竹宮恵子
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予告編:『ガーム国騒乱』第一部・殺生石の谷
都から飛空船で一日の距離にある西の国境には、殺生石が並んでいる。国境の外に広がる腐海に住む猛菌類も、この殺生石を越えることはできない。
殺生石の周囲五百メタ(約五百メートル)は苔ひとつ生えず、虫一匹姿を見せず、鳥一羽すら頭上を飛ぶことはない。それはむろん人にも言えることで、夜ごと青白い光で浮かび上がる国境のそばに暮らすのは、罪をもって追放された流人か、この世に絶望した世捨て人だけである。
そんな国境にある村とも呼べぬ集落に、まだ若い娘が乳飲み子を抱えて流れ着いたのは、老王タン・ゼンがついに病に倒れた年の春であった。
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