『小松左京ショートショート全集 3』小松左京 『萌え』の次にくるもの、『崩え』
■本日の読書:『小松左京ショートショート全集 3』小松左京
麻雀とアポロの月着陸の短編『一生に一度の月』を読み直すためにひっぱりだす。
が、収録されていた『ミリイ』を読んで「“崩え”の源流がある」と感じたのでここに紹介。
“崩え”(ほえ)というのは“萌え”(もえ)の次にくるものという与太話で、「今みんな、萌えはくだらないとか言っているが、次はもっとくだらないに決まっている」というところからスタートし、相手をよりダメにしてしまう感情のことである。
『ミリイ』に登場するのは、『地球へ……』(竹宮恵子)などで登場する人格型コンピュータ、マザーのようなものである。各個人のために生まれた時から常に助言やサポートをするというもので、学業や仕事はおろか、恋愛にまで口を出して「その子とつきあってはいけません」などと言うのである。
そして、『ミリイ』に反抗して己の愛を貫き通そうとする青年は、結果的に恋人と別れて『ミリイ』の元に泣きつく。徹底的にマイナス方向のドラえもんとのび太君のようなものを想像してみるとわかりやすいか。
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「彼女はちっとも、ぼくの事なんか考えちゃくれないんだ」
ミリイはそれには返事をせずにだまっていた。――彼を小さい時から知っているミリイには、よくわかっていることだった。何事も、コンピュータにたよる時代の若者たちは、いつも機械にかしずかれているため、対人関係において、自分の方から他人にあわせる、というやり方を知らない。そういった能力がひ弱になってしまっている。すべて他者――機械の方で、自分にあわせてくれることを期待し、機械に何もかもまかせて、たよりきっている。相手の娘の方も、その点まったく同じだ。(p23)
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初出は1968年で今から40年前である。
こういうのを読むと人間というのは基本的な部分で同じだなぁ、と思うのだ。

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