太平洋戦争


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『決定版太平洋戦争7』追いつめられ、決戦を求める日本軍

 副題は「比島決戦」。戦場は再びフィリピンに戻る。
 戦前のフィリピン経済は、モノカルチャー経済だった。輸出用の工業原料である砂糖とマニラ麻だけを集中的に生産し、衣類や食料は輸入に頼っていた。
 そしてフィリピンを占領した日本は、フィリピン経済を支えるだけの余剰生産力を持っていなかった。フィリピンのモノカルチャー経済は破綻し、フィリピンの景気は悪化する。
 景気を悪くする支配者が好かれるはずもなく、フィリピンでは日本の人気は悪く、治安も悪化したのはこれは仕方がない。

『女子高生山本五十六 1~2』志真元 『もし連合艦隊の女子高生司令長官がドラッカーを読んだら』――という感じの、やり直し太平洋戦争

 このたび、『女子高生山本五十六リローデッド』が出版されたので、これを機会に、まずは1巻2巻を読んでみる。
 内容は第二次世界大戦を扱ったネットゲーム『セカンド・ウォー・リアル』を日本の高校生が中心になってプレイするというもの。
 架空戦記を読む人間、あるいは妄想する人間が、考える「後出しジャンケン」を徹底的に追求すれば、どんな結果になるかという、ある種、夢のような展開である。(やられる側からすれば悪夢である)

『決定版太平洋戦争6 絶対国防圏の攻防』を読みながら1943年秋からの日本の負け戦を、ウォーゲーマー的視点で何とかすることを考えてみる

 1943年の秋。
 日本はついに、戦略方針を長期持久、すなわち『守勢に入り持久体制を整え、折りを見て敵に痛打を与えることで戦争を終結に導く』という方向へ切り替える。絶対国防圏と名付けられた防衛ラインは、そのためのものである。
 もちろんこれは失敗した。

 ゲーマーであればよく経験することだが、守る時こそ、柔軟な戦力の運用が必要となる。
 コンピュータ相手ならいざ知らず、人間相手に防衛戦をする場合、守る側が戦力を固着させて運用してはダメだ。優勢な攻撃側は、自由に攻撃軸を選び、戦力を集中させることができる。劣勢な防衛側が戦力を前線にはりつけているだけでは、これに対応できない。防衛線は穴だらけになるだろう。

『決定版太平洋戦争5 消耗戦 ソロモン・東部ニューギニアの死闘』日本がついに戦争のイニシアティブを喪失した戦い

 太平洋戦争の天王山は、ソロモン・東部ニューギニアの死闘にあった。
 ガダルカナル島をめぐる戦いが始まった1942年の夏から、撤退し、航空戦力の消耗が続いた翌43年の春までの間に、日本が失ったのは多数の将兵や、航空機、艦船とそれを動かす燃料――だけではない。

 この戦いで、日本は、太平洋戦争のイニシアティブを喪失する。そして以後、日本はそのイニシアティブをついに取り戻すことができなかった。

 戦争のイニシアティブとは「どこで、どのように戦うか」を決める力である。イニシアティブの確保は、劣勢な側ほど、貴重である。戦力に優れる側、補充能力が高い側は、イニシアティブを失っても、耐えることができる。

『対話の成り立たない男たち』(片岡徹也/『決定版太平洋戦争4 「第二段作戦」連合艦隊の錯誤と驕り』より)三人のエリート海軍参謀に大事な資質を“欠けさせた”ものとは?

 歴史群像の『決定版太平洋戦争』で毎回楽しみにしているのが、片岡徹也先生の、深く切り込むタイプの考察である。今回も『日本海軍が実現できなかった“峡海パラダイム”への転換』など、繰り返し読んで学びたい記事が多い。

 さて、その中で読み終わったあと、いろいろと考えさせられたのが、『対話の成り立たない男たち』である。ここでは軍令部第一部の富岡定俊、連合艦隊参謀の黒島亀人、連合艦隊司令部の宇垣纏の三人の参謀について、片岡徹也先生はかなり辛口に、シミュレーション能力が欠けていると評されている。

『決定版 太平洋戦争3 「南方資源」と蘭印作戦』資源不足の総力戦という矛盾

 パラドックス社の『Hearts of Iron2』で日本をプレイすると誰もが気づく構図がある。
 それは、日本経済にとってアメリカとイギリスはなくてはならぬお客様であるということだ。日中戦争をうまくやって中国を占領しようが、工業力に比して、資源が不足しがちな点に変化はない。70年前のアジアは自給自足には向いていないのだ。全力で戦争は避けて、ひたすら商売。これが『Hearts of Iron2』での日本が勝利するもっともシンプルな道である。どうしても大戦争がやりたければ、イギリスかアメリカと仲良くしてナチスドイツと戦う『紺碧の艦隊』(荒巻義雄)プレイがお勧めだ。

『決定版 太平洋戦争2 開戦と快進撃』なぜ、日本は終戦までの道筋を持たぬまま戦争に突入したのか?

 2巻はサブタイトルにあるように、太平洋戦争開戦から序盤の快進撃を扱った内容である。日本はハワイ真珠湾攻撃に成功し、マレー半島を電撃戦で駆け抜けてシンガポールを落とし、フィリピンを占領した。

 誇るべき戦果であるが、それは半ば約束された勝利でもあった。
 日本が攻撃をしかけたアメリカ、イギリスを盟主とする連合国にとって、主戦場はあくまでドイツとのヨーロッパ戦線であり、アジアの戦いに、さほどの戦力をさくことはできなかったからである。平時の警備任務ならこなせても、戦争に対応した準備はまったくできておらず、そこに本気の日本軍が攻めかかったのであるからひとたまりもなかったのだ。

『歴史群像:太平洋戦争1 「日米激突」への半世紀』 “お坊っちゃん”な日本海軍と“放蕩息子”な日本陸軍……では、そうなったのは、なぜか?

 現代の戦争は、始まった段階で終わりまでの道程が定められていると言っていい。その点で、この「日米激突」への半世紀はさまざまな示唆に富んだ良書である。
 興味深く読んだ記事のひとつが、片岡徹也先生による日本陸海軍の用兵思想に関する分析だ。副題が“お坊っちゃん”と“放蕩息子”とあるように、両者の用兵思想のお粗末さを厳しく指摘する内容となっている。

 マハン流艦隊決戦思想に傾倒したあげく、自分の考えた論理で世界を理解したような気分になった『中二病患者』な日本海軍。

『MC☆あくしず Vol.10』 特集:真珠湾攻撃 弱者の勝利は奇襲攻撃にあり

 もはや怖いモノなしの萌えミリタリー雑誌『MC☆あくしず』がとうとう二桁の大台に。どこまで続くか楽しみである。私がテキストを担当している『放課後ワールドウォー 日露戦争編』は両軍の戦略から開戦までの流れ。まあ、戦争なんてぇのは、そうそう思い通りに行くわけがないのである。

 さて今回の特集記事は真珠湾攻撃太平洋戦争の最初に行われた、ハワイへの奇襲攻撃である。

 そも、戦いに勝つにはどうすればいいか。

『迫撃の巨竜 最強戦艦決闘マリアナ1944』内田弘樹 “マリアナの七面鳥撃ち”の汚名をそそぐべく、航空戦艦になった大和が大活躍

 表紙絵は、斜め後ろから見た戦艦大和。
 航空戦艦に改造され、飛行甲板にはびっちり搭載機が載っている。

 宇宙戦艦ヤマト世代にとっては、こうした「航空機も搭載した戦艦」こそが戦闘艦究極の姿であるという印象があり、上田信さんの表紙絵や神奈備さんのイラストのすばらしさとあわせて、航空戦艦大和はすごく強そうである。

 だが、何せ時代は1944年である。マリアナ海空戦である。
 日米の海軍力や航空戦力には航空戦艦ごときでは埋められない格差が存在している。

歴史のif――もしも、太平洋戦争の最初の半年で、連合艦隊の主力艦が壊滅していたなら

 太平洋戦争を扱った架空戦記のネタを考える時にしばしばネックになるのが「史実はこれはこれで、けっこう良くがんばった方じゃね?」という観点だ。

 史実の日本軍を見れば、確かに、さまざまな錯誤、ロクでもない失敗、明らかな勘違い、組織運営などの「ダメな部分」は山のようにある。あるには、ある。

 が、自分の周囲を見回してみよう。自分の仕事っぷりを思い返してみよう。

「ま、しょせんはこんなもんだよなぁ」
 という気分にはならないだろうか?

『幻の連合艦隊Z作戦 -米艦隊撃滅を期した決戦構想-』瀬戸利春(『歴史群像No.88』より) 終わりの見えない「失敗するプロジェクト」を何とかしようとした作戦指導

 1943年8月15日。
 『連合艦隊Z作戦要項』が連合艦隊司令部より各部隊に下達された。
 ミッドウェイの敗北から一年と少し。
 ガダルカナルの戦いの敗北から半年あまり。
 もはや劣勢覆い隠すべくもない、日本海軍がたてた起死回生の決戦たる作戦がこのZ作戦である。

 開戦前に日本が意図していた、アメリカ海軍を艦隊決戦で撃滅するという邀撃作戦の焼き直し――では、決してない。
 有力なるアメリカ艦隊が出現した時に、これを連合艦隊のもてる総力でもって迎撃し、この決戦に勝利することによって……

『歴史群像No.86』より 今日の誤読:アウトレンジ商法に勝機はあったか!?

アウトレンジ戦法に勝機はあったか!?』瀬戸利春

 間合いが長い方が戦いで有利、というのは真理である。
 リプレイを書いているMEDIEVAL2:TOTAL WARにおいても、高地に弓隊を配置して遠距離射撃で敵軍を削るのは戦法の基本である。ときどき、味方の背中を撃ち抜くことはあるが、その損害はあえて許容しよう。

 さて、太平洋戦争の日本はたいそうアウトレンジ戦法を好んだ。執着したといっていい。
 理由はすごくわかる。


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