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『大砲とスタンプ 1』速水螺旋人 銃の代わりに紙を持て! 『靴ずれ戦線』との違いは『女性兵用パンツ千枚が倉庫で行方不明』にあり

 ハラショー!
 眼鏡っ子と官僚主義! 眼鏡っ子と役人根性!
 これぞ速水螺旋人さんの戦争漫画であります。
 ほぼ同時に発売となった独ソ戦を舞台とする『靴ずれ戦線』コミック1巻も良いものですが、速水さんが初めて、あるいは、戦争漫画に馴れておられない、という方にはこちらの『大砲とスタンプ』を推薦させていただきます。

 何が違うかというと、『女性兵用パンツ千枚が倉庫で行方不明』なのです。
 女性兵には女性用のパンツがあるのです。はき心地はともかくとして。

『高杉さん家のおべんとう 3』柳原望 「それは、何の役に立つのですか?」という、ごもっともだが重い問い

 『高杉さん家のおべんとう』はとても良い作品で、私はニマニマしながら読んでいる。
 が、この巻にはひとつだけ、涙腺が刺激されてならない話がある。
 第19話の『野菜不足の夕べ』である。
 ここでは、学会での研究発表に関連してけっこうドロドロしたお話が出ている。特に、学会には付き物の『元老院』の先生方が発表の質疑応答でする「本研究はどうやって社会に還元されるつもりか」という問いは、なかなかに重い。

「それは、何の役に立つのですか?」

『姉は傍にいまし、世はなべてこともなし』清末邦彦 愛はあれども色はなし。麗しきかな姉弟愛。

 弟ラブな天才お姉ちゃんと常識人な弟の織りなす、ドタバタ系蘊蓄漫画。
 弟べったりなお姉ちゃん、というのは王道であるが、ふたりの関係をどのように描くかで、お話の内容はニヤニヤになることもあれば、ガクブルになることもある。かの名作ゲーム『タクティクスオウガ』のカチュアお姉ちゃんのように、愛が重すぎる系はやはりシャレにならない。
 その点でいくと、本作品におけるお姉ちゃんの「綾」は、弟である「ナオ」にごく普通に家族としての愛を抱いている。そこに色(エロ)がないので、安心して読めるのだ。

「中国嫁日記 1」井上純一 著

 (一部の人には、井上純一さんとして知られている)ペンネーム・ジンサンが結婚しました。お相手は中国から来た女の子。
暖かくほのぼのとした新婚生活の中で、文化の違いから来る価値観の差や、日々の出来事を、独特の語り口でコミカルに描いています。

 あれですね、読んでいると、独り身が寂しく感じました。好きで一人身な訳ではありませんけどね?(とほほ)

 ああ、本当に結婚したのですね。おめでとうございます。読み始めた最初は、ネタで架空の話だと思っていましたよっ。

『中国嫁日記1』井上純一 「癒し中華はじめました」なほっこりどたばた夫婦のなれそめと日常

 井上純弌(一)さんが結婚したと聞いたのは、中国嫁の連載よりも前。JGCでのスタッフミーティングであったと記憶している。

 大変申し訳ないのだが、最初に脳裏に浮かんだのは
「国際結婚かー。風習も言葉も違うし、大丈夫だろうか」
 という、やや失礼なものであった。この漫画でもちょろりとは出てくるが、井上さんといえば、かなり……その……濃度……そう! 濃度が半端なく高いオタクである。浸透圧の関係からいっても、奥さんがてんてこ舞いになってしまうことは間違いなく、前途はかなり多難ではないかと、そういう風に考えていたのである。

『奇異太郎少年の妖怪絵日記 壱』影山理一 携帯向け漫画の書籍化。絵日記というよりは紙芝居のテイストが懐かしい

 元々は、ツイッターでいろいろバカ話をしていた時にご紹介いただいた作品です。
 内容については、現物を見ていただくのが何よりだと思いますので、次のURLをご紹介しましょう。

モルモル亭

 村はずれのはなれに、付喪神であるすずという少女と住む奇異太郎少年が、さまざまな妖怪と出会うという、日常と非日常の狭間のお話であります。
 妖怪は出るといっても、怖い話ではなく、くすくすと笑いながら、じんわりと心の温まるエピソードが並んでいます。

『乙嫁語り 3』森薫 薄幸の未亡人タラスさんの無防備に過ぎる言動が悩ましい & 食い物の描写が素晴らしい3巻

 1巻、2巻は乙嫁であるアミルと、夫のカルルクを中心にエピソードが重ねられていましたが、3巻は新たな乙嫁さんとしてタラスさんが登場です。
 このタラスさん、5人の夫に次々と死別された薄幸の未亡人です。彼女のどこが萌えポイントかといいますと、やはりアミルとは似てるようで少し違う「無防備(無警戒)」さでありましょう。

 市場で大事な馬(夫たちの形見)を盗まれるという「無防備」さ(12話)で登場するや、ひとりで放牧をしながらターバンを解いて羊と遊ぶ「無邪気」さ(14話)や、スミスが捕らえられたと聞くや、矢も盾もたまらずに馬で飛び出す「無鉄砲」さ(15話)を見せ、そして、なんだかんだ言って結局、スミスのことが好きでたまらない自分を隠せない「無垢」さ(15話)など、どうしてこの人はここまで隙だらけなんだ、たまらん! という素晴らしい女性であります。

『こみっく☆すたじお 2』此の木よしる ツンとデレの黄金比は9:1? デレ比を増やすための女性上位

 此の木よしるさんの『こみっく☆すたじお』2巻が出たのでさっそく買って読む。
 この漫画は、売れっ子漫画家の女の子(合法ロリ)のいちこちゃんのところに、ダメダメなアシスタントの相原君がやってきていちゃこらするもので、そういうのが好きな人は悶絶すること間違いなしという優れもの。
 さて、本作品のポイントは、売れっ子漫画家のいちこちゃん(ペンネームは高倉健二)のツンデレぶりにあるわけだが、1巻あたりから完全にデレ期である。腹筋に触るとそれだけで落ちてしまうタイプで、攻略キャラとしては、かなりちょろい。

『木造迷宮5』アサミ・マート 合言葉は「ほっこり」な癒し系女中さん漫画

 ほっこり(ご挨拶)。

 昭和30年代っぽい(あくまで、ぽい)日常の中、小説家の「ダンナさん」と、よくできた女中のヤイさんとの日常を描いた漫画も5巻めとなりました。
 緩やかな時間の流れの中、特にこれといって大きなイベントが起きるわけでもなく、普通にある出来事を、マイペースなふたりが、ほっこりと過ごす漫画です。

 今回のポイントは、メガネのヤイさんでしょうか。もともと、ダンナさん、サエコさん、セッコさんら、メガネ率の高い漫画であります。周囲にメガネで知的な(ヤイさん基準)人がいるためか、ヤイさんはメガネに憧れを抱いています。

『大正野球娘。 5』神楽坂淳/伊藤伸平 「やるからには勝ちにいく」大正時代の野球娘たちの漫画、見事に完結!

 とらのあなで手に取った時、最初に思ったのが「分厚い!」だった、伊藤伸平さん版の『大正野球娘。』、5巻にて完結でございます。

 頑張る女の子というのはたいへん魅力的なものです。
 「勝ちにいく」女の子はさらに魅力度アップでございます。
 ダメでもいいから頑張る、というのも健気でよろしいのですが、私の趣味としては、やはり、「やるからには勝つ」という女の子により多くの魅力を感じます。
 魅力的な神楽坂淳さんの原作を受けて伊藤伸平さんの描く『大正野球娘。』は、「やるからには勝つ」元気さにあふれた9人の女の子が登場します。そして5巻においてはその戦いがクライマックスを迎えます。

『惑星さんぽ』toi8 宇宙服! 未開惑星! そして洗濯物! 表紙絵にあるセンス・オブ・ワンダー

 SFの感動である『センス・オブ・ワンダー』。直訳すると「びっくり体験」であるが、これをうまく説明するのはなかなか難しい。
 toi8さんの『惑星さんぽ』の表紙絵を見て私が感じたのも、『センス・オブ・ワンダー』であるのだが、はてさて、実物があっても説明は難しい。
 それでも、ちょっと頑張ってみよう。

 背景は未開の惑星。手前に宇宙服を着た女性。……ここまでであれば、『センス・オブ・ワンダー』にはちょっと足りない。

『ぱら☆いぞ 1』道満晴明 ついに出た! 世紀末萌え四コマ漫画はここに始まる! 地獄に行っても忘れるな、道満晴明という男を!!(千葉ボイスで)

 世の中に「人を選ぶ漫画」というのはたくさんある。
 だが、「脳の血管が千切れるかもしれない」心配から「人を選ぶ」漫画は、さすがに数が少ない。『ぱら☆いぞ』はまさにそういう漫画だ。
 ひとつ読めば、血管一本。
 ふたつ読めば、血管二本。
 笑いながら、脳の血管がぷちぷちぷっちんと切れる音が聞こえてくるわけであるから、これは高血圧の人にはオススメしかねる。
 もちろん、人を呪わばあなほーる。
 おそらく、描いている道満晴明さんの方は、ひとつ描くたびに脳の神経細胞がぷちぷちぷっちんと断線しているに違いない。それくらいに、どの漫画も、脳細胞の限界に挑戦している。

『センゴク外伝 桶狭間戦記 5』宮下英樹 「ひどい雨じゃ」「まったくじゃ」「信長の部隊がどこいったかわからんのぉ」「義元の部隊がどこにおるかわからんのぉ」「え?」「え?」な桶狭間合戦

 桶狭間の戦いについに決着がついた。
 宮下英樹さんの描く今川義元は完璧超人で、最後まで「これで負けるはずはないよね」と思わせながら、なぜか負けてしまうという展開であった。
 これまで不遇であった今川義元の再評価に、本作がつながれば良いと思う。

 桶狭間は歴史に興味があれば小学生でも知っている有名な戦いであるが、実際に「何があった」のかは、よく分かっていない。昨年秋の架空戦記コンベンションのIF-CON10でも、使える史料は『信長公記』などいくつかなくはないが、どこまで頼りにしていいか分からないし、それらを総合しても、今ひとつはっきりしない、という話題が出ていた。

『桶狭間戦記4』宮下英樹 今川義元対織田信長、いよいよ運命の決戦へ!

 戦国時代を代表する有名な戦い、桶狭間合戦。
 奇襲説だの奇襲はなかっただの、迂回をしたら結果的に奇襲になっていただの、この戦いについてはいろいろなことが言われています。

 10/10に東京で開催された架空戦記のファンイベント『イフコン10』の戦国架空戦記の部屋で語られたことでありますが、桶狭間の戦いの流れを合理的に説明するには、必要な情報がどうやっても足りません。
 『長公記』は信長の上洛の後は、牛一さんのメモに基づいて書かれていますが、それ以前は記憶に頼ってるところも多く、どこまでアテにしていいか分からない。だが、アテにできないからといって、他に頼れる史料もないわけです。

ひぐちアサ、著、『おおきく振りかぶって』(3巻、4巻):じっくりと夏に向かう、西浦野球部

 1年生部員だけでスタートした、新生の高校野球部を描くマンガ、ひぐちアサさんの『おおきく振りかぶって』。
 コミックス(アフタヌーンKC)の3巻、4巻で読めるのは、第7回~8回の「スゴイ投手・1」、「スゴイ投手・2」、第9回「ちゃくちゃくと」、第10回「春が終わる」、第11回「夏がはじまる」。

 1巻で新入学シーズンからはじまったお話も、4巻で「夏がはじまる」。いよいよ夏大会の開幕です♪

2009年の読書とか、ふりかえり

 2009年、年間を通じての読書とかをふりかえって自己評価してみる。
 色々な身辺事情もあって、かなり遅い整理になった。断片的な記録をみながら、記憶を再構成していくことになる。

 乱暴に要約すると、2009年の読書とかは、『1Q84』と仮面ライダーに偏った1年になった(笑)。
 小説類は『1Q84』を中心に、村上春樹作品の再読メイン。小説以外の読書も、関連の批評書読みなどがメインになった。

 仮面ライダーに偏ったというのは、まずは『仮面ライダーディケイド』で、東映さんの情宣戦略に半ば以上わかっててノちゃった(笑)。けれど、秋からはじまった次番組『仮面ライダーW』が、期待していた以上に面白いとゆーことで。ディケイドの末期から、ノッタもん勝ちのノリノリで来てる。バカとも言うだろうけど(笑)。

2009年、10月~12月の読書など

 2009年第4四半期の読書などについて。
 色々な身辺事情もあって、かなり遅い整理になった。断片的な記録をみながら、記憶を再構成していくことになる。

 第1四半期第2四半期第3四半期に続き「過去10年くらいに読んだ本の再読フェイズ」が継続。メインは小説類。特に第3四半期からこっち、村上春樹の過去作品に集中。

一条ゆかり、著、『プライド』12,「歌っていればどこかで必ず会えるわ」と、史緒は言った。

 ベテラン・マンガ家、一条ゆかりさんの『プライド』が、全12巻で完結。著者の最長長編となりました。

 オペラ歌手の一流を目指す美女2人、史緒(麻見史緒)と萌(緑川萌)、生まれも育ちも信条も、そして歌手としての資質も水と油のように異なる2人。
 そんな2人の、プライドを巡るラブ&バトルの物語だった、この作品。

 波乱万丈で、良くも悪くもメロドラマチックな展開を重ねてきた物語は、12巻で無難に収束。

『大正野球娘。2、3』作画:伊藤 伸平/原作:神楽坂淳 帯をめくるとT-34の2巻に、いよいよ伊藤伸平さんの本領発揮の3巻。結末まで分かっていてもワクテカしてしまう漫画版

 “あの”伊藤伸平さんが漫画化した『大正野球娘。』は、1巻を読む限り、危惧……じゃなくて、期待したほどには、変……じゃなくて、独自色が出ていなかったように思う。

 しかし、2巻からはしだいにオリジナルエピソードも増え、キャラの解釈もかなり伊藤伸平さんらしくなってきている。
 女の子たちの中では、やはり、メガネ娘の乃枝が伊藤さんのお気に入りらしく、かわいそうになるくらい、イジられまくっている。


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