『ミリタリークラシックス VOL.17』進化の袋小路としての重巡と、ロシア人は紅茶にジャムを入れない

■本日の読書:『ミリタリークラシックス VOL.17』

 巻頭特集は「高雄型」重巡洋艦
 堂々とした城のようなでかい艦橋が目印の、デザイン的に実にカッコ良い艦である。
 スペックを見ても、心躍るものがある。
 なんといっても攻撃力が素晴らしい。アメリカの同クラスの艦よりもでかい大砲を搭載し、さらに魚雷まで装備している。
 機動力としての速力、航続距離も十分なものがあり、見た目の精悍な印象を裏付ける。
 装甲はどうしても薄くなるが、これは巡洋艦という艦ならしかたがないことだ。

 ゲーマー的なデザインとしては実に納得のいく高雄型であるが、実際の使い勝手はあまりよろしくない。これは空母をのぞく日本の大型戦闘艦が想定していたのがどれも「艦隊決戦で敵を倒す」ことであったのに、その想定通りの展開にならなかったせいで、別に高雄型が悪いわけではない。
 高雄型の過剰なまでの攻撃力は、その決戦で一隻でも多くの敵を屠るためのものであったのだ。……決戦が終わった後で浮かんでいたかどうかは定かではないが。

 環境への過適応が、進化の袋小路になるというのは、生物に限らず兵器にも言えることなのだろう。

 もうひとつの特集が、「ときめき大祖国戦争 ソ連軍大進撃」。
 実に頭の悪いタイトルであるが、中身はまともである。

 特に速水螺旋人さんのイラストコラムは秀逸。やはり、何かを語るには対象への愛が必要であると強く思う。その愛ゆえにちょっと色眼鏡がつくかもしれないが、対象を醒めた目で見るよりは、よほど鮮やかになり読んでいて楽しい。
 コトの真偽については、読者が自分でじっくり考えればいいのだ。

 軍事とは関係ないが、イラストコラムにもあるようにロシア人は紅茶にジャムを入れない。これは私もチャット仲間であるモスクワ在住のロシア人さん(以前見せていただいた、冬のモスクワで零下30度ならバナナで釘が打てるかという挑戦映像はすばらしかったです)から聞いてびっくりしたのだが、本当だそうな。
 でも甘いのは好きらしい。やっぱ、寒い地方だからだろうか。

 後もうひとつ、この特集で書いてあった戦車の上に直接乗って突撃をするタンク・デサント戦術が本当にあったかどうかについては、疑問視する向きもあるらしい。今ロシアで手に入る、T-34戦車に乗っていた兵士などの手記にはそういう描写がないらしいのだ。

 前線後方でのちょっとした配置転換で戦車の上に乗るというのはまあ、当時の軍隊ではそれほど珍しくなかったそうだが、弾がびゅんびゅん飛ぶ最前線で不整地の上を敵陣に突撃するのに生身の兵士を戦車の上に載せていたかどうかについては……さて、どうだろう。
 もし本当にやっていたら、なるほど、記事に書いてあるようにタンクデサント兵の戦場での生存期間は2~3週間であったろう。

 いくら赤軍でもまさかそんな、という意識とともに。
 まあ、赤軍ならそのぐらいやってもおかしくないとも思えるのが、なんともはや。

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