アイです」
乗り合わせた乗客にジロジロ見られ、気まづそうな様子も見せる深小姫だけど、不自然に明るいアイの様子を見る表情は複雑。“全然解決してねー”と焦ってる相手に、「お姉ちゃんとみくちゃんの事」を、にこやかに「お世話になった」と言われれば、当然。
中野で下車するアイに、深小姫は「プライベート用の名刺」を手渡し「何か困ったことがあったら必ず連絡して」「いいわね?」と告げる。
アイが降りた後、深小姫は動く電車の窓に頭を寄せながら「PTSD〔心的外傷後ストレス障害〕ね--」「無理もないか」と、独り言。ここまでで9頁弱。エピソード全体の1割強。
アイの微笑は、目の焦点が合ってない感じで描写されてる。
不自然に無防備な感じのアイの様子を、事情を知ってる読者として(アタシ=紹介者)は、痛々しくも感じた。
車中でアイと深小姫の様子を、無遠慮に見つめる乗客の視線や、気まづそうな深小姫の表情にはマンガ的な誇張はあるけど。描写された場面の総体はリアリティーが感じられる。
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中野駅で改札を出たアイは何かを感じた様子で振り返るが、“違う良かった”“アレじゃない”と思う。
振り返る前に、帽子を目深に被ったミツル(藤原充)のカットが入ってて。ミツルの立ち位置は改札の内側なので、おそらく、いつものように深小姫をストーキングしていたのだろう、とは推測される。けれど、何故アイと共に中野で下車したかの動機は、定かでない。
この場面は9頁めから11頁めにかけてで、2頁分相当ほどの紙面が割かれている。
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11頁めの下段から、21頁めにかけては、深小姫がエロ雑誌“Honey Chop!”の編集部を訪れる場面。編集者のしず江(御厨しず江)と、小林君(小林史明)が初登場。
深小姫が編集部に寄ったのは、しず江がやってるレズ雑誌での写真撮影のためだけど。「あそうだ」と、入稿したコラムの原稿に訂正を加えようする。「お客さんの特徴そのまま書いちゃってさ」「その人に迷惑かけるとコトだから」「その部分だけ修正」させてくれ、と言う。
地味だけど、SM嬢としてもコラム・ライターとしても当然のプロの気配りで、これもリアル。
この場面では、以前は定かでなかったミツルについて、しず江の口から、一通り整理した説明がなされる。長いプロットでの物語を読んでいくとポイントにはなるけど。ここでは、はしょります。
ミツルの話題の後、雑談のようにして、今日の撮影のスタジオの話題になる。場所を聞いた深小姫は、霊がいるので「あそこは嫌だっていったじゃん」と言う。新人編集者らしい小林君相手に、しず江の話題は、深小姫は「それで食っているのだよ」「知らなかった?」と話題が転じ、さらに「専門家でしょ」「スタジオのやつも自分でなんとかすればいいじゃない?」と続く。
「駄目駄目」
「向こうから何らかの/動きがないと/こっちはリアクション/とりようがないのよ/
へたに/刺激したら/どうなるか/わからない」
〔中略〕
「基本的に/『何も言わない』彼らは/怒ってることが多いの/--とても怒っていて/もうこの世の人には/何一つ期待していない」
「ただ自分の怒りに/その場に縛りつけ/られて動けなく/なっているのよ」
「--それで/もし そいつらを/もっと怒らせる/ことになったら?」
「体か/
頭か」
「あるいは/その両方を/
壊されるわ」
深小姫の話を聞いたしず江は、「なるほど」「要は見えなきゃいいんだな」と、ニンマリ笑う。
ちょっと、しず江のわかりがよすぎる気もするけど、深小姫の説明を聞いただけで、この理解は鋭いと思う。
ただ、悪巧みって面もあることは、次の撮影シーンでわかる(笑)。どんな悪巧みかは、読んでのお楽しみにしておきましょう。
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ハードな撮影のシーンを挟んだ後、スタジオの隅で休憩していた深小姫は、半睡半覚醒状態で、夢と幻視とが入り混じったような体験をする。
この幻視のシーンは、「ダムゴースト」の読みどころの1つだ。
〔寝ていた体勢から体を起した深小姫〕
〔スタジオ内のロング、作業をしているらしい人影は、薄暗いようなトーンに溶け込んでるような処理で、細部が不明瞭。スタジオ内には、なぜかスモークを炊いたような霧もたなびいて見える。
そんな中で深小姫の体は、白く浮き立っている描写〕
〔頭に手をやる深小姫の顔アップ〕
“あ--しまった/油断した”
“やっちゃった”〔深小姫のバスト・アップ俯瞰気味。背景は、スタジオの天井など、やはり細部は薄影に溶けている〕
“すごい霧--”
“これは……/
見えちゃうな”〔スタジオの一画。なぜか壁に向かって正座している背広の男性の後姿。この人物は、周囲から浮き立つように細部がくっきりと描かれている。ただし、深小姫の裸身が白く浮き立ってるのに対し、このキャラの着衣は黒を多用した描写〕
〔後から描かれた背広の男、バスト・アップくらいのトリミング。斜め後ろからの構図で、横顔が見えそうで見えない〕
“あ ホラ”
“いたいた”〔ゆっくり移動しているようなポーズの深小姫。背後の遠景に、かろうじて、しず江か、と判別できる人影が他の人物と、何かを話し合っているような様子〕
〔背広の男、正面からのバスト・アップ。ただしトリミングで、向かって右側と頭部の上側が切れてる構図。顔は、鼻から下がくっきり描かれているが、眼窩のあたりから上は省略が多く「目鼻立ち」や表情は不明瞭。男の肩越しの背後に、佇んでいる深小姫の姿〕
〔深小姫の背後からの構図。少し先で正座している背広の男。男と深小姫との間には霧が淀んでいる〕
“これ以上は/近づくと/危ないか/
私まで/持って/かれちゃう”〔男の横顔アップ。顔面の上部は、コントラストの強い影処理で、眼窩あたりから上はよくわからない〕
〔深小姫の横顔アップ。視線は、少し前を見下ろしているよう〕
“ねぇ/おじさん”
“どうして/あなたは/ここにいるの?
壁に何が/見えるの?”〔背広の男の姿、斜め後ろから。頭部の下半分から肩にかけてのトリミング〕
〔背広の男の後姿、腹から上あたりでロング気味。男の背後(手前)には、白い霧が淀み、男の向こう側には、薄闇に溶けたような霧がたなびいている〕
“!/うーわ/
駄目だ”
“どんどん/霧が/濃くなってく”〔深小姫の掌。霧が絡んで見づらい〕
“霧ってより/もう雲だな/こりゃ”
〔自分の掌を見ている深小姫。顔は目のあたりを重心にしたドアップ〕
“あぁ/そういえば”
“私も/一時は”
“壁に/雲見たり/したなぁ”〔子どもの頃の深小姫(?)と思える、全裸の少女の姿。白い壁に相対して、膝を抱えながら座っている姿の、斜め後ろから構図。壁や床、周囲の空間が白いのに対し、この人物像はアミ伏せの後、軽めに削り処理。床に投影された人物の影は、ハッチング(細線掛け合わせ処理)にてくっきり描かれている〕
“有るものが/うっとうしくて/自分すら/うっとうしくて”
“都合のいい/「無いもの」を/無理矢理/ひねり出して/
日がな/眺めてた/なあ”〔霧の中で、自分の掌を眺め続けている深小姫の頭部横からのアップ。手前と背後に霧がたなびいている〕
“私が/雲じゃない/理由なんて”
“見つから/なかった/よな/
あの/頃は”〔瞼を閉じ、顔を上向き気味にした深小姫の肩あたりから上。霧に包まれているようなイメージ〕
“まだ/わかんないか”
“私じつは/やっぱり/
私なんかじゃ/なくて--”〔雲海の彼方の空間が光に満ちているような、ロングのイメージ(サイド絶ち切り)。
入れ子式のコマで、やはり同じイメージのロング。こちらのコマでは、遥か彼方に鳥(?)のように思える影がとても小さく描かれている〕
- 〔 〕内は紹介者補記
この幻視シーンは、「ダムゴースト」の物語でも、『低俗霊DAYDREAM』の、より長いプロットでも、読みどころだ。
深小姫が子どもの頃の自分を想起した(?)と解釈できる裸身図像前後のモノローグが、幻視シーンの焦点だろう。
“あぁそういえば”“私も一時は”“壁に雲見たりしたなぁ”のあたりと、その前後の、取り止めが無いとも言える思考の脈絡のことだ。
霊感に不慣れな頃のキャラクターの不安定さが、今の深小姫の視点から追想されている。
ことに、幻視能力者が「都合のいい『無いもの』を無理矢理ひねり出し」てしまう事もある、と、今の深小姫自身が認めてる点は重要だ。
しばしば惑いがちに見えることもある深小姫の言動を、読み解く手がかりになるモノローグだ。
そして、この幻視シーンの描写は「ダムゴースト」の内では、そのまま、今のアイの不安定な様子の手がかりになり、深小姫がアイを心配する事情を暗示する手がかりになるような描写になっている。
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スタジオの場面は、撮影シーンから幻視シーン、再度目を覚ました深小姫のカットと転じて、場面はアイに移る。
少し時間が戻って、大学受験ゼミを受講しているアイ(傍らにヌイグルミを置いてる)、受験ゼミが入ってるだろうビルを、屋外で見上げてるミツル、って無音の情景の構成を挟んで、場面はさらに夜に飛ぶ。
ファースト・フード店のスタンドに面して、歩道に据えられたベンチ。アイはベンチに座ってハンバーガーを食べている。
食事を採りながら“あの場所……/行こうかな/やめよう/かな”“私/どうして”“あんなの/見えるように/なちゃったん/だろう”と、想うアイ。
アイは、深小姫にもらった「プライベート用の名刺」を手にとって見る。アイの回想シーンが挟まれて、場面は「あの場所」に向かうアイのシーンに転じていく。
差し挟まれる回想は、「くまのポー」の「対策」の後、東京都生活対策課の柧武惣一郎にドライブに誘われた時のシーンだ。
惣一郎がアイをドライブに誘っていた件は、実は序盤での、深小姫とアイの地下鉄車内での会話で言及があった。けれど、便宜的にハショッておいた。
アイが「あの場所」に行く前に、回想が挟まる理由は、やや曖昧だけど、おそらく深小姫の「口寄せ屋」稼業に関心を寄せてたことが、アイの回想の理由と思われる。背景には、身についた霊感に対するアイの戸惑いがある、と読むのが、素直な読解だろうと思える。
中央線の線路に架かる陸橋の上で、アイは、線路を見下ろして佇む男に声をかけてしまう。
“私に出来る/事なんて/きっとない”“だって/この人は/多分もう”と思いながら。
涙ぐみ、“駄目だ”“やっぱり/来なきゃ/よかった”と思うアイは、「あ あの/ごめんなさい/私」と、口ごもり、“怖い--!”と思う。
男は、ゆっくりと振り向く。
男の幽霊は、アイに襲い掛かり、憑きまとうと、“しんで/くれよ”“おれと/いっしょに/しんでくれよ”“おれと/むこうがわへ/わたってくれよ”と、迫る。
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男の事を多分既に死んでいると想像して、駅で視線を感じただけで“違う良かった”“アレじゃない”と思うほど不安を覚えているのに、わざわざ「あの場所」に行ってしまったアイの行動は、一見愚かなものにも見える。
けれど、もし、アイの行動を、例えば「怖いものみたさ」のように解釈するとしたら、その解釈はピント外れだ。
キーは、会って長くない時間会話しただけの深小姫が、PTSDと判断したアイの状態だ。
それと、身についた幻視能力のことを“私どうして、あんなの見えるようになちゃったんだろう”と、想うアイの不安定さもキーだ。
総合すると、普通人が現実とみなす現実に対する現実感が、アイにとっては希薄になっている事が、一見愚かなものにも思えるアイの行動の裏にある、と解釈できる。
「ダムゴースト」の時点のアイは、「現実感が希薄になっている」との自覚はあるように思えるけど。霊感については、まだまだ不慣れだし、不慣れであることが、さらに情動を不安定にしているようだ。その事は、「あの場所」に行こうかどうしようか惑うような描写からも察せられる。
つまり、ここで試みに「現実感が希薄になっている」と呼んでみたアイの心理状態は、アイの行動の「動機」を成してはいない。アイ自身の自己把握が不安定で、固まってないからだ。
「ダムゴースト」のストーリーは、一見、散漫な印象がする。
ここで「ストーリーが散漫」と言うのは、「物語内で語られる出来事の因果関係の描写が不明瞭」くらいの意味だ。
けれど、この散漫さは、「必然性がない」のとは、違う。
アイが幽霊に声をかけて危機に陥ってしまうのは、「現実感が希薄になっている」上に「霊感能力に不慣れで」不安定になっているキャラクターの状態による。キャラ的必然があってのことだ。
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アイの危機は、彼女を尾行してたミツルが一旦救う。けれど、ミツルも気絶してしまうので、時間稼ぎにしかならない。
かけつけた深小姫がアイを助けるのが、クライマックスにあたるシーンだけど。深小姫は、ストーリー的にはあっけないほど、あっさりと処理してしまう。
ストーリー的にはあっけないほどだけど、描写は読みどころ。
「基本的に『何も言わない』彼らは怒ってることが多い」そして「とても怒っていて、もうこの世の人には何一つ期待していない」って話があって。
アイを襲った幽霊の怒りは、「自分の怒りに、その場に縛りつけられて動けなくなっている」のも当然と思えるほど、煮詰まった、身勝手な怒りになっていた。
その中身は、深小姫に襲い掛かろうとする前後の幽霊のセリフなどで描写されている。
このセリフは、雑誌や単行本ならともかく、サーバー規約のあるこの場では、引用が躊躇われるくらい下劣なセリフが、脈絡もつかめないほど煮詰まったもので。「自分の怒りに、その場に縛りつけられて動けなくなっている」様な描写になってる。
それだけに、躊躇いもみせずにあっけないほどあっさり処理してしまう深小姫の描写が、引き立ってる。
アタシ(紹介者)は、このシーンの深小姫は、割とカッコイイと思いました。
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深小姫が、アイの危機を知るのは、気絶する前にミツルが携帯で連絡したからだけど、ミツルが「なぜ」アイの前に姿を現わしてまで、彼女を救ったのかの動機は、読者の読解に委ねられているようだ。「ダムゴースト」の段階ではミツルの動機は、ちょっとした謎になってる。
この点も「ダムゴースト」がストーリー面で、散漫に思えるような印象を強める結果になっているけど。
ミツルの動機の謎の方は、続くエピソードへのヒキの一つとして処理されていく。
「ダムゴースト」のラスト・ページは、「藤原充--は/今日も休み と/もう停学/明けてずいぶん/たつのになぁ」と出欠をとる教師、空いてる机に目をやるアイ、といった構成で終わる。
このサブ・プロットは、4巻に採録されている「幻覚」に続いていく。
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総合すると、「ダムゴースト」は、深小姫を中心としたプロットと、アイを中心にしたプロットを縒り合わせたような物語(がほとんどを占める)と、整理できるだろう。ミツルを中心にしたプロットの方は、深小姫中心のプロットからの分岐をはじめる序盤、と言っていいように思える。
ストーリー面では、深小姫中心プロットに割かれた紙面の方が、若干、量的に多いかもしれない。けれど、物語の内容では、アイを焦点にした描写に重心が置かれてる。
「ダムゴースト」は、そんな物語だ。
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『低俗霊DAYDREAM』2巻採録分は、雑誌「月刊 少年エース」(角川書店)の、2001年3月号~8月号に掲載された分、との事。
「ダムゴースト」の初出も、この内のはずだけど、どの月の掲載分かは未確認。
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書誌情報:
奥瀬 サキ 原作、目黒 三吉 漫画,『低俗霊DAYDREA』2(角川コミックス・エース),角川書店,Tokyo,2001.
ISBN 4-04-713445-7
補足:=
編集者のしず江(御厨しず江)=
後に、御厨しず江は、「雑誌編集長」であることが、読者に示される(「deadman's hand」,7巻採録)で読者に示される。
ただし、エロ雑誌“Honey Chop!”の「編集長」であるかどうかは、定かでないはずだ。
「ダムゴースト」には、深小姫の「しず江がやってるレズ雑誌」とのセリフ(2巻,P.138)があるので、こちらの「編集長」である可能性はある。
他方、しず江のセリフに「ミツルってのはウチの雑誌----『Honey Chop!』の創刊時からの読者コーナーの常連」ともある(P.141)。
しず江は“Honey Chop!”編集長、と思っておく方が、素直な推測とは思うけど。今のところ「おそらく」づきで判断保留にしておいた方が確実だろう。
編集者だって「ウチの雑誌」とは言うだろうからだ。
新人編集者らしい小林君=
しず江のセリフに「--ああそうか小林君」「まだミツルのこと知らないか」とある(P.141)。
深小姫は、半睡半覚醒状態で、夢と幻視とが入り混じったような体験をする=
まず、スタジオの隅でタオルケットに包まって休憩をとった深小姫は、撮影用のビスチェを着け、目隠しをしていた。しかし、幻視シーンの深小姫のイメージは全裸だ。
周囲の薄影から白く浮き立っているような裸身の処理も、このシーンが幻視であることを示している。
なぜ、半睡半覚醒状態と言えるかと言えば、背広の男が見つめている壁の描写や「これ以上は近づくと危ないか、 私まで持ってかれちゃう」って深小姫のモノローグなどが手がかりになる。
ただし、決定的な手がかりは、シーン序盤のコマに散見される、スタジオの光景描写になる。

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